真言宗の葬儀のしきたり・マナー・お金までを解説
葬儀に参列した際、香典の表書きや焼香の仕方が分からなくて、困った経験はありませんか?
同じ仏式の葬儀でも、宗派が異なると葬儀の流れやしきたり、お布施や香典の相場も異なります。自分の家の宗派でさえ分からないことがあるのに、宗派が違えば、戸惑ってしまうこともたくさんあるでしょう。
この記事では、いざというときに困ったり、間違ったりしないよう、真言宗の葬儀について知っておきたいこと、理解を深めるために役立つ知識などを分かりやすく解説します。
真言宗の葬儀
真言宗は、遣唐使として唐(当時の中国)に渡り、真言密教を深く学んだ空海(弘法大師)によって平安時代に開かれました。そのため、真言宗の教義は空海が中国で会得した密教の教えが元となっています。空海の生涯については謎が多いとされていますが、774年に讃岐国(香川県)で生まれ、幼少の頃の名前は真魚(まお)といいます。
密教は、生きたまま仏になる「即身成仏」を目指して厳しい修行や熱心な勉学を行います。広く一般に開かれた仏教ではなく、修行をする限られた人のための宗派という特性を持っています。「即身成仏」とは、この世において”この身このまま”で仏になることであり、「即身」は生身のままという意味です。これは、真言密教の教義であり、人間が「身・語・意」の三密を修行することによって如来の三密と一体となって、成仏することです。
密教を母体にして、即身成仏を最終目標とする真言宗は、他の宗派に比べて死後の世界を身近に捉えているのが特徴です。このため、葬儀では、他の宗派では見られない独特の儀式が行われます。
故人の枕元でお経を唱える「枕経(まくらぎょう)」は、もともとは臨終の際に、死に対して「恐怖を抱くことがないように」と行われていました。
真言宗の枕経は、「般若理趣経(はんにゃりしゅきょう)→慈救呪(じくじゅ)→陀羅尼(だらに)→光明真言(こうみょうしんごん)→御宝号(ごほうごう)」の順で唱えます。
般若理趣経とは、仏の真実の境地に至る道を示すお経で、真言宗では最も大切にされています。
その後にお不動様に救いを求める言葉である慈救呪を唱えます。
さらに、真言宗では不思議な力を持つと信じられている陀羅尼(だらに)。23文字と短いお経ですが、全ての災いを取り除くことができると言われている光明真言。大師を信用して、「心のより処にします」という意味の御宝号の順番に唱えていくのです。
真言宗では、葬儀は宇宙の中心である大日如来が支配する「密厳浄土(みつごんじょうど)」へ故人を送るための儀式と考えられています。
故人の頭に水をかける「灌頂(かんじょう)」や、洗い清めて火で焚いた砂を納棺前に遺体にかける「土砂加持(どしゃかじ)」は、現世(この世)で付いた悪いものを落とす滅罪生善(めつざいしょうぜん)のための儀式です。
閻魔様の裁きを受ける前に故人の汚れを落とすことで、仏の加護を得られて、密厳浄土へ旅立てるようにするものです。
土砂加持は、棺式の際に行われ、棺は祭壇に設置されます。
真言宗の葬儀の流れ
真言宗の葬儀の流れを見てみましょう。
- 入堂
僧侶(導師)、式衆が葬儀会場に入堂します。 - 塗香・三密観・護身法・加持香水の法
塗香・三密観・護身法・加持香水の法は、葬儀を進行するための準備として僧侶(導師)が行う儀式です。
塗香(ずこう):穢れを祓うために体に香を塗ります。密教では、香は仏にささげる6種の供物の一つです。一般的には粉末にした薄茶色の粉末状の香を使い、線香や焼香のような香を燻すものとは違い、体に塗る香です。
三密観(さんみつかん):三密観は密教の修行の一つで、罪障(ざいしょう)を消滅させるため、吽(うん)の字を体で表現し、口で唱え、心に念じます。これを究めることにより即身成仏が叶うと考えられています。
護身法(ごしんぼう):お経を唱えながら五種類の印を結びます。密教ではさまざまな修行に先立って護身法を行うことが定められており、修行する人の心身を整えます。
加持香水(かじこうずい):仏教では仏に供える水を香水と呼びます。加持香水は儀式に使用する水を祈りによって浄化し、清められた香水を故人にかけます。 - 三礼・表白・神分
真言宗ならではの儀式、三礼・表白・神分と続きます。
三礼(さんらい):三礼文を唱えて、「三宝」と呼ばれる仏・法(教え)・僧に帰依することを表明します。
表白(ひょうびゃく):表白には、大日如来に祈るという意味があります。故人の教下(きょうげ=密教浄土への往生)が叶うように祈ります。
神分(じんぶん):大日如来、阿弥陀如来、弥勒菩薩、観音菩薩などが降臨されたことに感謝し、お礼を述べ、加護を願い、故人の成仏を願います。 - 剃髪・授戒(受戒)
ここからは、大日如来の弟子として仏門に帰すための受戒の儀式です。
剃髪(ていはつ):僧侶(導師)が故人の髪の毛を剃り(剃る真似をして)、お経を唱えて、故人が大日如来の弟子として帰依することを誓います。
授戒(じゅかい):戒名はこの段階で授けられます。戒名を受けたら、故人が帰依する誓いを行います。 - 引導・破地獄
故人に、「あなたはもう現世にいるべきではないので、密教浄土へ旅立ってください」ということを伝えるための儀式が引導(いんどう)です。
ここで再度「表白・神分・灌頂」を行うことで、故人が成仏できると考えられています。さらに、死後の苦しみを失くし、地獄へ堕ちることを防ぐ弥勒三種の印明が授けられることで、成仏が果たされます。
最近では、時代の変化により簡略化されることが多くなりましたが、「破地獄(はじごく)」という儀式を行うこともあります。
破地獄には、地獄を脱してその苦しみから逃れるという意味があり、故人が地獄の苦しみを味わうことがないように祈る儀式です。
そして金剛界胎蔵秘印明と弘法大師による引導の印明を行い、位牌の開眼と血脈の授与が行われます。 - 焼香・諷誦文
これまでの儀式が無事に営まれたことで故人が成仏したと考え、参列者による焼香が行われます。
焼香の間、僧侶(導師)は「諷誦文(ふじゅもん)」と呼ばれるお経を唱えます。諷誦文は故人の人生の功績をたたえる内容で、かつては遺族が作っていましたが、現在では寺院に作成を依頼するのが一般的です。
諷誦文の最後は、心配せずに安らかに成仏するように、故人に伝える言葉で締めくくられています。 - 出棺
僧侶(導師)が、導師最極秘印(どうしさいごくひいん)という弘法大師から伝わる印を結び、指を3回鳴らすと出棺の合図です。他の宗派の葬儀と同様に、棺には花が入れられ、遺族にとっては最期のお別れとなります。 - 退堂
僧侶(導師)、式衆が葬儀場から退堂します。
真言宗の葬儀のマナー
真言宗の葬儀では独特の儀式が行われ、作法も他の宗派と違う部分があります。参列する人も基本的なマナーを知っておきましょう。
焼香のマナー
真言宗以外の他の宗派では、葬儀の際の焼香の回数は1〜2回というのが一般的です。しかし、真言宗の葬儀では、焼香の回数は正式には3回とされていますが、地域や寺院によって異なるので、少しでも疑問に思う場合は、事前に葬儀社や寺院に確認しましょう。
3回焼香を行うのは、仏・法・僧の「三宝」に帰依するという意味の他、大日如来、弘法大師、ご先祖に帰依する意味もあります。
焼香する際は、3回とも香を額に押しいただいてから香炉にくべるという方法や、最初の1回だけを額に押しいただき、残りの2回はそのまま香炉へくべるという方法もあります。
真言宗の葬儀での焼香の流れです。
- 祭壇の前に進んで僧侶・遺族の順に一礼します
- 焼香台に進んで遺影に向かって合掌し一礼します
- 焼香の動作を3回行った後、遺影に合掌して一礼します
- 僧侶・遺族の順に一礼して席に戻ります
大規模な葬儀になると、時間の関係で焼香の回数が制限されることもあります。
数珠のマナー
真言宗の葬儀で使用される正式な数珠は「振分数珠」と呼ばれる長いものです。108個の主玉(おもだま)が連なったもので、主玉は、素材が違う4個の四天玉や親玉と呼ばれる2個の大きな玉に区分けされています。
主玉は108の煩悩やそれらを滅する智慧、親玉は大日如来の智慧、天玉は大日如来を中心とした曼荼羅の四方四仏、または四菩薩(普賢菩薩・観音菩薩・文殊菩薩・弥勒菩薩)を表します。
真言宗の葬儀では、信者は正式の振分数珠または略式の片手数珠を使用します。男女の区別はあまりありませんが、男性は略式の数珠が多く、女性は振分数珠や片手数珠を使う人もいます。
男女で玉の数に違いはないですが、玉のサイズには違いがあります。そのため男性と女性では長さが違います。男性用の標準的なサイズは約36.3cmで、女性用は約24.2cmです。
真言宗での数珠を使った合唱は、房を外に出し、両手の中指にまっすぐ掛けて行います。このときには、房が手の甲に垂れるようにしましょう。
合掌していないときには、二重にして左手の親指に親玉が上になるように手のひらにかけ、親指で押さえて持ちます。長さがある数珠とはいえ、だらりと下に垂らすのは避けましょう。
真言宗の葬儀では、読経や焼香の際に、長い数珠をこすり合わせてジャラジャラと音を出す様子を目にします。これは、108個の主玉を鳴らすことで、108の煩悩が払えると考えられているからです。
数珠の使い方や持ち方は、流派によって異なるので注意しましょう。
服装のマナー
服装については、真言宗独自のマナーやしきたりはありません。通夜は略式の喪服でも構いませんが、葬儀では本式の喪服を着用しましょう。
ただし、遺族は通夜でも本式の喪服を着用するのが礼儀です。また、参列者でも結婚指輪以外のアクセサリーは外しておきます。
真言宗の葬儀のお布施
真言宗の葬儀における、お布施の額やマナーについて見てみましょう。
寺院や僧侶に対するお布施は、どの宗派に限らず正確な金額が分かりにくく、相場がつかみづらいのが現状です。
真言宗でも目安となる金額が決まっているわけではありません。他の宗派と同様に、地域や寺院の格、喪家と寺院の関係によって決まります。
とはいえ、平均的な金額を知っておくと、いざ準備するというときに目安になることは確かです。
真言宗の葬儀のお布施は、通夜から初七日まででおおよそ10万円〜30万円と言われています。一般に西日本よりも東日本の方が金額が高いようです。
お布施は葬儀の前の僧侶への挨拶の際に、渡すとよいでしょう。時間がないなどの理由で渡せなかった場合は、葬儀後でも失礼には当たりません。
お布施を直接手渡しすることはマナー違反になるので、慶弔両方に使える黒塗りの「切手盆」に載せて渡します。切手盆は、葬儀社で用意してもらえることもあるので確認しましょう。それでも手配できない場合は、袱紗を使っても構わないでしょう。
袱紗に包んで持参するときは、渡す際に袱紗の上に封筒を乗せて渡すようにします。
注意したいのは、ここで紹介しているお布施とは、葬儀での儀式や読経に対するお礼だということです。
この他にも、戒名を授けてもらうためには戒名料が必要です。戒名代をお布施に加えるとすれば、その金額は戒名料によって大きく変わります。
真言宗では、戒名のランクを特に指定しない場合は30万円程度が相場ですが、「大居士」「清大姉」といったランクの高い戒名を授かるには、数百万円にもなると言われています。
戒名のランクは、喪家の希望のほか、寺院への帰依の度合いによって決まります。
このため、いくら故人や遺族の意思でも、不相応な戒名を希望するのはよくないとされていて、家族で戒名の位が違うというのもあまり好ましいとはいえません。
見えを張って高望みをするのは、やめておきましょう。
この他、葬儀会場まで僧侶に足を運んでもらう際には、「御車代」として5000円程度が必要です。ただし、遺族や参列者が自家用車などで送迎する場合は、御車代は不要です。
また、法要の会食を僧侶が辞退された場合には、5000円程度の「御膳料」も必要になってきます。御車代や御膳料は、白い封筒にお金を入れてその都度渡すのが礼儀です。
真言宗の葬儀の香典
真言宗の葬儀に参列する際の香典について見てみましょう。
真言宗はさまざまな仏教の宗派の中でも比較的信者が多い宗派なので、基本的なしきたりやマナーを身に付けておくと、役に立つ機会が増えます。
香典の金額については、真言宗だからといって高いとも安いとも言えず、特定の額が決まっているわけでもありません。
他の宗派の葬儀と同様に、地域や喪家の格、喪家や故人との関係によって香典の額は違います。このため、一般的な葬儀の香典を目安にして金額を決めるとよいでしょう。
喪家と親族でない場合、香典の額は5000円程度が相場と言われています。ただし、生前に親しくしていた方や、お世話になった方であれば、1万円程度を包むこともあるようです。友人や会社関係者であれば5000円程度が相場と言われています。
一方、親族の場合は、故人や喪家との血縁関係の深さによって金額が変わります。親の場合は10万円、祖父母やいとこの場合は5万円、きょうだいなら3万円程度を目安にしてください。
真言宗の葬儀では、香典の表書きは「御霊前」とするのが一般的です。ただし、四十九日を過ぎてから渡す場合の表書きは、御霊前ではなく「御仏前」または「御香典」としましょう。
なお、「御香典」は各宗派の表書きに使えるので。真言宗の葬儀で使用しても問題ありません。表書きの下には、フルネームで名前を記入します。また、中袋には香典の額を漢数字で記し、住所も記入します。
何人かで香典を用意した場合は、表書きは「◯◯一同」とします。さらに、お金を出した人の名前、住所、出した金額を紙に書き︎、中袋に入れておきます。
香典は袱紗に包んで持参するのがマナーとなっていて、葬儀の受付で渡します。
弔事では袱紗の色は、寒色系の落ち着いたものを選び、左開きになるように香典袋を入れるのがマナーです。右開きで入れてしまうと慶事を意味するので間違えないように注意しましょう。
真言宗の葬儀のお経
真言宗の葬儀で読まれる、代表的なお経について紹介します。
般若心経
「般若心経」は最も広く知られているお経です。正式名称は「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんきょう)」といい、仏様が説かれた、彼岸に至るための偉大なる智慧、大事な教えという意味を持っています。「般若心経」は、インドのサンスクリット語では「プラジュニャーパーラミターフリダヤ」と言います。
また、般若経典と総称される解説書が多数ありますが、般若経典のエッセンス(真髄)と言えるのが、般若心経という経典なのです。
三蔵法師の玄奘(げんじょう)がインドから中国に持ち帰った「大般若経」を原書として、漢訳がされ、その数は600巻程にもなります。ちなみに、般若心経は「小本」と「大本」の二つの系列があります。
般若心経の全体は大きく四つの部分に分かれ、彼岸に至るためにはどのような智慧をどうやって身に付けるべきかについて説かれています。
理趣経
密教の経典の「理趣広経」を漢字に訳したものが「理趣経(りしゅきょう)」です。「般若理趣経(はんんたりしゅきょう)」「百五十頌般若(ひゃくごじゅうじゅはんにゃ)」とも呼ばれており、般若経典の一種です。大乗仏教において初期の経典であり、「理趣」から仏の真実の境地に至る道を表すお経を意味しています。
本文に読誦(声に出して読むこと)すれば功徳があるという記述があるなど、さまざまなお経の中でも非常に特徴のあるお経です。日本密教の真言宗では常に読まれる経典です。
金剛頂経
「金剛頂経(こんごうちょうぎょう)」は真言宗の三部秘境の一つです。金剛頂にはさまざまな経典の中の最高峰という意味があり、密教の根本的な聖典となっています。「大日経(だいにちきょう)」とともに真言密教における二大経典の一つであり「金剛頂経」は南インドのアマラバティで成立したと言われ、単数の経典ではなく、経典の総称です。このお経は、金剛界の思想を説き、金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)の根本経典で、「大日経」の胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)に対しています。
大日経
「大日経(だいにちきょう)」も真言宗の三部秘境の一つです。真言宗では宇宙の中心と考えられている大日如来の説法を編纂したものです。正式名は「大毘盧遮那成仏神変加持経(だいびるしゃじょうぶつじんべんかじきょう)といい、善無畏(ぜんむい)と一行(いちぎょう)による漢訳の7巻で、7世紀初期に中インドで成立したインド中期密教の代表的な経典で、中国と日本の密教に大きな影響を与えました。
遺教経
「遺教経(ゆいきょうぎょう)」は日本の禅宗における仏祖三経の一つとして尊重されているお経です。
正式名称は「仏垂般涅槃略説教戒経(ぶっしはつねはんりゃくせっきょうかいきょう)」。仏様が生死を超える際に、弟子たちに与えた最後の言葉を集めたものです。
戒を守って五欲を控えつつ、心を一つに集中し安定させ、悟りの智慧を得ることを説いています。
法華経
「法華経(ほけきょう)」の正式名称は「妙法蓮華経(みょうほれんげきょう)」と言います。法華経は、お釈迦様が出家後に多くの弟子の前で説かれた教えで、大乗仏教経典の一つです。
法華経は、お釈迦様の弟子が19人登場し、人々の苦しみを和らげ、社会の幸せを願って救われることを意味した内容です。
十三仏真言
「十三仏真言(じゅうさんぶつしんごん)」は、真言宗での勤行や法要の際に、追善供養のために順に唱える、十三の如来・菩薩・明王の真言のことです。
十三仏とは不動明王、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩、弥勒菩薩、薬師如来、観音菩薩、勢至菩薩、阿弥陀如来、阿閦如来、大日如来、虚空蔵菩薩のことを言います。
真言宗の葬儀の仏具
真言宗の葬儀で使用される仏具を紹介しましょう。仏具の中には、他の宗派でも使われ広く知られているものもあります。
木魚
「木魚」は僧侶が読経する際に使用する仏具で、真言宗のほか、天台宗、浄土宗、臨済宗、曹洞宗などの宗派でも使われます。
魚のうろこの柄が彫られた丸い木製の仏具で、主にクスノキやクワなどが材料となっています。響孔と呼ばれる割れ目があり、そこから中がくり抜かれて、中空の構造をしています。
使用する際は、専用の布団(木魚布団)に置き、先端に革や布を巻いた「木魚倍」と呼ばれる棒でたたいて、読経に合わせてポクポクという音を出します。
魚の図柄になっているのは、魚が昼も夜も目を閉じない生き物であることに由来し、修行者が寝る間も惜しんで修行に励むという行者の思いを託したものと言われてています。
鉦吾
「鉦吾(しょうご)」は、真言宗のほか天台宗、浄土宗などの宗派でも用いられます。読経の念仏を唱える際に、拍子を取るためにたたいて音を出す金属製の仏具です。
お皿を伏せたような形をしていることから、伏鉦(ふせがね)という別名もあります。
畳台という小さな畳の台の上などに置いて、撞木(しゅもく)と呼ばれる木製の仏具でたたくと、カンカンと甲高い音で鳴ります。仏事の他、祭囃子や民族芸能にも使用されています。
内敷
「内敷(うちしき)」は、錦や金襴など豪華な織物で作られた敷物のことです。法事、お盆、彼岸、命日など、特別な日に仏壇に敷いて、その上に仏膳をお供えします。
真言宗、天台宗、浄土宗、日蓮宗、禅宗などで使われ、浄土真宗では三角形のもの、それ以外の宗派では四角形の角内敷を用います。
火立
「火立(ひたて)」は、ろうそくを立てて火を灯すための仏具のことです。ろうそくに火をつけてお供えするときに使います。
またお供えのろうそくの灯りは灯明(とうみょう)とも呼ばれ、闇を照らしてくれる仏様の知恵を意味しています。
花立
「花立(はなたて)」は、仏壇用の花瓶のことです。花は故人を偲び、供養する心を表すもので、日本では花を手向ける風習が残っていますから、花立は使用頻度が高い仏具です。
香炉
「香炉(こうろ)」は、香を焚くときに使う仏具です。仏壇に祀る仏具の中でも最も大切な仏具のうちの一つです。
なぜ香を焚くことが必要なのかというと、香りによって私たちの心身を浄化してくれるものと考えられているからです。
仏飯器
「仏飯器(ぶっぱんき)」は、仏壇にご飯を供えるとき(仏飯)に必要な仏具です。
丸く足が高いデザインですが、足が高いのには理由があり、仏様に対する敬いの気持ちを表しているとされています。
ちなみに、宗派によって仏飯の盛り方が異なる場合があります。
茶湯器
「茶湯器(さゆき)」は、お茶や水を入れて飲み物をお供えするための仏具です。
故人への想いやあの世でも飲み物に困らないことに感謝する意味で使われます。
ただし浄土真宗では、極楽浄土に水が満ちているとの教えから水のお供えはいらないとされています。
妙鉢
「妙鉢(みょうはち・みょうばち)」は、葬儀や法事、また儀式の際に使われるシンバルのような金属製の仏具です。
平安時代に中国から伝えられ、当時は宮中で打楽器として使われていました。その後、寺院の説法の際などに鳴らされるようになりました。
音を出すのは、葬儀や法要の場に仏様を呼び、終了後には帰っていただくという意味があります。また、参列者にとっても、儀式の開始、終了を知らせる役割を持っています。
妙鉢の音によって邪気等を払い清めるという意味があり、お葬儀等では妙鉢の音で大日如来を中心とするさまざまな仏様を召喚(お迎え)して、また極楽浄土にお送りするという意味合いで使用されています。2枚1組で「半双(はんそう)」と呼び、半双2組で「1双(いっそう)」と数えます。
妙鉢の由来は、もともとはインドの民族楽器であり、4世紀頃中国、後に日本にも伝わり、奈良県にある西大寺の資料には「銅鈸子(どうばっし)」という楽器の資料が残っています。
「銅鈸子」は妙鉢に似た楽器であり、当時から現在も雅楽楽器として使用され、妙鉢はさまざまな儀式法要で欠かせない仏具となりました。
真言宗ではおもに「声明(しょうみょう)」を唱える時に使用されることが多くなっています。
まとめ
真言宗の葬儀で知っておきたいしきたりやマナー、知っていると真言宗や真言宗の葬儀を深く理解できる知識を紹介しました。
疑問に思っていたことや不安に感じていたことは、解決できたでしょうか?
真言宗の葬儀に参列されるときはもちろん、真言宗の葬儀を出すことになったときも、ガイドとして参考にしてください。
また、周りに真言宗の葬儀について困っている方がいるようでしたら、記事の内容を教えてみてください。
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