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葬儀の知識

煩悩とは?言葉の使い方と108の数の理由も解説

煩悩とは?言葉の使い方と108の数の理由も解説

「煩悩」という言葉は、仏教用語でありながら、日常生活においてもよく使われます。

どちらかというとマイナスな印象がある言葉ですが、正しい意味を知ることで見え方が変わることがあります。

今回の記事では、煩悩とはなにか、108ある理由や例文・使い方・英語表記などについて紹介します。

煩悩を捨てたい方、煩悩について詳しく知りたい方は参考にしてください。

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煩悩とはなにか

まず、煩悩の基本的な知識を紹介します。

煩悩の読み方は「ぼんのう」

煩悩の読み方は「ぼんのう」で、仏教用語の一つです。

「煩」は「わずらう」、「悩」は「なやむ」という読み方をするように、一般的に悪い意味に考えられる言葉でもあります。

【煩悩】人間を苦しめる原因になるもの

煩悩の意味は、人間の心身を悩ませ、苦しめる原因になるものです。

仏教の考えでは、悟りの境地に向かう上で妨げとなる精神の状態や作用を指します。

日常生活で使う場合でも、前向きな意味になることは少ない言葉です。

「欲がある=煩悩がある」ではない

煩悩につながる心の作用の代表的なものに「欲」がありますが、欲求の中には人間が生きる上で自然に抱くものや必要なものも含まれます。

例えば、「お腹が空いたからご飯を食べたい」という欲がなければ、生きていくことができません。欲求や執着があるおかげで、「生命を維持したり成長したりできる」と考えることもできます。

「煩悩がある」とは単に欲があることを指すのではなく、人間が自分の欲求や執着に囚われて心身を乱され、それが原因で悩み苦しんだり、正しい道を選べなくなったりしている状態のことであるとも言えます。

人間を苦しめる原因になるのは、「煩悩に振り回されること」という解釈ができるのです。

煩悩の言葉の使い方

煩悩の使い方について紹介します。

煩悩の例文

煩悩を使った例文は、以下の通りです。

  • 煩悩を捨てる
  • 煩悩にまみれている

「煩悩を捨てる」は、人間を苦しめる原因になるものに振り回されず、正しい判断ができる人になることを意味する言葉です。

怠惰な生活を送る自分を戒めるときに使うことがあります。

しかし、煩悩は捨てることができないので、比喩的な意味合いが含まれていると言えるでしょう。

「煩悩にまみれている」は、人間を苦しませる感情に振り回されている状況を表します。

自分自身をコントロールできていない状況と言えます。

本人が使うこともあれば、第三者が怠惰な生活を送る人を指摘する上で使うことがある表現です。

煩悩を英語で表現すると?

煩悩を英語で表現すると「worldly desires」です。

「worldly」は「世俗的な」、「desires」は「欲求」という意味があります。

「物欲」「私欲」と対訳することもできます。

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煩悩と除夜の鐘の関係

煩悩と除夜の鐘との関係について紹介します。

煩悩を祓う目的で108回鐘をつく

除夜の鐘とは、日本の年中行事の一つで、煩悩を祓う目的で108回鐘を突きます。

大晦日に除夜の鐘が一つなるごとに煩悩が一つ消えていき、「108つの煩悩を消して新しい一年を迎えたい」「新年の最初に煩悩に惑わされることがないように」といった願いが込められていると言われています。

そもそも、人間の煩悩が108あると言われていることから、除夜の鐘も108回突くようになりました。

また、お寺によっては鐘を200回突くことがあるように、地域によって違いが見られますが、108回以下というところは、あまり見受けられません。

鐘を突くタイミングは地域によりさまざま

除夜の鐘の、鐘を突くタイミングも地域によりさまざまです。

年明けから鐘を突き始めるお寺もあれば、年を跨いで鐘を突くお寺もあります。

一般的には、12月31日の深夜0時を挟む時間帯に108回鐘を突くという認識の方が多いです。

年を跨いで鐘を突くお寺は、大晦日の23時以降から始めることが多いです。

また、残り1回の鐘を突くタイミングは年明けに行うお寺もあり、地域によりさまざまです。

全国各地の除夜の鐘を聞く機会がある方は、チェックしてみてください。

煩悩の数は108の理由

続いて、煩悩の数が108ある理由について解説します。

主に四つの説がありますが、明確に正しいというものはありません。

自分の好きな説を参考にするのも一つの解釈です。

【六根】分類される感情の数の合計が108

人間の分類される感情の数が108種類あると言われていることから来ているのが「六根の説」です。

六根は、仏教において感覚と意識を司る六つの器官「眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)」のことです。

六根は、人間にとって重要な機能とも言えますが、同時に欲や迷いを起こす原因を生じさせる器官でもあります。

六根で感じたことを、自分の中で解釈することで、良い(好)・悪い(悪)・普通(平)と判断できるでしょう。

そこから、さらに「浄(覚り)」と「染(迷い)」に分けることができます。

浄と染も「過去」「現在」「未来」に分類することが可能です。

よって計算すると「六根(6)×好・悪・平(3)×浄・染(2)×過去・現在・未来(3)=108」と、分類される感情の数の合計が108になります。

【暦】1年の暦の合計が108

1年間を表した暦の合計が108ということから来ているのが「暦説」です。

まず、月の数は12あります。

二十四節気の数は四季をそれぞれ六つに分けて24です(参考:国会図書館「暦の中の小言葉 二十四節気」)。

二十四節気を約5日ごとに初候・二候・三候と分けた「七十二候」をすべて足すと108になります。

※1年の月の数・12+二十四節気・24+七十二候・72=108

【四苦八苦】漢字の合計が108

四苦八苦の漢字を数字にして計算した数が108になることを根拠にしているのが「四苦八苦説」です。

四苦を「4×9=36」八苦を「8×9=72」で計算して、その2つの数字を足すと「108」となります。

そもそも、人間の苦しみは、四苦「生・老・病・死」と「愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五蘊盛苦(ごおんじょうく)」を組み合わせた八苦があります。

ただし、この四苦八苦説は語呂合わせの要素が強いことから、あまり有力な説ではないとされています。

【九十八結・十纏】悪い煩悩の数の合計が108

人間の悪い煩悩の数が合計108になることから来ているのが「九十八結・十纏の説」です。

人間に持つ悪い心と言われる十纏は「無慚・嫉・無愧・悔・眠・惛沈・慳・忿・掉挙・覆」の10種類があります。

九十八結は、98種類の人間の縛り付ける煩悩で、九十八随眠と呼ばれることもあります。

この二つの数字を足すと108になります。

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煩悩の苦しみはどこからくるのか

続いて、苦しみの根源について解説します。

人間の内側から生まれてくる

煩悩は目に見えるものではなく、人間の内側から生まれてくるものです。

自分の心の中で生まれる苦しみです。

例えば、「お金がない」という状態は、あまりよいことではないですが、苦しみとは断言できません。

お金がないと欲しいものは買えませんが、その分、アイデアを出して代わりとなるものを生み出す楽しさがあります。

また、「お金がある」という場合においても、幸せとは言い切ることはできません。

周囲には欲に目が眩んだ人が集まり、人間不信に陥ることもあるかもしれません。

最悪の場合、お金を奪われる悲しさを味わうなど、思ってもいない不幸に見舞われることもあるでしょう。

お金がないという状態は、あくまでも一つの事実に過ぎません。

「もっと欲しい」と思うか、今あるものに目を向けられるか、人によっても苦しみが生まれてくるかどうか違いがあります。

仏教では三毒・無明と呼ばれる

仏教において、煩悩の中でも最も根源にあり戒めるべきものを「三毒(さんどく)」と呼びます。

三毒とは、貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚痴(ぐち)を表す言葉です。

貪欲は「欲が深いこと」、瞋恚は「自己中心的な怒りや憎しみ」、愚痴は「愚かさ、言っても仕方がない愚痴」を表し、それら三つの言葉からそれぞれ一文字をとった「貪瞋痴(とんじんち)」という仏教用語もあります。

無明(むみょう)とは、明かりがない状態を表す言葉で、自分の欲や執着で視界が遮られ、本当の姿が見えない状態を意味します。

仏教においては、邪念に妨げられて真理が見えない「無知」を表していると考えられています。

煩悩とうまく付き合うコツ

煩悩とうまく付き合うコツについて紹介します。

煩悩の全てを手放すことはできないので、自分に合ったうまく付き合うコツを見つけることが大切です。

煩悩を悪いものと思わない

まずは、煩悩を悪いものと思わないことが大切です。

悪いものと考えてしまうと、煩悩が生まれたときに自分自身を責めてしまう悪循環に陥りやすくなります。

人間は大なり小なり、煩悩があるものです。

何かに執着して、自分自身をコントロールできなくなるのが問題なのです。

自分を必要以上に取り繕ったり人に嘘をついたりすることがあるからです。

お腹が空いたから「ご飯を食べたい」というような感情は、人生を豊かにします。肯定的に捉えていきましょう。

煩悩の制御を心掛ける

自分らしく生きられるように、煩悩の制御を心掛けることが大切です。

意思通りに煩悩をコントロールできると、自信も付きます。

「モテたい」という気持ちも、一歩引いた位置から見てください。

誰かに愛されている自分に執着していることがあります。

また、他者から好意を寄せられるかどうかについては、結局のところは他者頼みになるしかないとも言えます。

自分の力の及ばないものだからこそ「こだわりを持たなくていい」と執着している気持ちを解放しましょう。

しかし、全ての感情に制御をかけるとストレスも溜まります。

強い感情を抱いたときだけ、立ち止まって考えてみることが大切です。

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まとめ

煩悩とは、誰でも持っている、人間を苦しめる原因になる心の働きです。

煩悩が108ある理由は「六根」「暦」「四苦八苦」「九十八結・十纏」というように、主に四つの説があります。

例文としては「煩悩を捨てる」「煩悩にまみれている」という使い方ができます。

何かに執着して心を悩ませたときに使うことができる表現です。

英語では「worldly desires」と表すことができます。

煩悩を悪いものと決めつける必要はありません。

自分らしく生きるため、何かに執着したときだけ、制御を心がけることが大切です。

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