華厳宗の葬儀の方法とは?作法や費用相場についても解説
親しい方が亡くなって、その方が華厳宗(けごんしゅう)を信仰していたら、葬儀は「華厳宗の葬儀式を行うもの」と考えてしまいますよね。
ところが華厳宗は密教であり、学問的な要素が高いため、葬儀などの宗教的な儀式を行いません。それでは、華厳宗を信仰している方は葬儀ができないのでしょうか。
華厳宗を信仰している方は、他の宗派に頼むか、無宗教葬や直葬のような宗教の壁を越えた葬儀を執り行います。
そこで今回は華厳宗について、それから華厳宗の方が葬儀をする場合に、葬儀式を他の宗派に頼んだときの例として華厳宗と親和性の高い真言宗の葬儀、さらには無宗教葬や直葬について解説します。
華厳宗とは?
華厳宗の本尊は奈良の大仏
華厳宗とは、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)を本尊として祀っている仏教宗派で、唐(618年~907年)の時代の中国で始まった大乗仏教の一つです。
華厳宗の特徴として、「四法界(しほっかい)」という考え方があります。四法界とは、事法界(じほっかい)・理法界(りほっかい)・理事無礙法界(りじむげほっかい)・時事無礙法界(じじむげほっかい)の四つを指しています。華厳宗には、世の中をこの四つの見方で見ることで、自分本位ではなく、発生した事象をありのままに捉えることが大切だという考え方があります。
華厳宗の経典となるのは、「華厳経(けごんきょう)」で、正式名称は「大方広仏華厳宗(だいほうこうぶつけごんきょう)」と呼ばれます。華厳経の思想を発展させた宗派になります。
そして、開祖となる杜順(とじゅん)には、神秘的なエピソードが多くあります。
杜順にまつわる逸話としては、「民衆とともに野に伏して病を治した」や、「予定していた人数よりも多くの人がお寺に来たのに斎食(お寺で出す食事)が足りる」などがあり、知恵をつかさどる文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の化身と考えらています。
華厳宗は、開祖の杜順から数えて3代目の第3祖である法蔵の弟子である審祥(しんしょう・しんじょう)によって中国から日本へと伝えられました。
審祥は唐に渡って法蔵(ほうぞう)から華厳を学び、帰国して奈良にある大安寺(だいあんじ)に住みました。ちなみに大安寺は現在、高野山真言宗の寺院になっています。
審祥は後の東大寺である金鐘寺(こんしゅじ)で「華厳経」と「梵網経(ぼんもうきょう)」についての講義を3年間行います。
それを受けて聖武天皇が「華厳経」に説かれる廬舎那仏(るしゃなぶつ)という名の仏を大仏として建立(745年)。それが今の「奈良の大仏」として知られる東大寺の大仏のことです。
そして、東大寺は華厳宗の総本山になりました。
華厳宗は南都六宗の一つ
華厳宗は、南都六宗(なんとろくしゅう)の一つです。
南都六宗とは、奈良時代の六つの仏教学派の総称で、華厳宗のほかに、倶舎宗(くしゃしゅう)、成実宗(じょうじつしゅう)、律宗(りっしゅう)、法相宗(ほっそうしゅう)と三論宗(さんろんしゅう)があります。現在に残るのは華厳宗以外には、法相宗と律宗だけです。
どの宗派も学術的な要素が強く、仏教の教理を学ぶための宗派として成長していきました。
華厳宗は葬儀はしない
華厳宗は、経典の研究を目的とした学問として発展した宗派であるため、教えを論理体系として構築できたものの、それを宗教儀式として執り行う習慣は確立されませんでした。そのため法要や葬儀のような儀式はありません。
他の宗派の僧侶が葬儀を行うか直葬
それでは華厳宗を信仰する方が亡くなられた場合には、どのような葬儀をするのでしょうか。
一つは、他の宗派の僧侶に依頼してその宗派にのっとった葬儀を行う方法です。特に華厳宗と親和性の高い真言宗の僧侶に葬儀をお願いすることが多いようです。なお、他の宗派に葬儀を依頼する場合、檀家に入ることが条件となっている場合もありますので、事前に確認が必要です。
宗教的な儀礼を取り入れたくない場合、無宗教葬や通夜、火葬を行わない直葬という方法が挙げられます。これらの方法は、宗教儀式にこだわらない場合に選ばれることが多く、華厳宗の方の葬儀に適していると言えます。
また華厳宗には檀家制度もないため、お墓への埋葬は他の宗派のお寺にお願いするか、宗派不問の墓地や霊園に埋葬します。
葬儀式の特徴と流れ
華厳宗を信仰する人が行える葬儀としては、他宗派にお願いするか、無宗教葬か直葬です。
そこで、華厳宗と親和性の高い真言宗の葬儀と無宗教葬、最後に直葬について解説します。
真言宗の特徴と葬儀式
真言宗は華厳宗と同じ密教だが葬儀は行う
真言宗とは、大日如(だいにちにょらい)を本尊とする、平安時代に空海(弘法大師)が開いた宗派です。真言宗は華厳宗と同じく密教ですが、葬儀式を行います。
密教を基盤とした固有の儀式が、葬儀式に取り込まれています。
真言宗の葬儀式の特徴
真言宗の葬儀は、故人を大日如来が支配する「密厳浄土(みつごんじょうど)」へ導くための儀式です。
「密厳浄土」とは大日如来を中心に幾層にも重なり、死者の住む層から私たちの層にまでつながっています。
葬儀式で行われる特徴的な儀式は「不動灌頂(ふどうかんじょう)」です。故人の頭から水を注ぎ、仏の位へと引き上げるという意味があります。
真言宗の葬儀式の流れ
- 僧侶が入堂すると、法要前の準備として遺体を清めるために香を塗る「塗香(ずこう)」に始まり、「三密観(さんみつかん)」「護身法(ごしんぼう)」「加持香水(かじこうずい)」の儀式が行われます。
- 「三礼(さんらい)」を唱えて仏法僧に礼拝すると、「表白(ひょうびゃく)」や「神分(じんぶん)」で大日如来をはじめとした菩薩や仏に感謝の意をささげます。
- 「声明(しょうみょう)」で御仏を賛美した音楽をささげます。
- 「授戒作法」により、剃髪や授戒をして故人を仏僧に帰依させて、戒名も付けられます。
- 再び「表白」と「神分」が行われ、密教固有の儀式である「不動灌頂」や「弥勒三種(みろくさんしゅ)の印明(いんめい)」が授けられると、故人の即身成仏がなされます。
- 「墓前作法」で「破地獄(はじごく)の真言」が与えられて故人の心に地獄が取り除かれ、金剛杵という法具と、密教の血脈が授けられます。
- 焼香をして出棺となり、葬儀が終わります。
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無宗教葬の特徴
宗教的な儀礼を一切行わない無宗教葬は、自由葬やプロデュース葬とも呼ばれ、決まった流れはありません。
宗教の作法やしきたりに囚われずに自由に葬儀を演出できるため、遺族の故人への気持ちが強く反映された葬儀になる傾向があります。
故人が好きだった音楽を流したり、映像を上映するなどして、故人との別れを惜しみ、会食などの後、出棺、火葬という流れが一般的です。
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直葬の特徴
直葬は、無宗教葬の一つとも考えられていますが、宗教的儀式を行わない葬儀です。
通夜や告別式などの儀式は行われず、納棺後に自宅または病院から出棺、安置後に火葬場に移り火葬をします。
僧侶を招かないためお布施なども必要なく、経済的な理由から都市部を中心に広まっています。
直葬の流れ
ここでは、具体的な直葬の流れを紹介します。
- 臨終
死亡が確認された後、医師に死亡診断書を発行してもらいます。また、並行して葬儀社への連絡も行い、故人の遺体を搬送する準備をしましょう。 - 遺体の搬送・安置
死亡後24時間経過しないと火葬ができないため、一時的に遺体を安置する必要があります。充分なスペースがあれば自宅へ、自宅での安置が難しければ葬儀社の安置スペースへ遺体を搬送しましょう。 - 葬儀社との打ち合わせ、死亡届の提出と火葬許可証の受け取り
遺体の安置が完了したら、葬儀社と火葬に関する打ち合わせを行います。その後、役所へ死亡届を提出し火葬許可証を受け取りましょう。死亡届の提出などは葬儀社が代理で行ってくれる場合もあるので、役所へ行くのが難しい場合は葬儀社へ相談してみてください。 - 火葬
当日は家族や親しい親族が火葬場へ集合し、棺に花や思い出の品を納め、故人との最期の時間を過ごします。直葬の場合、お別れの時間もかなり短時間になるため、気になる方は事前に葬儀社に確認してください。その後、棺を炉に入れて火葬が行われます。火葬終了までは、1時間~1時間半程度です。 - 骨上げ
火葬が終了したら、骨壺にお骨を納める「骨上げ」を行います。喪主から故人と血縁が濃い順にお骨を納めます。
以上が簡単な直葬の流れです。場合によっては、直葬の後に散骨やお別れ会が行われる場合もあります。
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葬儀式の費用の相場
葬儀式の費用の相場について、仏式の葬儀、無宗教葬、直葬の場合と、葬儀別に紹介します。
葬儀費用の相場は200万円前後
葬儀費用の相場は全国平均で約200万円ほど掛かると言われています。その内訳は、遺体搬送費用、葬儀一式、供物代、飲食接待費、そして寺院に対する謝礼です。
ただし葬儀費用は、祭壇の種類や地域差や、さらに参列者の数などでその費用は大きく変わります。
無宗教葬の費用の相場
無宗教葬に掛かる費用の内訳としては、基本的に遺体搬送費用、火葬費、飲食接待費が必要となります。しかし、葬儀の内容によって掛かる費用も異なりますので注意が必要です。
音楽の生演奏を予定しているのならミュージシャンへの謝礼に機材の設置料、DVDなどで思い出の映像を流すのであればその制作費用なども掛かります。
演出次第で、その費用は大きく変わってきます。
直葬の葬儀費用の相場
直葬の場合、遺体の搬送から火葬までの料金に掛かる費用は、約20万円~30万円と言われています。
直葬では、参列者もごく親しい方のみで行われることも多く、他の葬儀に比べると飲食接待料も抑えることができます。
まとめ
華厳宗では宗教儀式を行う習慣がないため、葬儀を行う場合は、他の宗派にお願いするか、無宗教葬や直葬など宗教にこだわらない葬儀を行います。
それぞれ特徴があるため、どのような葬儀を行うべきか迷ってしまいますよね。
迷ったときは、故人の遺志をくみ、故人に似合った葬儀を行うことを検討してみるのはどうでしょうか。
お世話になった方への感謝の気持ちを込めた葬儀になれば、記憶に残る故人にふさわしい葬儀になることでしょう。
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