霊柩車とは?寝台車との違いや、霊柩車の手配の方法も紹介
告別式が終わった後、棺は霊柩車(れいきゅうしゃ)に乗せられ、遺族に見送られながら火葬場まで搬送されます。
霊柩車といえば、豪華な飾り付けがされているイメージを持っている方が多いかもしれません。以前は道中で見かけることもありましたが、最近は見かける機会がほとんどなくなりました。
この記事では、霊柩車の概要や寝台車との違い、霊柩車の種類、手配方法や料金相場、なぜ霊柩車を見る機会が減ったのか(霊柩車事情)について紹介します。
霊柩車とは
霊柩車とはどういった車を指すのでしょうか。
霊柩車は遺体を火葬場まで運ぶための専用車
霊柩車とは、遺体の搬送を行う自動車のことで、寝台車との役割の違いから「遺体を納めた柩(ひつぎ)を葬儀式場から火葬場まで運ぶときに使用する専用自動車」を指すことが一般的です。
遺体は棺に納められているので、車体後部には棺を固定するレールやストッパーが装備されています。
遺体の輸送を目的とした特種用途自動車であるため、営業車を表す緑色のナンバープレートに特種用途自動車を示す8ナンバーが記載されています。
また、霊柩車を使って遺体を搬送することを事業とするには、国土交通大臣方の一般貨物自動車運送事業の認可が必要となります。
霊柩車の起源
故人の遺体を搬送するための車である霊柩車。その起源はアメリカだと言われ、1903年にはアメリカの葬儀社の広告に霊柩車が登場しています。
その後、1905年にフランスで行われたパリモーターショーで初めて霊柩車が出品されました。それをきっかけに霊柩車の認知度も徐々に高まり、今では葬儀においてはなくてなならない存在となっています。
霊柩車を運転するには
道路交通法において霊柩車は、遺体は貨物に区分されます。宮型や洋型といった一般的な霊柩車であれば、普通自動車免許で運転が可能です。
一方、バス型の霊柩車に有償で喪主や遺族を乗せる場合には、第二種運転免許が必要です。
霊柩車のイメージの代表格は宮型霊柩車
霊柩車には複数のタイプがありますが、霊柩車と聞いてまず思い浮かべることが多いのは「宮型霊柩車」ではないでしょうか。
豪華な彫刻や箔が施され、唐破風の屋根を載せたお宮が車体の後方に搭載されているタイプの霊柩車です。
かつて土葬が主流であった時代には、親族や地域の人たちが葬列を組んで歩いて墓地へと亡骸を運びました。(野辺送り)
宮型霊柩車の屋根の部分は、野辺送りで遺体を納めた輿(こし)の名残の一つです。
霊柩車に関する言い伝え
葬儀に欠かせない霊柩車ですが、日本では霊柩車に関するさまざまな言い伝えが存在しています。
- 霊柩車を見たら親指を隠す
この言い伝えは、親の象徴である親指を守り「親を失うことから守る」と言った意味合いから根付いていった風習と考えられています。 - 行きと帰りで違う道
霊柩車は行きと帰りで違う道を通りますが、これにはあえて通り道を変えて道を迷わせ、故人にきちんとあの世へ行ってもらいたいという意味があります。 - 野辺送り
葬列を組んで墓地または火葬場まで故人を送ることを「野辺送り」といい、告別式が一般に普及する前の日本では葬送儀礼の中心に当たるものでした。
現代では火葬が主流となりましたが、火葬場まで霊柩車や寺院の車両、遺族が乗った車両などが列を成して向かう姿は、この野辺送りを表現したものです。
霊柩車と寝台車との違いとは
霊柩車と似たものに寝台車があります。どちらの車両も一般貨物自動車運送事業の許可が必要となりますが、両者の違いはどういった点なのでしょうか。
霊柩車と寝台車の違いは搬送ルート
霊柩車と寝台車、どちらも運ぶのは遺体です。ただし、霊柩車は葬儀会場などの安置場所から火葬場へ搬送する一方、寝台車は病院などの故人が亡くなった場所から安置場所へと搬送します。
別の言い方をするならば、葬儀前に出動するのが寝台車、通夜や告別式の後に出動するのが霊柩車になります。
霊柩車には棺を固定する装置が備え付けられていますが、寝台車にはストレッチャーや担架を固定する装置が備え付けられてています(棺に納められた状態の遺体も搬送が可能な寝台車もあります)。
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霊柩車と寝台車の見分け方
豪華なお宮の載った宮型霊柩車であればひと目で分かりますが、シンプルな見た目の車、特にミニバンタイプの場合、一見では見分けがつかないことも少なくありません。
見分け方は、前方ドアの表記です。霊柩車の前方ドア下部には、小さく「霊柩」もしくは「霊柩限定」と表記されているのが通例で、ここを確認することで区別できます。
霊柩車を最近見かけなくなった?その理由について
霊柩車、特に宮型霊柩車を近年あまり見かけなくなってきています。これにはどういった理由があるのでしょうか。
火葬場近隣住民への配慮による規制
豪華な造りの宮型霊柩車は、誰がどこから見ても「棺を載せる車」とひと目で認識でき、容易に死を連想させてしまいます。
社会や価値観の変化に伴い、人の死が身近でなくなりつつある昨今、日に何度も霊柩車を見かけることになる火葬場近隣の住民から、苦情が増えていると言います。
そうした近隣住民の心情に配慮し、目立つ宮型霊柩車の火葬場への乗り入れを禁止する自治体も少なくありません。
そのような乗り入れの規制が、宮型霊柩車の減少につながっているのです。
葬儀会場の変化
かつては、葬儀は地域社会が主体となって営むものでした。その場合は、葬儀が終わると自宅から霊柩車で火葬場まで搬送されます。
しかし、葬儀が葬儀社主導で行われるようになった今日では、葬儀会場についても専用の式場が一般的となっています。
数ある会場の中でも、合理性から支持されているのが火葬場併設の斎場です。この場合、敷地内に火葬場があるため、棺の搬送に霊柩車は必要ありません。
斎場としての利便性が追求されるのに伴い、霊柩車の出番が少なくなってきているという実情があります。
葬儀規模の縮小により豪華な霊柩車が仰々しくなった
少子高齢化社会、人付き合いに関する考え方や、社会生活の形の変化などにより、葬儀規模は縮小傾向です。
ひと昔前であれば例外的な葬儀スタイルであった家族葬も、今やかなりの認知度を誇っています。家族葬のようなごく限られた参列者で行う葬儀の場合、豪華な霊柩車は仰々しいと考える遺族が多いようです。
今は、より目立たず経済的なミニバンタイプの霊柩車が人気で、そうした霊柩車は一般車とさほど見た目が変わりません。
見かけても霊柩車と気が付かないタイプが増えたことにより、霊柩車を見かけなくなったように感じられるという一面もあります。
霊柩車の種類と車種
霊柩車と言っても、複数の種類があります。
バス型霊柩車
マイクロバスなどを改造して作られた霊柩車です。家族葬などの小規模な葬儀で使用されることが多いです。車種は日産自動車のシビリアンや、日野自動車のリエッセなどが好まれて使われています。
親族や僧侶も含め、関係者全員が揃って火葬場まで移動できる点が特徴で、複数の車に分乗して火葬場へと向かうのが困難な場合が多い長距離移動や雪国などで利用されることがあります。
洋型霊柩車
大型の外国車や高級国産車を改造して作られた霊柩車です。車種はメルセデス・ベンツのEクラスやトヨタ自動車のクラウンなどが多く使用されます。
棺収納部は馬車の幌をイメージした造りとなっており、高級馬車の幌の折りたたみ金具・ランドウバー(ランドウマーク)が側面にあしらわれています。全体的にシンプルですっきりとしたデザインです。
宮型霊柩車
金箔や彫刻で装飾され、二方破風または四方破風の屋根の豪華なお宮が載せられた霊柩車です。メルセデス・ベンツやキャデラックなどのリムジンタイプや、日産自動車のフーガやトヨタ自動車のクラウンといったセダンタイプもあります。
近年はその派手さやコスト面から敬遠され、減少傾向です。
バン型霊柩車
バンの後部を改造したタイプの霊柩車で、普通のバンのように見える簡素なデザインが特徴です。車種はホンダのオデッセイやトヨタ自動車のノア、日産自動車のクリッパーバンが多く使われています。
元来は寝台車として設計されているのですが、利用料が安いことから、霊柩車として利用されるケースが増加しています。
霊柩車の手配の方法とは
霊柩車はどのように手配すればよいのでしょうか。
葬儀社を通じて手配するケースが多い
霊柩車は葬儀社を介して手配するケースが大半です。
ですが、葬儀社が霊柩車を自社で保有していることはあまりなく、専門の霊柩車運行業者と提携しています。
遺族が霊柩車運行業者に直接依頼することができないことはありませんが、葬儀社のプランに霊柩車費用が含まれていたり、打合せの際に霊柩車の内容を決める機会があるため、そのまま葬儀社経由で手配する形になるのが実情です。
利用料金も考慮して種類を選ぶ
前述のようにいくつかのタイプがある霊柩車ですが、種類によって料金が変わってくるので、葬儀社のカタログなどを見て検討・選択します。
霊柩車の手配の費用相場とは
霊柩車を手配する場合の費用相場について確認しておきましょう。
霊柩車での搬送料金は国土交通省への届出制
霊柩車での遺体の搬送は、国土交通省管轄の許可事業です(依頼を受けて搬送する場合。遺族が自家用車で搬送するケースなどはこの限りではありません)。
そのため、搬送料金についても国土交通省へ届け出なくてはなりません。
搬送料金は、「基本額+距離による加算額」で決まります。
基本額は走行距離0~10㎞の設定料金で霊柩車のタイプによって異なります。
料金は届け出が必要なだけで事実上自由化されていますが、国土交通省が適正と認める範囲でなくてはなりません。無料サービスやダンピング、価格のつり上げは違法となります。
どのタイプの霊柩車を利用するかにより幅がありますが、相場としては走行距離0~10kmで1万3000円~5万円程度と言われています。
10kmを超える場合は、プラス10kmもしくは20kmごとに料金が加算されます。
葬儀プランに含まれていることが多い
火葬場併設の斎場でない限り、霊柩車による棺の搬送が必要となります。そのため、霊柩車による搬送料金は葬儀社が提示しているプラン料金の中に組み込まれているケースがほとんどです。
ただし、プランの中に含まれずに別途請求される場合もありますので、確認が必要です。
運転手さんに心付けを渡すことも
必ずしも必要とされるものではありませんが、慣習として霊柩車の運転手さんに心付けを渡す人も少なくありません。その一方で、葬儀社によってはそうした心付けを一切受け取らない方針の場合もありますので、打ち合わせの際に確認しておきましょう
追加料金が発生する可能性について
葬儀プラン中に組み込まれている霊柩車利用料金は、あくまで基本料金です。状況次第では追加料金が発生しますので、注意が必要です。
依頼主都合で霊柩車の出発時間が後ろ倒しとなった場合などには「待機時間料」が追加で発生します。
また、午後10時から午前5時の深夜時間帯には「深夜早朝割増料金」が、高速道路などの有料道路利用時には「高速、有料道路使用料」が追加料金として発生します。
寒冷地での12~3月の期間は「冬季割増料金」として合計額の1.2倍の運賃が適用される地域もあります。
近年の霊柩車事情について
最近では、霊柩車に対する考え方も昔と変化してきています。
霊柩車のクラクション
出棺時に霊柩車が長くクラクションを鳴らす光景を見たことがある方も多いかと思いますが、これには故人を弔う意味があると言われています。
しかしこのクラクションの音がかなり大きいため、葬儀場と住宅地が近い場合は近隣住民から苦情の声も上がることも多いそうです。また、近年では家族葬で静かに葬儀を執り行いたいという方も増えているようで、最近では出棺時のクラクションを鳴らさないという選択をする方も増えています。
明るい色の霊柩車
霊柩車の色と言えば黒をイメージされる方が多いかと思いますが、最近では白や赤、ピンクといった明るい色合いの霊柩車も登場しています。
故人が女性の場合や派手好きな方だった場合に、本人や遺族の意向に基づいてこういった霊柩車を選ばれるケースが増えているようです。
超高級車の霊柩車
霊柩車の中には、超高級車をベースにしたケースもあるようです。富山にある葬儀車両製造会社が、本体価格2000万円の超高級車・ベントレーを霊柩車に改造して話題となりました。
超高級車とあって乗り心地は抜群。大切な故人を送る際は乗り心地にこだわってみるのもよいかもしれませんね。
まとめ
ここまで霊柩車について解説してきました。
霊柩車とはなにか?寝台車との違いは?なぜ最近見る機会が減ったのか?
最後のそれらの回答をを箇条書きにしてまとめておきます。
- 霊柩車とは、遺体の納められた柩を安置場所から火葬場まで搬送する車のこと
- 寝台車は、遺体を搬送する点は霊柩車と同様だが、安置場所から火葬場までではなく、亡くなった場所から安置場所まで搬送する点が異なる
- 火葬場近隣住民への配慮や、葬儀スタイルの変化により、霊柩車はよりシンプルで目立たない方向に変わってきている
- 霊柩車には、バス型、洋型、宮型、バン型がある
- 霊柩車の利用料金は葬儀プランに含まれていることが多く、葬儀社を通じて手配するケースが大半
- 利用時間帯などによって追加料金が発生する場合もある
これらのポイントを押さえておけば、霊柩車の知識で悩むことはなくなるでしょう。
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