故人や喪主が生活保護受給者の葬儀はどうなる?原則自己負担なしで行える葬祭扶助制度を解説
本記事のポイント
- 故人や喪主が生活保護受給者でも、
葬祭扶助制度を利用すれば葬儀を執り行うことは可能 - 葬祭扶助制度で行える葬儀は原則直葬(火葬のみ)となる
- 生活保護受給者でも喪主や遺族が葬儀費用を工面できる場合は、
葬祭扶助制度は利用できない - 葬祭扶助制度の申請は必ず葬儀を行う前に行う
喪主が生活保護を受給しているなどで経済的に困窮状態にある場合や、故人に身寄りがなく葬儀費用に充てられる資産も残されていない場合など、葬儀費用を捻出することが難しいケースがあります。
そうした事態を想定した「葬祭扶助制度」が存在し、条件を満たせば必要な費用の支給を受けられることを知っていますか。
本記事では、葬祭扶助制度の内容や条件には何があるか、葬祭時扶助制度を利用した葬儀の流れなどについて解説します。参考にしてみてください。
生活保護受給者でも葬儀をできるのか
生活保護受給者はお金の使い方や住む場所など制限されることが多く、葬儀に関しても行えるのか不安になるのも無理はないでしょう。
結論から言うと、故人や喪主が生活保護を受給していても葬儀は執り行えます。
生活保護法には「葬祭扶助」という制度があり、経済的に困窮している人が最低限の葬儀を行う費用が支給される仕組みがあるためです。この制度を利用した葬儀は「生活保護葬」「福祉葬」「民生葬」などと呼ばれています。
制度の利用には申請が必要となります。
※参照:生活保護制度-厚生労働省
葬祭扶助制度とは?
葬祭扶助制度とは生活保護を受給していて、経済的に困窮している方に向けた制度です。この制度を利用すれば無料で葬儀を執り行えるため、費用の心配をする必要がないとされています。
ただ、申請を通すにはいくつかの条件を満たす必要があります。まずは葬祭扶助制度の内容を確認していきましょう。
葬祭扶助制度の内容
葬祭扶助制度の概要は以下になります。
| 内容 | 生活保護受給者の葬儀を扶助するために、自治体が最低限の葬儀費用を支給 |
| 行える葬儀 | 直葬 |
| 支給金額目安 | 故人が大人の場合:21万9000円以内 12歳未満の子どもの場合:17万5200円以内 ※お住まいの自治体の等級によって金額は異なります |
| 申請先 | 福祉事務所または役所の福祉課 |
| 申請者 | 喪主 |
※詳しくはお住いの自治体HPをご確認ください
※参照:生活保護制度の概要等について-厚生労働省
葬祭扶助で行える葬儀は直葬に限られます。直葬とは通夜と告別式を行わず、火葬のみを行う簡略的な葬儀です。
火葬に当たり、最低限必要な費用として支給されるものには、次のような内容が含まれます。
- 死亡診断書発行費用
- 遺体搬送費
- 棺用布団
- 棺費用
- 遺体保管関連費用(ドライアイスなど)
- 火葬費用
- 骨壺費用
葬祭扶助で支給されるのは、火葬後に遺骨を骨壺へ収める「収骨」までにかかる費用です。お墓の購入や永代供養など、その後の「納骨」にかかる費用は原則として扶助の対象外となりますのでご注意ください。
また、宗教的な儀式を執り行う僧侶の手配に関する費用は認められていません。
華美な装飾や会食の席を設けると、支払い能力があるとみなされ、扶助が受けられなくなる可能性があるため最低限の内容に留めましょう。
支給金額の上限は生活保護法で定められ、自治体によって異なります。そこから範囲内で実際にかかった金額が支給される仕組みです。上限額は福祉事務所または役所の福祉課で確認できます。
葬祭扶助制度を利用する条件
葬祭扶助制度を利用するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 喪主及び遺族が生活保護受給者または支払い能力がない
- 生活保護受給者の故人に身寄りがない
まず前提として喪主及び遺族が、生活保護受給者または支払い能力がないと判断されなければ支給は受けられません。つまり生活に困窮しており、葬儀費用を工面できない状況でなければならないとされています。
たとえ故人が生活保護受給者であったとしても、喪主・遺族の中で支払い能力がある方がいれば、葬祭扶助は利用できないということになります。
例えば故人が生活保護受給者でも、喪主にある程度の収入や資産があったり、喪主が生活保護受給者でも、故人に葬儀費用を支払えるだけの預貯金があったりする例があります。
ただし、身寄りのない生活保護受給者が亡くなった場合のみ、故人がお世話になっていた大家さんや病院長などが「葬儀を行う者」として申請し、葬祭扶助が適用されることがあります。
また特例として上記で挙げた条件以外でも、葬祭扶助制度が適用されるケースもみられます。そのケースとは、生活はできても葬儀費用を工面する余裕がない場合です。
生活保護制度には葬祭扶助を含め八つの種類があり、このように生活保護制度のうち1つだけを受けることを「単給」といいます。該当する方は申請を検討してみるといいでしょう。
※参照:身寄りのない方が亡くなられた場合の 遺留金等の取扱いの手引-内閣府
葬祭扶助制度による費用支給がされないケース
葬祭扶助制度に申請しても支給不可と判断されることがあります。そのような場合、以下のケースが考えられるでしょう。
- 生活保護受給者であった故人に預貯金がある
- 親族に葬儀費用を支払える経済状況の人がいる
- 支給額以上の葬儀をする場合
- 福祉事務所のケースワーカーなどが最終的に支給不可と判断する
故人や喪主が生活保護受給者であっても葬儀費用を工面できる場合は、支給を受けられません。
葬儀費用を負担する方は扶養義務者である子、父母、祖父母、孫、兄弟とされるのが一般的です。ただ、関係性や義務によらず葬儀費用の負担を申し出る人がいれば、支給されないため注意しましょう。
また自治体から支給される費用は原則、直葬に充てる費用となります。家族葬や一般葬などの葬儀費用の足しにすることはできません。あくまで支給額の範囲内で葬儀を行うのが基本です。
上記以外の場合でも、福祉事務所のケースワーカーなどの判断で支給されないことがあります。ケースワーカーは様々な観点から支給要件の確認をするため、何らかの要件に引っ掛かり認められない可能性が想定されます。
葬祭扶助制度を利用して葬儀を行う流れ
ここでは葬祭扶助制度の申請から、実際に葬儀を行って葬儀費用の支給を受けるまでの流れを解説します。扶助を受けるには手順がカギとなるため、順番を誤らないよう注意したいところです。
①福祉事務所に連絡
葬祭扶助制度の申請は葬儀の前に行わないと、原則認められません。そのため、まず福祉事務所や役所の福祉課、民生委員に連絡をします。
その際には死亡届など、故人の死亡を確認できる資料の提出が求められます。事前に用意しておくとスムーズに進むでしょう。
②葬祭扶助の申請
書類を提出すると、申請確認が行われます。喪主や遺族の経済状況をはじめ、故人の預貯金や有価証券などが確認されます。
故人の遺品を売却して得た金額も葬儀費用に充てられるため、これらを確認したうえで差額分が支給されるのが一般的です。
③葬儀社を手配
葬祭扶助の申請が通ったら葬儀社を手配します。なかには申請時に福祉事務所や役所が、葬儀社を紹介してくれることもあります。
葬儀社の手配時には手違いが起こらないよう、必ず前もって葬祭扶助を利用する旨を葬儀社に伝えましょう。
その後は葬儀内容や日程決めなどの打ち合わせに入り、日程が決まり次第参列してほしい近親者に声をかけます。
④葬儀を行う
葬祭扶助の費用で賄われる直葬は、主に「搬送」→「安置」→「納棺」→「火葬」→「収骨」の流れで行われます。
葬儀後の会食は基本的に行わないため、参列者には事前に共有しておくのがいいでしょう。
⑤葬儀費用の支払い
葬儀が終了すると、福祉事務所や役所から直接葬儀社に費用が支払われます。喪主が葬儀費用を受け取って支払うわけではないので、流れに注意しましょう。
生活保護受給者の葬儀・納骨費用は誰が負担する?
葬儀費用は生活保護受給者が亡くなった際、扶養義務者が負担するのが一般的です。父母・子・祖父母・孫・曾孫・兄弟姉妹までの範囲が含まれます。
ただ本記事で解説している通り、喪主や遺族も経済的に困窮しており葬儀費用を支払えない場合は、葬祭扶助として国と自治体が費用負担します。身寄りがない生活保護受給者も同様で、国と自治体が費用を負担します。
一方、納骨費用は葬祭扶助の範囲に含まれないため、経済状況を問わず原則遺族が負担することとなります。
お墓がない場合はお墓を探す手間と費用がかかります。もしお墓を購入するとなると、建墓費用や墓地の使用費用などから100万円以上かかることが想定されます。他のご遺骨と一緒に納骨する合祀墓を選択すれば、数万円〜30万円程度に抑えられる可能性もあります。
お墓がある場合は納骨をしますが、納骨費用として3~10万円程度は見ておいたほうがいいでしょう。
葬祭扶助制度を利用した葬儀の注意点
葬祭扶助制度を利用した葬儀を円滑に執り行うには、いくつかの注意事項があります。1つずつ紹介していきます。
葬儀前に申請を済ませる
葬祭扶助制度を利用するには、必ず葬儀を執り行う前に申請を済ませてください。
葬儀後に申請をしても「支払い能力がある」とみなされ、支給は認められないことが一般的です。それがたとえ周囲や消費者金融から借りて何とか捻出したお金だとしても、例外は認められないため、まずは申請を行いましょう。
納骨やお墓の費用は支給されない
葬祭扶助制度で支給された費用には、納骨やお墓の費用は含まれていません。適用される範囲は、火葬費用や骨壺費用など直葬にかかる部分のみとなります。
葬儀後の供養は、遺族の経済状況に合った方法を選ぶのが無難です。
原則として喪主の住民票がある自治体で申請を行う
喪主と故人の住民票が異なる場合は原則として、喪主の住民票がある自治体で申請を行います。
ただ、自治体によっては支給額の上限が異なるケースもあるため、上限金額が高い自治体に申請したい方もいるかもしれません。
仮に故人の住民票がある自治体の方が上限金額が高くても、基本的には扶助を受けるのは喪主の住民票がある自治体からとなります。念頭に入れておくといいでしょう。
まとめ
本記事では生活保護受給者でも葬儀費用を扶助してもらえるのか?といった疑問から、「葬祭扶助制度」について解説しました。
喪主や遺族が生活困窮状態にあり葬儀費用を捻出できない場合や、生活保護を受給していた故人に身寄りがおらず第三者が葬儀を手配する場合に葬祭扶助制度を利用できます
ただし、支給されるのは、火葬のみの必要最小限の葬儀に要する費用に限られます。また、支給を受けるには事前申請が必要で、火葬前に申請者の居住自治体の福祉事務所に申請しましょう。
お葬式は故人を見送るための大切なセレモニーです。費用を工面することが難しい状況でも、葬祭扶助制度を利用して、悔いの残らないお葬式を選択してください。
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故人が生活保護受給者であっても、遺族に資力があると判断され葬祭扶助を受けられないケースは少なくありません。葬祭扶助費は毎年改定されます。葬祭扶助費は一級地から三級地まで自治体ごと細かく指定されており、その等級に応じて葬祭扶助が支給されます。