葬儀社の選び方や選ぶタイミングは？3つのポイントを解説
本記事のポイント
- 納得のいく葬儀社を選ぶには見積もりをよく確認する
→追加が発生した場合の金額まで明示してもらう - 事前に遺族が希望する葬儀がその葬儀社で実現できるのか確認
- 事前に遺族が希望する葬儀の形式がその葬儀社にあるのか確認する
- 遺族に寄り添ってプランを提案してくれる葬儀社を選ぶ
多くの葬儀社の中から、依頼する葬儀社を選ぶのは時間と労力がかかります。
また、やり直しができないことからさらに悩んでしまう遺族の方も少なくありません。
そこで本記事では、葬儀社を選ぶ際に基準となる主な3つのポイントを紹介します。併せて遺族側が適切な葬儀社を見つけるために、事前に確認しておきたい項目についても触れています。
本記事を参考に、安心して任せられる葬儀社を見つけましょう。
葬儀社の種類
葬儀社は主に以下の3種類に分類できます。
葬儀専門業者は、葬儀サービスの提供を専門的に行う業者を指します。地域密着型の小規模な葬儀社や、全国展開の大規模な葬儀社など規模は様々です。遺族のニーズによって柔軟な対応がしやすい点が特徴といえます。
互助会は将来の冠婚葬祭に備えて毎月一定額を積み立てることで、葬儀費用の一部をまかなうことができるシステムです。ただ、葬儀費用全体からみれば積立金を利用できるのは一部のみなので、総額は割高になってしまうこともあります。
JAや生協などの共済では、組合員向けのサービスの一環として葬祭事業を行っています。組合員が亡くなった際には葬儀費用の一部を補助してもらえるので、遺族の費用負担を軽減できます。一定の条件を満たせば、組合員でなくても利用できる可能性もあります。
※参照：葬祭業-厚生労働省/互助会とは-一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会（全互協）
葬祭-日本生活協同組合連合会/JA葬祭-農業協同組合
葬儀社を選ぶため3つのポイント
葬儀は故人と最後の時間を過ごす大切な儀式です。そのため、安心して任せられる葬儀社を選ぶのが肝心とされています。
ここでは葬儀社を選ぶ上で主に着目したいポイントを3つ解説します。
費用
サイトに記載された金額だけでなく見積もりを参考にすると、費用イメージの解像度が高くなります。
ただ、提示された見積もりは葬儀社によっては、ざっくりとした内容のものもみられます。
何が含まれていて何が含まれていないか、明確に提示されているかも1つの基準になるでしょう。確認が不足すると、後から追加費用を請求されてトラブルになる可能性も想定されます。
また、追加料金の有無を解説してくれる葬儀社は、親切で信頼度が高いといえます。その際は追加料金が発生する場合の項目と、費用についても確認しておくと安心です。
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プラン内容
故人や遺族が望む形の葬儀を執り行えるかも重要な判断軸となります。
葬儀社によっては同じ地域でも得意な場所と不得意な場所があります。生花祭壇が得意な葬儀社、ご遺体ケアが得意な葬儀社、演出が得意な葬儀社、大規模葬が得意な葬儀社、社員教育に自信のある葬儀社など、それぞれカラーが異なります。
また、葬儀には主に以下のような形式があり、その葬儀社が対応しているかどうかも確認すべきでしょう。
| 一般葬 | 人数・日数のどちらにおいても主要な葬儀の中で規模が大きい葬儀 |
| 家族葬 | 近親者のみで通夜・告別式もしくは告別式のみを行う |
| 一日葬 | 通夜を行わず告別式のみを行う |
| 直葬 | 通夜・告別式どちらも行わず火葬のみを行う |
また、仮に希望する葬儀に対応していたとしても、その葬儀社のサイト上では違う葬儀を大々的に紹介しているケースもなかには存在します。
葬儀社によっても葬儀形式の得意・不得意があるため、併せて考慮しておくと理想に近づきやすくなります。
信頼と実績
葬儀社の考え方や対応力は葬儀のクオリティに直結しやすい要素とされています。
葬儀当日に遺族や参列者に、諸々の気配りをしてくれるのは他ならぬ葬儀社のスタッフだからです。参列者が快適に過ごせるよう、しっかりを見極めていきたいポイントです。
また、打合せの段階でも遺族目線でどんな葬儀が最善か、誠実に提案してくれる葬儀社がいい葬儀社といえます。なかには遺族の希望に沿って、費用をかけずに工夫を凝らした葬儀を施行してくれる葬儀社もあります。
その際に葬祭ディレクターの資格を保有しているなど、葬儀知識や経験が豊富なスタッフが在籍しているとより頼もしいでしょう。
ケースに応じた葬儀社の選び方
葬儀社の選び方は状況や遺族の希望によっても変わってくるでしょう。ここでは以下の5つのケースに応じた選び方を紹介します。
また、前述した3つのポイントを参考にしても絞り切れなかった方も、＋αとして参考にしてみてください。
希望する地域で葬儀を行いたいケース
希望する地域での葬儀に対応可能かも大きな判断軸となります。
多くの葬儀社は地域ごとに対応地域があります。葬儀社はその地域内で搬送や斎場手配、火葬場手配を行います。
希望する地域が対応外だった場合、その地域の斎場を手配することが難しいこともあります。また、搬送に時間がかかるデメリットも想定されます。
希望する地域に根ざした葬儀社を選ぶことで、地域の実情に沿った内容で施行してくれます。どの地域で行いたいのか、事前に家族間で共有しておくことをおすすめします。
信仰している宗教・宗派が故人や遺族にあるケース
行う葬儀の宗教や宗派が定まっていれば、葬儀社の対応有無を確認します。
特に寺院の本堂で行う場合やキリスト教の教会で行う場合などは、葬儀社が指定されることがあります。事前に所属の寺院や教会に確認しておきましょう。
現金や葬儀費用がすぐに用意できないケース
支払い方法と期限についても確認しておきたいところです。
以前は現金一括払いという流れが主流でしたが、近年はクレジットカードや分割払い、葬儀ローンに対応している葬儀社もみられます。手元に現金がなくても決済できる点はメリットでしょう。
また期限に関しても、葬儀後のタイミングで速やかに支払う必要がある葬儀社もあれば、1週間程度猶予のある葬儀もみられます。葬儀前は葬儀の準備に追われ費用の用意まで手が回らないことも想定できるため、なるべく期限にゆとりのある葬儀社を選ぶのが望ましいでしょう。
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早朝や深夜に家族が亡くなったケース
故人が亡くなられたタイミングが日中であれば問題ありませんが、早朝・深夜だった場合はその時間に対応可能な葬儀社を探す必要があります。早朝・深夜対応可能な葬儀社なら基本的に時間を問わず、ご遺体の搬送や安置を任せられます。
葬儀の打合せに関しては、ご家族の負担を考えて翌日に行われることが多いようです。ただ、なるべく早めに葬儀を行いたいなど、遺族の希望次第では同日に行うケースもみられます。
葬儀後の手続きまでフォローしてほしいケース
葬儀社がサポートする範囲は一般的には通夜と葬儀ですが、手厚い葬儀社だとアフターサポートを受け付けているケースがあります。
アフターサポートは主に以下のような項目があります。
- 役所手続き
- 遺産相続
- 遺品整理
- 法事・法要の手伝い
- 位牌・仏壇の手配
- お墓の手配
基本的には別途費用がかかりますが、多くの対応を遺族が自力で進めるのは困難といわれています。利用することで負担を軽減するのも賢明です。
アフターサポートの相談自体は無料としている葬儀社が多いため、まずは相談して今後の手続きの流れを洗い出してみましょう。
葬儀社を選ぶ前に確認すること
よい葬儀社を選ぶには、葬儀の内容をあらかじめイメージしておくことが大事です。
事前に確認しておきたい項目には以下のような内容が挙げられます。
- 規模
- 予算の上限額
- 場所や設備
規模
葬儀はそれぞれ規模が異なり、遺族が行いたい葬儀に合わせて形式を選ぶことができます。葬儀の形式には主に以下の4つがあります。
- 一般葬
- 家族葬
- 一日葬
- 直葬
上記のなかから参列者の数や予算を考慮して、適切な形式を絞ります。
参列者の範囲に決まりはありませんが、親族や故人と親しかった友人・知人を中心に考えるといいでしょう。
近親者だけなら家族葬や直葬、遠い親戚や知り合いまで呼ぶなら一般葬が適切とされています。夜の移動が負担であれば、通夜を省いて一日葬にするといいでしょう。
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予算の上限額
葬儀の打合せでは葬儀スタッフから、オプションや追加費用について案内されるケースもみられます。
そのようなときには、葬儀の予算の上限を決めておくと判断がしやすくなります。その場の空気に飲まれて、予想以上の費用負担を被るリスクも減らすことができるでしょう。
何でも断るのではなく、必要だと感じれば予算内で適宜取り入れてみると、予想以上に素敵な内容になるケースも少なくありません。
場所や設備
自宅や安置所近くの斎場にするか、親族をはじめとする参列者の交通の便を優先するかも、事前に検討しておきたい点です。
東京近郊のように貸斎場が多い地域と、葬儀社保有の自社斎場が多い地域では葬儀社の選び方が変わります。いずれにせよ、どこで葬儀を行いたいのか、場所が決まれば探す葬儀社の範囲が狭まり、探しやすくなるでしょう。
葬儀斎場については、貸斎場か、葬儀社保有の自社斎場か、宿泊（仮眠）の可否、式場の大きさ等によって使い勝手や式場使用料が変わります。ハードや設備が立派だと、使用料は高額になる傾向があります。
葬儀社を選ぶタイミングは3つに分類される
葬儀社を選ぶタイミングはいつが適切なのでしょうか。遺族が葬儀社を探すタイミングは、主に以下の3つが考えられます。
- 亡くなられた後、ご遺体の搬送前に葬儀社を選ぶ
- 亡くなられた後、ご遺体の搬送後に葬儀社を選ぶ
- 生前にあらかじめ葬儀社を選んでおく
故人が亡くなられた後に葬儀社を探すケースでは、遺族側が動揺していることもあり、冷静な判断がしづらい状況です。
とくに病院や介護施設などで亡くなられたパターンでは、速やかに別の場所への搬送を求められるのが一般的です。そのため焦る遺族も少なくないでしょう。
そのような環境で適切な葬儀社を見つけるためにも、大まかでも構わないので、葬儀形式や予算の上限額などを、あらかじめ決めておくのが賢明です。
ただ、もう少し時間をかけて探したい場合は、病院に紹介された葬儀社に搬送のみを依頼するのも一策ではあります。しかし安置先がその葬儀社の自社式場の場合は、そこから別の葬儀社に変更するのはあまり現実的とはいえません。
そのため、できれば家族が生前のうちに探しておくのが理想的です。複数の葬儀社を時間をかけて比較できるだけでなく、事前相談する時間も作ることができるためです。
また、生前相談の場合は費用割引などの特典がある場合もみられ、費用負担の軽減につながるでしょう。
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葬儀社を選ぶポイントがわかったところで、4つのステップに分けて具体的な行動を解説していきます。実際の動き方がイメージできるようになると、判断を誤らず落ち着いて進められるでしょう。
今回は「生前にあらかじめ葬儀社を選んでおく場合」の流れを紹介します。逝去後に葬儀社を探す場合はステップ3以降を参考にしてみてください。
ステップ1：情報収集と要望の整
まずはどのような葬儀にしたいかを家族で話し合い、要望を明確にすることから始めます。本人のご意向、宗教形式、おおよその規模や予算などを整理しておくと、その後の進行がスムーズです。
その上で、インターネットの比較サイトや知人からの紹介などを活用し、候補となる葬儀社の情報を集めましょう。気になる会社があれば、パンフレットを取り寄せてみるのも有効です。
ステップ2：事前相談で担当者を見極める
候補を2〜3社に絞り込んだら、実際に事前相談に足を運びます。家族で話し合った要望を伝え、具体的な見積もりを出してもらいましょう。
この際、費用だけでなく、担当者の対応も重要な判断材料です。質問に丁寧に答えてくれるか、説明は分かりやすいかなど、親身に寄り添ってくれて信頼できる相手かを見極めたいところです。
ステップ3：見積もりの詳細な比較検討
複数の葬儀社から見積もりを取り、内容を細かく比較します。
「一式」や「セットプラン」といった項目だけでなく、何が含まれ、何が別途で必要となるのかを必ず確認しましょう。不要なオプションが含まれていないか、追加料金が発生する可能性はあるかなど、不明点は遠慮なく質問し、納得できるまで確認するようにします。
ステップ4：納得の上で契約する
見積もり内容、サービス、そして担当者の対応などを総合的に判断し、最も信頼できる1社を選びます。
契約する前には、契約書の内容を隅々まで確認し、疑問点を解消しておくことが大切です。万が一に備えて、キャンセル料に関する規定についても確認しておくと賢明です。
葬儀社選びを間違えた際のトラブル事例
葬儀社選びを間違えてしまった場合、葬儀社と遺族の間で思わぬトラブルが発生するリスクが想定されます。
ここでは想定されるトラブルについて解説していきます。
追加費用が発生した
多くの葬儀社が見積りの段階で総額の費用を提示していますが、なかには提示された見積もりより多額の追加費用を請求されるケースがあります。
合意の上で発生した費用であれば問題ありませんが、身に覚えのない追加費用の請求はトラブルに発展しやすいでしょう。契約前に追加費用が発生する可能性について、よく確認する必要があります。
※参照：葬儀事業者における葬儀費用に係る表示の適正化について -消費者庁
高額なプランへの誘導
葬儀社スタッフによっては、高額なプランやオプションへの勧誘が強引なケースもみられます。ここで押し切られてしまうと、葬儀の内容自体も満足度が低くなる可能性があります。
勧誘が心配であれば事前に明確な葬儀の希望を定めて、提示することで余計な勧誘を受けにくくなるでしょう。
契約内容とサービス内容が違った
葬儀の形式や規模、内容が打ち合わせた内容と異なることで、トラブルに発展するケースも想定されます。
対策としては契約書に葬儀の内容や費用を、詳細に記載してもらうことが重要です。遺族側でも打ち合わせの内容をメモして、後から確認できるようにしておくと安心でしょう。
まとめ
葬儀では「こんなはずでは……」と後悔する遺族も一定数みられます。その原因のほとんどが葬儀社選びにあるといっても過言ではありません。
多くの場合、遺族は時間的にも精神的にも余裕のないタイミングで選択と決断を迫られます。そうした負担や混乱を避けるためにも、生前の段階での葬儀社選びを検討してみてはいかがでしょうか。
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