臨済宗の葬儀 作法から費用まで解説
近親者が亡くなったとき、遺族は悲しみをこらえながらも、葬儀の準備をしなければなりません。
葬儀に参列した経験はあっても、初めて葬儀を執り行う立場になると、知らないことばかりで戸惑う方も多いでしょう。
参列者であったとしても、宗教・宗派によって作法やマナーが変わり、葬儀の場で困惑してしまうこともあり得ます。
この記事では、臨済宗の葬儀を営む上で知っておきたい知識を分かりやすく解説します。多くの方が疑問に感じたり、迷ったりする事柄を解消する内容となっています。
万一のときにも心安らかに故人を送ることができるよう、目を通してください。
臨済宗の葬儀
まずは臨済宗の考え方や葬儀の特徴を解説します。
仏教にはさまざまな宗派があり、葬儀の営み方がそれぞれ異なります。信仰する宗派が葬儀についてどのような考え方を持っているのかを知ることは、葬儀に関わる儀式やしきたりを理解するために役立ちます。
臨済宗は大元をたどると、中国禅宗「五家七宗(ごけしちしゅう)」の一つで、宗祖(開祖)は唐代の禅僧・臨済義玄(りんざいぎげん)ですが、日本に伝えた栄西を開祖としています。
栄西は、1141年に岡山県の神社の家に生まれ、14歳で比叡山に登り出家しました。その後、鎌倉時代(28歳の時)に宋(当時の中国)へと渡り、禅宗の教えを学んで日本に持ち帰って、20年間は密教僧として活躍した後に臨済宗を開きました。
臨済宗は、曹洞宗や黄檗宗とともに日本三大禅宗の一つで、曹洞宗、浄土宗、浄土真宗、時宗、法華宗が栄えた鎌倉新仏教の一つでもあります。
日本の臨済宗には、天竜寺派・相国寺派・建仁寺派・南禅寺派・妙心寺派・建長寺派・東福寺派・大徳寺派・円覚寺派・永源寺派・方広寺派・国泰寺派・仏通寺派・向嶽寺派の十四派があり、臨済宗十四派と呼ばれます。十四派それぞれが本山を持ち、寺院総数は約5,600、信者数は100万人と言われています。その中でも最大なものは京都の妙心寺を本山とする妙心寺派ですが、それ以外にも有名な寺院が多いのも臨済宗の特徴です。
また特定の本尊は立てませんが、それぞれの寺院には、縁に応じて、釈迦牟尼仏・薬師如来・大日如来・観音菩薩・達磨大師・臨済義玄といった尊像が安置されています。
禅宗は禅問答でも知られるように、深く自己を探求する宗教です。自己を見つめ、自分自身と対話することを通して、悟りを開いていくことを目指します。
こうした禅宗の特徴をよく表しているのが、「看話禅(かんなぜん)」と呼ばれる座禅です。「看」は、じっと見守る・注視するの意味で、「話」は公案(古則公案)を指し、公案とは役所の公式文書の「公案の案讀(あんどく)」に由来する言葉で、いわゆる禅問答の問題です。看話禅では、師匠が弟子に悟りへと近づくための「公案」という課題を出します。公案を用いるので「公案禅」と呼ばれる場合もあります。
弟子はこの課題に対して、頭の中だけで考えるのではなく、全身をもって学び理解することで答えを見つけ、師匠に提示します。つまり、坐禅の実践中に工夫して考えるという過程の中で悟っていくことを目指します。書かれた聖典を与えられたものとして学ぶのではなく、それらを説いた釈迦牟尼仏の心そのものを直接自分自身が体得しようとするものであり、師から弟子へと、しかも心から心へと伝えてゆく、師資相承・以心伝心の立場が重視されるのです。
悟りを開くためには、次に挙げる四つの教えを実践することが大切とされています。
不立文字(ふりゅうもんじ):言葉や文字に依存することをやめることで、本当の教えを会得できる(禅宗が自らの立場を表明するに当たってしばしば用いたスローガンの一つで、悟りの境地を表現するのに言葉は十分ではないという意味)。
直指人心(じきしにんしん):自己の心をしっかりと見つめます(直指は、直ちに指し示す・直接に提示するの意味で、禅宗において、言葉や概念・思想などを媒介とせず、直接弟子を悟りに至らせることを表現するために用いられる)。
教外別伝(きょうげべつでん):看話禅という座禅を通して、仏様の教えを心から心へと伝えます(他宗に対して自らの立場を示すためのスローガンで、お経の研究によって仏の悟りを理解しようとする他宗とは異なり、禅宗では悟りの体験を得ている師匠が直接で弟子を指導することによって自らの境地を追体験させることを目指す)。
見性成仏(けんしょうじょうぶつ):本当の自分を理解することが悟りにつながると考えます(本来人間にそなわっている根源的な本性を見極める見性で、ただちに成仏すると考える)。
臨済宗の葬儀は、こうした禅の考え方を基本としています。葬儀は故人が仏様の弟子となって修行の道に入り、自分の中にある仏性(ぶっしょう)に目覚めるための儀式と考えられているのです。
臨済宗の葬儀は、故人が仏様の弟子となるための「授戒(じゅかい)」の儀式、経典を唱える「念誦(ねんじゅ)」の儀式、仏様の弟子になった故人を仏の世界へと導くための「引導(いんどう)」の儀式から構成されています。
この三つの儀式の意味は、以下の通りです。
授戒:僧侶が仏門に入る故人に対して、仏弟子として生きるための戒めを授ける儀式
念誦:故人が仏のご加護を受けながらあの世へ向かう事ができるように、僧侶がお経を読む儀式
引導:僧侶が法語を唱え、故人をあの世へと送り出す儀式
葬儀で広く念誦されるのは「般若心経」です。この他にも、「観音教」「大悲円満無礙神咒(だいひえんまんむげじんしゅ)※」「宗門安心章(しゅうもんあんじんしょう)」などもよく読まれます。
※「大悲呪(だいひじゅ)」とも呼ばれます
「大悲円満無礙神咒」は、他の宗派では 「大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)」とも呼ばれていますが、陀羅尼とは、千手観音菩薩の功徳をたたえる言葉です。「宗門安心章」は、全ての生命あるものは仏と説いています。
また臨済宗においては、宗教者の事は「導師」と呼ばれます。導師は、衆生を導く師の意味であり、本来は人生に迷う者を善き道へと導く師であり、衆生を仏道に導きます。
臨済宗の葬儀の流れ
ここでは具体的な臨済宗の葬儀の流れを見ていきますが、これはあくまで基本的なものです。臨済宗には十四もの宗派が存在し、それぞれの宗派によって若干異なりますので、事前に檀那寺に確認しておくようにしましょう。
枕経・通夜
枕経は臨終に際して行われる儀式です。かつては、臨終を迎える人の恐れを取り除き、心安らかに浄土へ旅立てるように唱えるものでしたが、現在では故人の枕元で唱えられます。
枕経では、「観音経」「大悲円満無礙神咒」などが読まれた後、仏様や祖師、先祖をたたえるために「和讃」などを唱えます。
通夜では、「般若心経」「白隠禅師坐禅和算(はくいんぜんしざぜんわさん)」などが読まれます。
自宅で臨終を迎える人がほとんどだった時代は、枕経を行った後に通夜式を営んでいました。しかし、病院で亡くなる方が多い現在では、通夜式の際に枕経が読まれます。
葬儀
臨済宗の葬儀は前の項で紹介したように、「授戒」「念誦」「引導」の三つで構成されています。葬儀は故人が仏様の弟子となるための授戒の儀式から始まります。
・導師入場
葬儀で故人に授戒を行い、引導を渡す導師(僧侶)が入場します。
・剃髪
導師が「剃髪の偈(ていはつのげ)」と呼ばれる経文を唱えながら、故人の髪をカミソリで剃ります。剃るまねで済ませることもあります。
・懺悔文(ざんげもん)
故人のこれまでの行いを懺悔して、成仏を祈ります。
・三帰戒文(さんきかいもん)
三帰の三は、仏・法・僧のことです。仏の教えに帰依することを誓います。
・三聚浄戒(さんじゅじょうかい) ・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)
故人を浄めるために、浄化した水を棺に注ぐ「酒水灌頂(しゃすいかんじょう)」を行います。これにより、故人は仏様の弟子として、正式に仏門に入ります。
・血脈授与(けちみゃくじゅよ)
香を焚いて霊前に供えます。
ここからは、故人を仏の世界へと導くための「引導」の儀式です。
・入龕諷経(にゅうがんふぎん)
諷経は声を揃えて経文を唱えることで、故人を棺に入れる際に唱える経文です。
・龕前念誦(がんぜんねんじゅ)
棺を閉じる際に経文を導師が唱えます。
・起龕諷経(きがんふぎん)
出棺の際に声を揃えて経文を唱えます。
・山頭念誦(さんとうねんじゅ)
故人が成仏できるように導師が「往生咒(おうじょうしゅ)」を唱えます。シンバルのような形をした金属製の妙鉢(みょうばち)と呼ばれる仏具や太鼓などを鳴らします。
・引導法語
故人を浄土へと送るための法語を導師が唱えます。
引導法語の後半で、導師が「喝!」と叫ぶ部分があります。これは、この世に対する未練から故人を解き放し、安らかに浄土へと旅立たせるという意味があります。
・焼香
導師によって「観音経」「大悲円満無礙神咒」などが唱えられる中、故人に血縁が近い参列者から順に焼香を行います。焼香が終了すると、導師が回向文を唱え、妙鉢や太鼓が打ち鳴らされて葬儀が終了します。
・告別式
本来、葬儀は親族や近親者が故人を浄土へ送るための儀式で、告別式は近しい人だけでなく故人とゆかりのある幅広い人が故人との別れをするための儀式でした。現在では葬儀と告別式に明確な違いはなく、両方を一つにして葬儀と呼んでいます。
・出棺
棺が葬儀場から火葬場へ向かいます。
臨済宗の葬儀の作法
臨済宗の葬儀を営むために身に付けておきたい作法について解説します。
数珠の作法
臨済宗を信仰している方には、略式とされる片手数珠を使っている方が多いと言われています。
しかし、臨済宗の正式な数珠は、108の玉が連なった「看経念珠(かんきんねんじゅ)」です。108の玉には、人間が持つ108種類の煩悩を解消する力があると考えられています。
看経念珠は同じ禅宗の一つである曹洞宗の葬儀でも使われます。また、振分念珠(ふりわけねんじゅ)と呼ばれる長い数珠を使ってもよいでしょう。振分念珠は日蓮宗以外の宗派で使うことができます。
合掌するとき以外で数珠を持ち歩く際は、数珠は左手の手首にかけておくのが作法です。看経念珠は二重にして手首にかけます。
看経念珠で合掌する際は、数珠を二重にして左手の親指と人差指の間にかけ、房が下にくるようにして、右手を添えて合掌します。
略式の片手念珠の場合は、そのまま左手の親指と人差指の間にかけて、右手を添えて合掌します。
焼香の作法
焼香の基本的な作法は次の通りです。
順番がきたら焼香台まで進み、喪主と遺族に一礼します。焼香台で仏前に合掌し、一礼します。
抹香の場合は、右手の親指と人差し指および中指の三本の指でつまみ、香炉にくべます。その後再び合掌し、礼拝します。
線香の場合は、線香を1本右手に持って、ろうそくに近づけて火をつけます。火がついたら、左手で軽くあおぐか、軽く振って消してください。息を吹きかけるのはマナー違反です。その後、合掌し、礼拝します。
抹香、線香ともに、焼香を終えたら、一歩下がって仏前に一礼し、その後喪主と遺族に一礼してから焼香台を去ります。
臨済宗では、焼香は1回とされています。また、香を額に押しいただいたりせずに、そのまま香炉にくべます。ただし、額に押しいただくことを禁じているわけではありません。
また、臨済宗の中でも、2回あるいは3回の焼香を行ったり、1回目だけ額に押しいただいたりする宗派もあるので、不安な場合は、檀那寺に確認しておくことをお勧めします。
焼香を行う2回場合は、1回目を「主香」、2回目を「添え香」と呼ぶこともあります。
香典の作法
臨済宗の葬儀だからといって、香典の表書きに特別なことはありません。他の宗派と同様に、四十九日までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」とします。
表書きを書く際は、葬儀の場合は薄墨、法要の場合は黒墨を使用します。
香典の額は、故人や喪家との関係、年齢、社会的な立場によって決まります。知人や友人の場合は5000円〜1万円が相場と言われていますが、年齢が上がると1万円〜3万円を包んでもよいでしょう。
若い人の場合は、友人などと数千円ずつを出し合って、きりのよい金額にすることもあります。仕事関係の場合は、5000円〜1万円が相場と言われていますが、年齢が上がるにつれて金額も高くなる傾向があります。
同僚の家族が亡くなった場合も、相場は5000円〜1万円と言われていますが、この場合も年齢などによって変わります。社内で出し合ってもよいでしょう。
一方、親族の場合は血縁の深さによって決まります。2親等の関係にあるきょうだいは3万円〜5万円、同じ2親等でも祖父母は1万円〜5万円が相場と言われています。また、3親等のおじ・おばは、1万円~3万円が相場と言われています。
ただし、親族の場合も年齢によって額が変わる傾向があります。20代では1万円、30代では3万円、40代以上になると3万円〜5万円というケースが多くなるようです。
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服装の作法
服装についても臨済宗独自の作法があるわけではありません。
通夜に参列する場合は、男性は黒のスーツとネクタイに黒の革靴、女性の場合も黒のスーツかワンピースに黒い靴を着用してください。どうしても参列までに喪服の用意が間に合わない場合は、地味目な色の平服でも構わないとされています。
アクセサリーは着けないのが原則ですが、パールのネックレスやブローチは着けてもよいとされています。パールは白いものを着用し、金やピンクなど派手な色味は避けるようにしましょう。ネックレスを着用する際は、2連や3連のものは避けるようにします。
結婚指輪は葬儀でも着用してよいとされていますが、金の色味のモノや、ダイヤが多く入ったような派手目なものは外しておくのが無難です。
カバンは華美な装飾が付いているものはNGです。黒色でシンプルなデザインのものを使用しましょう。
女性のメイクですが、葬儀の場におけるメイクは、薄め・控えめな「片化粧」が基本です。
片化粧では口紅も使わないのが基本とされていますが、まったく使わないことに抵抗がある場合は、ベージュを基調としたナチュラルな色味のものを薄く付けるようにします。また、ラメの入ったチークやアイシャドウなど、派手な雰囲気になるアイテムは片化粧には用いないようにしましょう。
一方、喪家や親族は通夜の場合も、礼服を着用するのが作法で、葬儀や告別式には、参列者も喪服を着用するのが一般的です。
男性はダークスーツに白いワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴を着用してください。女性は黒または地味な色のスーツまたはワンピースで、靴は黒、ストッキングは黒かベージュを選びましょう。
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臨済宗の葬儀のお供え
臨済宗の葬儀や法事の際は、どんな供物が供えられるのでしょうか。
供物は故人や仏様に対する感謝の気持ちを表すものです。遺族が供える他、親族や近親者、故人の勤務先の関係者などから贈られることもあります。
お供えする品目
お供えする品目は、宗教によって異なります。仏教の場合は、生花、線香、ろうそく、果物、干菓子、缶詰、お茶などが一般的です。故人の好物などをお供えすることもあります。
食品をお供えする際は、できるだけ日持ちするものを選ぶようにしましょう。仏教では不殺生戒の戒律があり、肉や魚などをお供えするのはタブーとされています。酒類も控えておいたほうがよいでしょう。
バラなどトゲがある花や植物もお供えには適していません。
葬儀に参列する人が供物を贈りたいという場合、香典を持参するべきか、供物や供花を贈るべきか悩むことがあります。
香典、供物、供花はどれも、故人や仏様への感謝を表すものなので、こういう場合はどれか一つで構いません。ただし、連名でお供えを贈るときは、供物とは別にそれぞれが香典を用意してもよいでしょう。
供物の相場
供物の相場は、5000円〜1万5000円程度と言われています。各自が用意して贈っても構いませんが、祭壇に飾る際の統一感を考えると、葬儀を請け負っている葬儀社で用意してもらう方が安心です。
臨済宗の葬儀の場合、供物の表書きは「御霊前」のほか、「御供物」「御供」などが一般的です。水引は東日本では黒白5本の結びきり、西日本では黄白5本の結びきりのものを選びましょう。
供物を贈るときの注意点
供物を贈る場合は次の点に注意してください。
事前に了承を得る
供物は式場の祭壇に飾られるので、大きな盛籠などを贈る場合は祭壇の配置などを配慮する必要があります。
また、最近は供物を辞退される喪家も増えているので、事前に必ず供物を贈りたい旨を伝え、了承を得るようにしましょう。供物を用意する際は、事前に葬儀社に相談しておくとスムーズです。
葬儀の開始までに届ける
贈られた供物は、通夜から告別式までずっと祭壇に飾られるため、式の開始までに届ける必要があります。飾り付けなどの準備もあるので、できる限り通夜当日の午前中のうちに届くように手配しましょう。
臨済宗の葬儀の仏具
臨済宗の葬儀や喪家で用いられる仏具を見てみましょう。
臨済宗の葬儀で使う仏具
・ご本尊
臨済宗では「釈迦牟尼仏」をご本尊として祀っています。「臨済宗には十四派」と言われるように多くの宗派がありますが、宗派に共通したご本尊は釈迦牟尼仏です。
釈迦牟尼仏は、仏教の開祖の釈迦を仏様として敬った呼び方をしたものです。この呼び名には、師から弟子に対して悟りを伝えていくことを重視する臨済宗ならではの考えがとても強く含まれています。お釈迦様を本師釈迦如来大和尚と呼び、禅そのものの開祖であるボーディダルマのことを初祖菩提達磨大師、また、臨済義玄を宗祖臨済大師と呼ぶように、師と弟子は常に一つにつながっているという考えです。そこから、仏教における最も尊い師であるご本尊・お釈迦様への帰依を表す南無釈迦牟尼仏という言葉を重んじるようになりました。宗派によっては、「薬師如来」や「観世音菩薩」を祀ることもあります。
「薬師如来」は大乗仏教の仏様のことで、「観世音菩薩」は修行中の身でありながら人々を導く菩薩の一つです。正式名を薬師瑠璃光如来といい、「薬師」はお医者さんや薬の意味であり、あらゆる病気を治療し衆生を病気や苦しみから救う癒しの仏さまです。そのため、手にもっている壺は薬壺です。
・脇侍
ご本尊の両脇に、掛け軸で祀るのが脇侍です。ご本尊が釈迦牟尼仏で共通しているのに対して、脇侍については宗派によって違いがあります。
臨済宗妙心寺派の場合は、向かって右側に「達磨大師」や「無相大師」、左側に「無相大師」または「観世音菩薩」という組み合わせが一般的です。
ただし、臨済宗は十四派に分かれるため、すべてがこの限りではありません。不明な場合は菩提寺に尋ねてみることをお勧めします。
・位牌
臨済宗の位牌には特別なしきたりはなく、塗位牌、唐木位牌ともに選ぶことができます。予算や仏壇に合わせて、好みのものを選ぶとよいでしょう。
複数の位牌をまとめた「回出位牌」や、一つの位牌に2〜4名の名前が入れられる「巾広位牌」も選ぶことができます。標準的な位牌のサイズは4寸で、全体の高さは20cm程度です。
仏壇に合った位牌の高さは、脇侍の掛け軸のおよそ7〜8割と言われています。また、ご先祖様の位牌が先にある場合は、その位牌よりも大きくならないように注意してください。
・花立
花を活けるのは、仏様の慈悲の心を表すと考えられており、生花を生ける花立は必須の仏具です。
・火立
火立とはろうそく台のことです。ろうそくの火は仏様の智慧を表す光明となり、暗闇を取り除くと考えられています。
・机上香炉
香を焚くための香炉も必須です。香には清浄の働きがあると考えられ、香を焚くことで場が清らかになるとされています。
・仏飯器、湯呑、仏器膳
ご飯を盛った仏飯器、お茶や白湯を入れる湯呑は、仏器膳という台に乗せてお供えします。
・仏膳
お盆、彼岸、法事などの際に、精進料理をお供えするためのお膳です。
・高杯
お供えの菓子や果物などなどを載せる脚付きの台です。
・リン
リンの澄んだ音は邪念を払うとされています。読経や日々のお勤めの際に鳴らします。
・木魚
読経の際に拍子を取るためにたたく木製の仏具です。革や布を巻いた棒でたたくと、ポクポクという音がします。
・角打敷
錦や金襴など豪華な織物で作られた長方形の布です。仏前の前卓などに敷いて使用します。
臨済宗の葬式の費用
臨済宗の葬儀を営むためには、どの程度の費用が必要なのでしょうか。
葬儀に掛かる費用は、式の規模、喪家と寺院との関係、地域などによってまったく異なります。さらに、お布施の相場や読経料、臨済宗の葬式の特徴である戒名もランクによって料金が変わります。このため、臨済宗の葬儀の費用の相場を出すのは非常に困難です。
葬儀一式に掛かる費用の全国平均は約200万円程度と言われています。
参考として、一般的な葬儀の費用を項目別に見てみましょう。
葬儀一式費用
遺体の搬送、通夜、葬儀・告別式、火葬関係の費用、葬儀社の人件費などに掛かる費用は、平均て約120万円と言われています。
飲食接待費
通夜から葬儀・告別式、葬儀当日に行う法事などの飲食、タクシー運転者への心付けなどの費用です。全国平均で約30万円と言われています。
寺院費用
僧侶の読経や戒名のお礼として渡すお布施のことです。一般的な葬儀の場合、通夜から翌日の葬儀・告別式、火葬時の読経などを含めて、約45万円と言われています。
ただし、寺院費用は寺院や僧侶の格、寺院と喪家との関係、地域などによって大幅に違うので、あくまで目安としてください。
戒名料
戒名のお布施を例にすると、「信士・信女」が付く一般的な戒名の場合、お布施は約30万円〜50万円と言われています。これに対して、「院居士・院大姉」が付く格の高い戒名になると、100万円以上のお布施が必要になることもあります。
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臨済宗の葬儀の弔電
臨済宗形式の弔電の留意点
仕事などの都合で遠隔地にいる、健康上の理由や事情があって葬儀に出席できない場合には、弔電を使って喪主や遺族に哀悼の意を伝えます。
通常、弔電は喪主に宛て、通夜や葬儀が行われる会場に式の開始時間までに送るようにします。ただし、式の開始時間までというのは最低限のタイムリミットです。
訃報を受けたら、できるだけすみやかに送るようにしましょう。葬儀が終わってから打つのは、マナー違反になるので注意してください。
弔電を送った後に参列できるようになった場合は、式に出ても失礼には当たりません。
臨済宗の弔電で用いられる例文
定型文を使う場合は問題ありませんが、オリジナルの文章にする場合は宗教、宗派にふさわしくない言葉や忌み言葉を使わないように注意が必要です。
忌み言葉とは、「重ね重ね」「再び」など繰り返しをイメージさせる言葉です。
弔電の例文をいくつか紹介しましょう。
知人・友人の場合
「◯◯様のご逝去の報に接し、心からお悔やみ申し上げます」
仕事関係の場合
「◯◯様のご訃報に、当社社員一同、謹んで哀悼の意を表します」
または「ご逝去を悼み、◯◯様のご功績をたたえ、心からお悔やみ申し上げます」などが挙げられます。
まとめ
臨済宗の葬儀をスムーズに営むためには、一般的な葬儀の知識だけではなく、宗派独自の考え方やしきたりについて理解しておくことが必要です。
この記事では、宗派の教えや葬儀に対する考え方はもちろん、作法やマナーについても、他の宗教、宗派との違いを含めて紹介しました。
故人や遺族の思いに沿った臨済宗の葬儀を営んでいただくため、疑問に思うことがある場合には、知りたい項目を再確認してぜひ活用してください。
葬儀の費用を抑えるためのポイント
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