長寿銭とはなに?配り方と使い方を解説
長寿銭を知っていますか?
長寿銭は、故人が長寿で旅立ったことに対するお祝いと故人の長寿にあやかるようにとの願いを込めて、葬儀の際に小銭を配る風習です。
もらった場合は、どのような使い方をするのがよいのでしょうか。
今回の記事では、「長寿銭とは何か」「使い方や配布方法」などを紹介します。
長寿銭をもらったはよいが使い方が分からない方、配り方を知りたい方は参考にしてください。
長寿銭の読み方と意味
まず、長寿銭の基本的な知識を紹介します。
読み方は「ちょうじゅぜに」
長寿銭の読み方は「ちょうじゅぜに」です。
「長寿」と「銭」が合わさった言葉と覚えておくと読みやすいです。
故人の長寿にあやかり配布される縁起物
長寿銭が持つ意味は、故人の長寿にあやかって、遺族から参列者に配られる小銭です。「長寿に縁があるように」との思いが込められているお金になります。
また、故人の長寿を祝い快くあの世へ送り出すという縁起物とも言えますので、参列者としても、気持ちよく受け取ることができます。
遠慮はしないで、ありがたく受け取ってください。
長寿銭は祝儀袋に入れて礼状とともに手渡されることが多く、銭の金額は参列する葬儀により異なります。
千葉・埼玉・群馬の一部の地域で見られる
長寿銭は、全ての地域で行われているわけではなく、千葉・埼玉・群馬の一部で見られる風習です。
地域のしきたりによっても異なります。
長寿銭の風習が残る地域との関わりがなければなかなか知る機会がないので、その存在を知らなかったという方もいるでしょう。
また、必ず行わなければならないものでもありません。
千葉・埼玉・群馬でも行わないこともあるので、気になる方は事前に確認することをお勧めします。
80歳以上で配布される場合が多い
長寿銭は、長寿にあやかって配布される縁起物ということで、故人が80歳以上だったときに配布されることが多くなります。
これは、あくまでも目安の年齢です。
米寿を超えた場合に配ることもあれば、90歳以上を長寿とすることもあります。遺族にとって「故人が長寿の人生を全うした」と感じたときに配るものであり、決まりが設けられているわけではないことも理解しておきましょう。
また、長寿銭を配ることを葬儀社が勧めることはありません。
遺族が長寿銭(縁起物)を配るか配らないか決めることになります。
長寿銭の適正額は?
葬儀の際に配る長寿銭は、どの程度の額なのでしょうか。
長寿銭の金額に決まりは設けられていませんが、金額ごとに意味があるので紹介していきます。
5円:長寿にご縁がありますように
「長寿にご縁がありますように」という願いを込めて、葬儀の参列者に5円を包んで渡します。
5円玉の穴の部分に紅白の紐を通すと、より一層、縁起物の印象が際立つでしょう。
5円は、お賽銭としても「ご縁がありますように」と願いを込めて投げ入れられることも多い、親しみやすさを感じる銭です。
10円:十分に生きられますように
故人が十分に生きたことにあやかり、「十分に生きられますように」との願いを込めて、葬儀の参列者に10円を包んで渡します。10の数字にあやかった長寿に関するよい意味がある銭です。
10円玉は他のお金よりも錆びやすいという特徴があり、「磨けば光る」という意味も込められています。
50円:長寿に五重の縁がありますように
「長寿に十分な縁がありますように」という5円と10円のよいとこ取りと、さらに「五重」とかけて葬儀の参列者に50円を包んで渡します。
厄払いの意味もあります。
50円も5円同様に穴あき銭なので、同様に紅白の紐を通すことができます。
100円:ご縁が100あります
「ご縁が100ありますように」「100歳まで生きられるように」という意味を込めて、葬儀の参列者に100円を包んで渡します。
100円硬貨裏に桜が描かれている100円は、日本人にとってなじみ深い貨幣です。
キリがよい数字でもあり、準備しやすいという特徴もあります。
500円:最大の効果がありますように
硬貨の中でも最大の数値になるのが500円です。
「最大の効果がありますように」という意味を込めて葬儀の参列者に500円を包んで渡します。
500円硬貨の裏には橘が描かれていますが、橘には「不老不死の力がある」という言い伝えがあります。
もらった人も、大きな力を感じられることでしょう。
長寿銭の使い方とは
長寿銭としてもらったお金は、どのような使い方をすればよいのでしょうか。以下、紹介します。
財布に入れてお守りにする
長寿銭を財布に入れてお守りにすると、ご利益が感じられます。
肌身離さず持つと、心強い存在になるでしょう。
また、財布の小銭入れにそのまま入れると、どれがお守りであるかわからなくなるので注意が必要です。
カード入れに入れたり、目印をつけたり、他の硬貨とは区別しておきましょう。
お守りの袋を作って入れておくのもよいかもしれません。
身近な人にお守りとして渡す
長寿銭を自分で使うのではなく、身近な人にお守りとして渡す方法もあります。
縁起物であることを伝えると、ありがたく受け取ってくれる可能性も高いです。
大切な人に渡すと、すてきな贈り物になります。
「長生きしてほしい」という思いを込めて、高齢の方に渡すのもよいかもしれません。
長寿銭の使い方に悩んだら、身近な人に託すのも一つの方法です。
買い物に使用する
もらった長寿銭は、使ってはいけないということはなく、買い物でそのまま使うこともできます。
欲しいものがあるときは、使うのも問題ありません。
「バチが当たるのでは」と不安になる方もいますが、心配はいりません。
むしろ、使い方に困ってそのまま放置する方が失礼に当たります。
特にお守りとして使わないときは、買い物に使用するのが無難です。
長寿銭の使い方には特に決まりはないので、受け取った人が自由に使って構いません。
長寿銭の配り方とは
長寿銭の配り方を紹介します。
どのような手順で配るのでしょうか。
マナーを守った上で、縁起物を配るようにしてください。
簡単な祝儀用のし袋に入れて配る
長寿銭をそのまま手渡すのではなく、赤と白の水引が描かれた、簡単な祝儀袋に入れて配るようにしてください。お祝いの意味もある縁起物なので、袋も無地ではなく紅白の水引とのしが付いたものを選びましょう。
中に入れるのは硬貨一枚ということで、小さいサイズのものでも構いません。
ポチ袋を使用する方もいます。
また、大きいサイズのものを使用したからと言って失礼にはなりませんが、祝儀袋はシワや汚れがなく見栄えのよいものを選ぶようにしてください。
縁起物ということを考慮していきましょう。
表書きは「長寿銭」と「故人の名前・年齢」
祝儀袋の表書きは「長寿銭」と書き、水引の下側には「故人の名前・年齢」を書いてください。
故人の長寿にあやかる縁起物ということで、忘れずに年齢を記入するようにしてください。
満年齢、数え年どちらを記入しても構いません。
分かりやすい方を選んでください。
長寿銭に似ている風習
長寿銭に似ている風習がいくつかあります。
赤飯を出す
天寿を全うした方の葬儀では、赤飯を出すことがあります。
地域によっては、年齢に関係なく出すことがあります。
起源は不明ですが、江戸時代には既に行われていたと言われています。
現代の葬式では、赤飯を出すところは減少傾向にあります。
小銭・菓子などをまく
天寿を全うした方の葬儀では、地域によっては小銭・菓子などをまくことがあります。
「撒き銭」と呼ばれることもあり、長寿にあやかった縁起物を分け隔てなくみんなに分配できる方法です。
拾った小銭・菓子は、使ったり食べたりしても構いません。
遺族が行うことで、故人が功徳を積めるという意味もあります。
小銭・菓子などを撒く風習を行うかどうかは、遺族の判断に任されます。
紅白饅頭を配る
長寿銭の代わりに、紅白饅頭を配るところもあります。
具体的には、沖縄と福島の一部の地域で行われており、90歳を超えた方が亡くなった際に、長寿を祝って配られます。
また、饅頭ではなく、餅を配るところもあり、地域によっても違いが見受けられます。
「死後に残った財産を、世間に返す」という意味が込められています。
まとめ
長寿銭は、故人の長寿にあやかり配布される縁起物です。
貰った場合、財布に入れてお守りにしたり、身近な人に渡したりすることができますし、買い物に使うこともできます。
そのまま放置することのないようにしましょう。
配り方については、手渡しではなく簡単な祝儀用のし袋を使い、「長寿銭」と「故人の名前・年齢」を表書きに忘れずに書くようにしてください。
他にも、長寿銭と似ている風習に、赤飯を出したり紅白饅頭を配ったり、小銭・菓子などをまくものがあります。これらも縁起物になるようです。
地域によっては、触れることがあまりない長寿銭ですが、いざ受け取ったときに失礼がないように、正しい知識を備えておいてください。
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