喪主がやることリスト｜葬儀の準備からその後の流れまで順に解説
本記事のポイント
- 喪主は亡くなった直後、葬儀、葬儀後の3つの段階で対応を求められる
- まずは死亡診断書を受け取り葬儀社を手配する必要がある
→葬儀社を手配すればある程度のサポートを受けられるが、そこまでは喪主や遺族が自力で進めていく - 葬儀当日の喪主の役割は会場の確認や参列者対応などがある
- 葬儀後も各種手続きを進めたり、四十九日法要に備えた準備が必要
喪主を務めることは、多くの方にとって初めての経験です。悲しむ間もなく、様々な対応や関係者への連絡、葬儀の準備に追われることになります。
本記事では喪主が担うべき役割のすべてを、「亡くなった直後」「葬儀中」「葬儀後」の3つのフェーズに分けてまとめています。いつ、何を、どのように進めればよいのかを網羅的に把握できるでしょう。
先の見えない不安を解消し、落ち着いて故人様とのお別れの時間を過ごすためにも、まずは本記事で全体像を掴んでおくことをおすすめします。
喪主の役割は主に3つ
喪主の役割は大きく分けて主に3つあります。
まず喪主は、葬儀のプランや細かな内容を決定する役割があります。日程や場所、参列者の人数など短時間で多くのことを決めなければなりません。あらかじめ他の遺族や親族からも意向を聞いておくと判断しやすいでしょう。
また、葬儀では大きな額が動きやすいため、収支をしっかり管理しておくようにします。葬儀にかかる費用だけでなく、法要やお墓、遺産相続に関する費用も含めるようにします。
参列者から頂いた香典は葬儀費用に充てられるため、香典金額も把握しておくと結果的な支出がいくらだったか計算しやすいでしょう。
遺族を代表する立場でもある喪主は、葬儀社や宗教者、参列者などとの窓口になることも求められます。葬儀後も法要や手続きなど多くのことに対応する必要があるため、追い込み過ぎないよう心身を休める時間を適度に持つようにしてください。
亡くなった直後に喪主がやること
家族が亡くなった直後の喪主対応は主に6つあります。動揺や悲しみを抱えるなかで、喪主1人で行うのは困難です。できる限り遺族やまわりの人を頼って進めていきましょう。
死亡診断書の受け取り及び提出
まず病院で死亡が確認された後は、医師から死亡診断書を受け取るのが一般的です。自宅で亡くなった場合もかかりつけ医がいれば、診断後に死亡診断書が発行されます。
かかりつけ医がいない方が自宅で亡くなった場合は、警察が死亡確認をして、死亡診断書と同様の効力を持つ死体検案書を発行するのが基本的な流れとなります。
死亡診断書もしくは死体検案書の左側が死亡届となっており、死亡届は受け取ってから7日以内に役所に提出します。ただ、法律上の期日は7日以内ですが、火葬を行う前に提出しなければならないため、実際には葬儀の日程に応じて早めに提出する必要があります。
基本的には葬儀社が提出を代行してくれますが、死亡届は届出人が直筆で記入する必要があります。
代行費用は一般的にはプランに含まれていますが、一部葬儀社では追加費用がかかることもあるため事前に確認しておくと安心です。
※参照：死亡診断書（死体検案書）について - 厚生労働省
葬儀社手配
病院で亡くなった場合、故人のご遺体は霊安室に安置されます。しかし長時間の安置はできないため、自宅で亡くなった場合と異なり、数時間でご遺体を別の場所に搬送する必要があります。
ご遺体の搬送は葬儀社に依頼をするのが一般的です。これから葬儀社を探す方は、インターネット検索や病院・施設からの紹介を中心に探していきましょう。できれば複数社の見積もりを取得して比較するのがおすすめです。
また、喪主はご遺体をどこに安置するか搬送先を決めなければなりません。主な搬送先は葬儀社や遺体専門安置施設、もしくは自宅が挙げられます。
スペースや環境面に懸念がなければ自宅安置も検討できますが、近年は社会背景や住宅事情などから葬儀社の安置室に保管する方が増えてきています。葬儀社の安置室に保管する場合は、ご遺体の管理を任せられるメリットがある一方、施設利用料が発生するため長期安置には注意が必要です。
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退院手続き
家族が病院に入院していた際は、葬儀社が病院に到着するまでに退院手続きを済ませます。
退院手続きは病院主導で進めるケースが多く、喪主は案内に従って、渡された書類へ記入していけば問題ないでしょう。医療費及び入院費の支払いに関しては、後日精算が一般的ですが、病院によっては当日払いなこともあるため確認が必要です。
葬儀社との打ち合わせ
ご遺体を搬送し、安置した後は葬儀社との打ち合わせがあります。
打合せでは主に葬儀プランや日程、参列人数などを固めていきます。喪主や遺族の希望があれば、喪主が代表して伝えるとスムーズでしょう。
また喪主の役割に不安があれば、この時点で質問して不安を解消しておきます。
親族や友人、菩提寺に連絡
葬儀の日程や場所が決まったら、参列してもらいたい親族や友人に訃報と葬儀の案内の連絡をします。
その際には故人の名前、死亡日時、葬儀日程及び場所、喪主の名前などを伝えるのが一般的です。連絡手段には主に電話、メール、LINEがあり、関係性によって使い分けるのが適切でしょう。
家族葬や直葬など身内だけで集まる場合は訃報連絡のみ行い、あからさまに参列を遠慮いただきたい旨は控え、葬儀は家族だけで行うことを伝えます。
さらに菩提寺があればこのタイミングで葬儀での供養を依頼しましょう。お布施にいくら包めばいいか不安な方は、直接聞いても失礼には当たりません。
葬儀の準備
葬儀を行うにあたって、主催側は葬儀の準備を進めていきます。
まずは喪服や持ち物を準備します。喪主の喪服に関しては以前は最も格式高い正喪服を着用する慣習がありましたが、近年は準喪服でもマナー違反にあたらないとされ、選ぶ人が増えています。
持ち物は数珠やハンカチなど一般的な持ち物の他に、お布施や式場で展示したいもの、棺に納めたいものなども持参します。
また、遺影の準備も重大な役割のひとつです。生前の姿を思い出すような故人らしい写真が遺影写真にふさわしいでしょう。選んだ写真は画像データやプリントされた状態で、葬儀社に渡します。
最後に喪主の挨拶に関しても内容を準備しておくと安心です。
喪主が挨拶をするタイミングは通夜や告別式、会食で最大4回あるとされています。全く同じ内容にならないように、葬儀社に挨拶の回数を確認して備えましょう。
人前で話すのが苦手な方はカンペを用意しても問題ありませんが、スマートフォンではなく紙に書いたものを使用するのが望ましいです。
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葬儀当日に喪主がやること
葬儀当日、喪主は式場の確認や参列者対応など様々なことに追われます。しっかりと役割を全うするためにも、事前に予習しておきましょう。
葬儀当日の打合せ
喪主は余裕をもって1時間～1時間半前に式場に到着しておくのが理想です。
到着したら祭壇の供花の並び順や、席順などを葬儀社と確認します。さらに故人のエピソードや弔電について、司会者と打ち合わせをして流れを把握します。
宗教者が到着したら葬儀社の案内に従い控室に挨拶に行きます。時間に余裕があれば同時にお布施も渡すのがスムーズです。また、作法に不安があれば焼香や線香のやり方も確認しておくと安心です。
参列者対応
参列者が到着し始めたら、生前に故人がお世話になったことや参列に対する感謝を込めて、挨拶まわりをしましょう。
そのほかにも席への案内や会食会場への誘導など、様々な点で参列者への配慮が必要になります。
喪主の挨拶
喪主が挨拶をするタイミングは以下の4つが想定されます。
- 通夜の閉会時
- 通夜振る舞いのとき
- 告別式の閉会時
- 精進落としのとき
各挨拶は1～3分程度にまとめるのが適切とされており、通夜の閉会時は告別式閉会時より簡潔な傾向にあります。内容は参列者への感謝、故人との思い出、締めの言葉の3つにまとめて脱線はしないようにしましょう。
ただ、枠にとらわれ過ぎても気持ちは伝わりません。長さに気を付けながらも、喪主自身の言葉で届けるのが重要です。
お布施を渡す
葬儀前にお布施を渡すタイミングがなければ、葬儀後に渡しても失礼には当たりません。
渡す際にはお布施を直接取り出して渡すのではなく、袱紗を下に敷いて差し出すように渡すと丁寧な印象を持たれます。また、言葉でも読経に対するお礼を伝えるようにします。
葬儀後に喪主がやること
葬儀後も喪主がやることは残っています。とくに葬儀費用の支払いや手続きまわりは、期限が設けられている項目もあるため、速やかな処理が求められます。
葬儀費用の支払い
葬儀費用の支払い方法や期日は葬儀社によって異なります。
とくに期日は1週間の猶予がある葬儀社もあれば、速やかな支払いを求められることもあります。必ず確認をして期日を守るようにしましょう。
また、葬儀や納骨にかかった費用は相続財産から控除できるため、領収書は大切に保管しておいてください。
※参照：相続財産から控除できる葬式費用-国税庁
公的手続きやサービスの精算・解約
家族が亡くなった後には主に以下のような手続きが必要になります。
| 年金受給停止の手続き | 厚生年金：10日以内 国民年金：14日以内 |
| 介護保険資格喪失届の提出 | 14日以内 |
| 国民健康保険証の提出 | |
| 世帯主変更届の提出 | |
| 埋葬料・葬祭費の申請 | 埋葬料：逝去日翌日から2年以内 葬祭費：葬儀日翌日から2年以内 |
| 家賃や公共料金の精算、民間サービス解約 | なるべく早く |
| 生命保険申請手続き | |
| 免許証の返納 |
期限が早い項目から優先して進めていきましょう。また、多くの手続きで故人の戸籍謄本などが必要になるため、役所で複数枚取得しておくとスムーズです。
さらに各自治体では葬儀や納骨に対する補助金が給付されるため、忘れないうちに申請することをおすすめします。
四十九日法要の準備
四十九日法要とは故人の逝去日から四十九日目に、故人が浄土に行けることを願って執り行われる法要です。
実際は四十九日目である必要はないため、それより前の週末や祝日など遺族や親族が集まりやすい日程で行われています。
日程や場所が決定したら法要に呼ぶ親族などの近親者に声をかけます。法要時も僧侶を呼び読経を依頼するためお布施が必要になります。金額相場は5～10万円とされていますが、不安であれば直接聞いても問題にあたりません。
大まかな概要が決定したら、法要で必要となるものを揃えていきましょう。
法要では葬儀で使用した白木の仮位牌から本位牌に魂を入れ替える儀式を行うため、文字入れした本位をあらかじめ仏壇店で購入しておく必要があります。他にも遺影や遺骨、お供え物の花などを用意します。
四十九日法要で納骨を行うのであれば、納骨先も決めておきたいところです。菩提寺や霊園に先祖代々のお墓があれば、そちらに納骨するのが一般的です。
しかしお墓がない場合は、遺骨はそのまま自宅に安置し、ゆっくりと納骨先を探し、一周忌や三回忌などタイミングを見計らって納骨をすると良いでしょう。
香典返しの準備
四十九日法要が終わったタイミングで香典返しを用意していきます。
香典返しを当日に手渡している方でも、高額な香典をいただいていれば差額分の香典返しを用意します。
香典返しには食品や日用品などの消え物を選ぶのが慣習とされており、近年ではカタログギフトも「使えば消えるもの」とみなされ、選ぶ方が増えています。
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まとめ
今回は喪主がする対応を亡くなった直後から葬儀後までの流れに沿って解説しました。
直後は迅速な連絡と葬儀社との打ち合わせ、葬儀中は参列者対応と進行の管理、そして葬儀後は各種手続きや四十九日法要の準備と、それぞれの段階で重要な役割があります。
やるべきことが多く大変ですが、この全体の流れを把握しておけば、落ち着いて対応できるはずです。故人を偲び、悔いのないお別れをするためにも、この記事で解説したポイントを再度確認し、準備を進めていきましょう。
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