一日葬の流れ｜タイムスケジュールの一例とともに解説
本記事のポイント
- 一日葬とは通夜を行わず、葬儀・告別式と火葬を同日に行う葬儀形式のことをいう
- 通夜を行わないことで遺族の身体的・精神的負担が軽減され、通夜にかかる費用を削減することも可能
- 菩提寺がある場合は、一日葬を検討している段階で事前に相談する
- 葬儀後には会食が設けられる場合が多いが、一日葬では省略されるケースもある
一日葬は、通夜を執り行わず、葬儀・告別式から火葬までを1日で完結させる葬儀の形です。遺族の心身や費用面の負担を軽減できることから、近年選択する方が増えています。
しかし、一般的な葬儀との違いや、当日の具体的な流れが分からず不安に思う方も少なくないでしょう。特に、準備から当日のタイムスケジュール、親族や関係者への連絡など、押さえておくべきポイントがいくつか存在します。
本記事では、一日葬の基本的な流れを、逝去後の準備段階から当日の動きまで、タイムスケジュールの一例とともに分かりやすく解説します。いざという時に慌てず、故人とのお別れの時間を大切にするために、ぜひご一読ください。
一日葬とは
一日葬とは、通夜の儀式を執り行わず、葬儀・告別式から火葬までを1日で行う葬儀形式です。
「ワンデーセレモニー」とも呼ばれ、近年選択されることが増えている傾向にあります。コロナ禍や核家族化、都市化といった社会背景から葬儀の規模が縮小する中で、遺族の負担を軽減できる新しいスタイルとして定着しつつあります。
参列者の範囲に特定の決まりはなく、一般葬のように広く案内することも、家族葬として近親者のみで静かに執り行うことも可能とされています。
儀式を省略し火葬のみの「直葬」とは違い、参列者とともに、より故人を偲ぶ時間を確保できる形式といえます。
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一日葬と一般の葬儀の流れの違い
一般葬、家族葬が参列者の規模・属性による呼び方に対して、一日葬は日数による違いを表したものです。儀式は通夜を省き、葬儀・告別式のみの１日で行われます。
通夜を行わないことで、遺族は通夜の準備や参列者への対応、通夜振る舞いの席などを設ける必要がなくなり、身体的・精神的な負担が軽減されます。また、通夜に関連する飲食費、返礼品、会場使用料の一部などの費用を削減できるため、経済的な負担も軽くなる傾向にあります。
一方で、葬儀・告別式は日中に行われるため、仕事などの都合で参列できない人が出てくる懸念があります。夕方から行われる通夜であれば参列できたという声もあるため、誰に参列してほしいかを考慮する必要があるでしょう。
一日葬までの流れ
ここでは一日葬が行われるまでの流れを4ステップに分けて解説します。
葬儀社の手配
家族が逝去された際に、遺族はまずご遺体の保全及び葬儀の依頼をするため、葬儀社を手配する必要があります。
可能であれば逝去後に探すのではなく、生前に葬儀社を決めておくと慌てずスムーズに手続きを進めることができます。多くの葬儀社が無料の事前相談に応じており、活用することで葬儀のイメージを具体化できるでしょう。早めに信頼できる依頼先を見つけておくことが望ましいとされています。
病院で家族が亡くなった場合は病院で提携の葬儀社を紹介されることもありますが、断って事前に決めておいた葬儀社に依頼しても問題はありません。葬儀社が決まっていない場合であれば、参考にするといいでしょう。
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ご遺体の搬送・安置
国内の法律では、原則として死後24時間を経過しなければ火葬することができません。そのため逝去後、最低でも24時間はご遺体を適切な場所に安置する必要があります。
病院の霊安室は長時間の利用ができないため、速やかに安置場所を決定し、葬儀社に依頼してご遺体を搬送しましょう。
主な安置場所としては、「ご自宅」「葬儀社が所有する安置施設」「遺体専用安置施設」などが挙げられます。自宅での安置はスペースや室温管理の課題がある一方、専用施設は面会の可否や時間が限られる場合があるため、希望に応じて選択するようにします。
※参照：墓地、埋葬等に関する法律（昭和２３年５月３１日法律第４８号）-厚生労働省
葬儀社と打ち合わせ
ご遺体の安置が完了した後、葬儀社の担当者と具体的な打ち合わせを行います。所要時間は1〜3時間程度を想定するといいでしょう。この打ち合わせで、主に以下の項目を決定していきます。
| 葬儀の日程と場所 | 火葬場の空き状況を確認し、通常では予約してから告別式の日程と会場を決定する |
| 葬儀の形式と内容 | 一日葬で執り行うことを明確に伝え、プランや具体的な式の流れを確定させる |
| その他 | 喪主の決定、遺影写真の選定、参列者人数の予測、会食や返礼品の有無と内容、僧侶などの宗教者の手配 |
菩提寺がある場合は、逝去後できるだけ早い段階で連絡します。寺院によっては伝統的な儀式を重んじて一日葬を認めない場合もあるため、一日葬の形式で執り行いたい旨を伝え、了承を得ることが重要となります。、事前の確認を怠ると納骨トラブルの原因にもなり得るでしょう。
逝去から告別式当日までの日数は、地域ごとの火葬場の混雑状況にもよりますが、平均して3〜4日ほど空くことが多い傾向にあります。
訃報連絡と葬儀の案内
葬儀の日程が確定したら、親族や関係者に訃報の連絡と葬儀の案内を行います。
一日葬の場合、誰をどこまでの範囲で呼ぶかを事前に家族間でよく話し合っておくことが大切です。家族だけで行う場合は、一日葬を近親者のみで行うことを伝えます。
その上で、後日改めて弔問に伺いたいという申し出があった際に対応できるよう、準備しておく配慮も必要です。
一日葬当日の流れ
次に一日葬当日の流れをお伝えします。
告別式（タイムスケジュール例:午前9時開始 / 所要時間:約1時間）
遺族は開式の1時間〜1時間半前には式場に到着し、準備や参列者の出迎えを行います。仏式の告別式は、以下のような流れで進行するのが通例とされています。
- 参列者受付
- 僧侶入場・開式
- 読経
- 弔辞・弔電の奉読
- 焼香
- 弔電の奉読
- 僧侶の退場
- お花入れの儀
- 喪主挨拶
- 閉式
まず参列者が式場に到着し、受付を済ませます。その後僧侶が入場し、式の開始が告げられます。僧侶による読経、焼香など儀式の時間は30～40分程度です。
僧侶が退場後、弔電が奉読されます。参列者は棺の中に花を入れ、故人との最後の対面の時間を過ごします。
閉会間際に喪主が参列者へ感謝の言葉を述べ、告別式は終了となります。閉会後は出棺の準備に入っていきます。
出棺（タイムスケジュール例:午前10時〜11時頃）
告別式が終了すると、棺に蓋がされ、ご遺体は霊柩車へと運ばれます。この儀式を「出棺」といいます。
火葬場へ向かうのは、基本的に遺族とごく親しい親族のみとされています。一般の参列者は告別式の終了後、出棺を見送った時点で解散となります。
火葬（タイムスケジュール例:午前11時〜午後12時頃開始 / 所要時間:約1.5〜2時間）
火葬場に到着後、火葬場のスタッフに火葬許可証を提出して受付を済ませます。
火葬炉の前で「納めの式」と呼ばれる最後のお別れの儀式を行います。僧侶が同行している場合は炉前法要が行われ、参列者が焼香を行う場合もあります。
納めの式が終わると、ご遺体は火葬炉に納められ、火葬が開始されます。火葬にかかる時間は1時間〜1時間半程度で、その間は遺族や近親者は控室で待機します。
火葬終了後、遺族と近親者は収骨室に集まり、箸を使ってご遺骨を骨壺に納めていきます。この儀式を「お骨上げ」と呼びます。
繰り上げ法要（タイムスケジュール例:午前12時半〜14時頃 / 所要時間:約30分）
繰り上げ法要では、本来は逝去日から七日目に行う「初七日法要」を葬儀当日に繰り上げて執り行います。現代では遠方の親族などの負担を考慮し、葬儀当日に繰り上げて行うこの形式が多く選ばれています。
繰り上げ法要を行うタイミングには主に2つのパターンがあります。
| 組み込み法要 | 葬儀・告別式の読経後、法要の読経が行われる |
| 繰り上げ法要 | 火葬・お骨上げの後、再び式場に戻るか、別の場所を設けて行う |
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精進落とし
葬儀が無事に終わった後、僧侶や参列者を労うために設けられる会食の席を「精進落とし」といいます。
ただ一日葬では儀式の簡略化に伴い、精進落としも省略されることがあります。その場合は、火葬後にそのまま解散となる流れが多くみられます。
地域によっては、火葬を待つ時間に食事をとることもあります。また、会食の代わりにお弁当を持ち帰ってもらうこともあります。
まとめ
一日葬は、通夜を省略して葬儀・告別式と火葬を1日に集約することで、遺族の負担を減らしながらも、故人とのお別れの時間も大切に過ごせる葬儀形式です。
当日の流れを把握しておくことはもちろん、菩提寺への事前相談や、時間帯の問題から参列が難しい方への配慮も重要となります。
本記事で紹介した流れや注意点を参考に遺族にとって最適な形で、心静かに故人をお見送りできるよう準備を進めましょう。
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一日葬はコロナ禍を経て、全国的に広まっています。亡くなる人の高齢化で、集まる人が「夜の移動は負担」と感じる人が多くなっているのも理由でしょう。一日葬であっても、前日夜に、故人を囲んで食事をするなど、ゆっくりお別れの時間を過ごす家族もいます。