葬式の準備に必要なことは？葬式までの流れや生前の準備を解説
本記事のポイント
- 家族が亡くなったら葬式までに遺族は主にご遺体を搬送したり、葬儀社との打ち合わせ、納棺の立ち合いなどに対応する必要がある
- 葬式当日も喪主や遺族は開式の1～2時間前に斎場に到着し、席順の確認や葬儀社との最終打ち合わせを行う
- 葬儀の準備は生前のうちから行っておくと、遺族の負担を軽減でき悔いのない葬式にしやすくなる
- 生前から準備できる項目には葬儀社選びや葬式の形式決め、参列者リストの作成などがある
大切な方とのお別れの時間は一度きりです。だからこそ、「ああすればよかった」という後悔が少しでも残らないよう、事前に準備を進めておくことが、心穏やかなお見送りにつながります。
本記事では葬式の流れを確認し、事前に準備しておいた方がよいポイントを紹介します。
危篤から葬式までの流れ
実際に亡くなってから、葬式までどのように進んでいくのかも知っておくと安心です。
ここでは仏式で行う葬式を例として、危篤から葬式までの流れについて主な事柄を見ていきます。
なお、葬式の流れは、地域や宗教宗派、葬儀スタイルによっても変わってきますので、あくまで一例として参照ください。
危篤
危篤の連絡を受けたもしくは自宅で家族が危篤状態の際は、血縁の近い親族や、本人が会いたいと望む友人に危篤であることを連絡します。
危篤者が病院に入院している場合は、長時間の滞在に備えて宿泊セットを用意しておくのが望ましいです。ただ、急を要するため時間をかけてまで用意する必要はないでしょう。
臨終
臨終後は医師から死亡診断書を受け取ります。病院で亡くなった場合は、その場で担当医に発行してもらいます。自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡して来てもらう形となります。
かかりつけ医がいない場合や、突然死・事故死などで死因が不明な場合は、警察に連絡し検視、警察医による検案を受けます。終了後、死体検案書が発行される流れとなります。
駆けつけることができなかった近しい親族には、速やかに一報を入れます。間違いなく伝えるために電話連絡が望ましいでしょう。また、菩提寺があれば併せて連絡をしておきます。
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葬儀社の手配
ご遺体を安置場所に移すためには搬送の手配が必要です。とくに病院で亡くなられた場合は病院の霊安室には長時間安置できないため、速やかな手配が求められます。依頼時には故人がいる場所と搬送先を伝えます。
遺体の搬送及び保全をしてもらうためには、葬儀社に連絡するのが一般的です。一般的には搬送を依頼した葬儀社に葬式を依頼する流れとなりますので、もし時間があれば、複数の葬儀社から見積もりを取り、料金やプラン内容を比較することが望ましいでしょう。
葬儀社を選ぶポイントは、遺族の意向を汲んで親身に相談に乗ってくれるか、対応がきめ細かく丁寧か、費用の内訳を正直かつ明確に説明してくれるか、などが挙げられます。
依頼する葬儀社がなかなか決まらない場合はこの時点では搬送のみを依頼し、葬式自体は別の会社に依頼することも可能です。
ご遺体の搬送
寝台車が到着したらご遺体の安置場所まで搬送してもらいます。法律上、故人が亡くなってから24時間は火葬できないため、最低でも1日はご遺体を安置する必要があります。
安置場所には、主に自宅、葬儀社の安置室、遺体安置施設などがあります。自宅に十分なスペースがない場合やご遺体の管理を任せたい際には、葬儀社の安置室を利用するのが一般的です。
※参照：墓地、埋葬等に関する法律（昭和２３年５月３１日法律第４８号）-厚生労働省
葬儀社と打ち合わせ
安置後は葬儀社と葬式についての打合せがあります。
その際には葬式全体を取り仕切る喪主を決めます。一般的には故人の配偶者が務めますが、配偶者が高齢だったりすでに亡くなっている場合は「長男→次男以降の直系の男子→長女→次女以降の直系の女子→故人の両親→故人の兄弟姉妹」という血縁の深い順番で決めることが多い傾向にあります。また例外として、故人の遺言があればそれに従うこともあります。
喪主が決まったら葬式の日程、形式、内容などを具体的に決めていきます。日程は式場や火葬場の空き状況、僧侶など宗教者の都合を確認して決定します。友引の日は多くの火葬場が休みにする傾向にあります。
葬式の形式は主に一般葬、家族葬、一日葬、直葬があり、故人・遺族の意向や想定参列者数などによって決まります。形式が決まったら祭壇や棺の種類、遺影写真、返礼品、会食などの内容も併せて決めていきます。
また、死亡診断書は亡くなってから7日以内に役所に提出する必要がありますが、一般的には葬儀社に預けて手続きを代行してもらうケースが多いでしょう。
納棺
納棺とは、故人の身体を棺の中に納めることです。死装束を着せるなど、納棺の儀として遺族が立ち会い、希望によっては一緒に行うケースもみられます。
納棺の儀は、葬儀プランに含まれる場合とオプション扱いになる場合があります。棺に納める際には故人の愛用品や思い出の品などを、副葬品として一緒に納めてあげましょう。故人への手紙を入れてあげるのもいいかもしれません。
ただし、眼鏡などの金属製品、瓶や缶、革製品など燃えにくいものや、ペースメーカーなど爆発の危険があるもの、現金などは入れることができません。葬儀社によってもルールが異なることもあるため、事前に確認が必要となります。
葬式当日
喪主や遺族は開式の1〜2時間前には斎場に到着するようにします。到着したら受付の準備、席順、供花の順番などを確認し、葬儀社と最終的な打ち合わせを行う流れが一般的です。
参列者が到着し始めたら、参列の感謝を伝えたり席に案内したりと、適宜対応していきましょう。また喪主は通夜や告別式の閉会間際にスピーチを行います。
通夜・告別式の後には火葬を行う流れになるため、棺を霊柩車に乗せ火葬場に向かいます。火葬には1〜2時間程度かかるため、その間は控室で待機します。火葬後は遺骨を骨壺に納める骨上げを行っていきます。
また、通夜や告別式を行う葬儀では、遺族は参列者への感謝を込めて会食の場を設けてもてなします。通夜の後の会食を「通夜ぶるまい」、告別式の後の会食を「精進落とし」と呼びます。なお、これらの儀式を行わない直葬の場合は、会食も基本的にありません。
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生前に準備できる7つのこと
葬式の準備を始めるタイミングとして以下のような状況が考えられます。
- 病院で余命宣告を受けるなど、大切な方の死が差し迫ったとき
- 葬儀社の行う式場見学会などのイベントに参加したとき
- 終活を始めたとき
「死を待っているみたいで申し訳ない」などという理由で、生前からの葬式の準備に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、むしろ大切な人の死だからこそ、その方にとって大事な人生の節目となる葬式を納得のいくものとするために、事前の準備をしておいた方がよいという考え方もあります。
ここでは葬式の準備にはどのようなものがあるのかを、7つに分類して紹介します。
葬儀社選び
葬儀社選びは家族が亡くなってから慌てて探すと、故人や遺族にとって適切ではない葬儀社を選んでしまったり、想定より高額になってしまったりと後悔に繋がるケースもみられます。
前もって複数の葬儀社から資料請求をしたり、事前相談会に参加したりして比較して葬儀社の目星をつけておくのが望ましいでしょう。葬式費用は葬儀社によって大きく異なるため、希望する葬式形式での見積もりを取っておくと安心です。
また葬式の費用や内容だけでなく、担当者の人柄や対応の丁寧さも重要な判断基準です。信頼できると感じた葬儀社の連絡先を控えておくと、いざという時に慌てずに済むでしょう。
予算
葬式にかかる全体の平均費用相場は安心葬儀が行った全国調査によると、宗教者へのお布施などを含めると97万4,844円※であることがわかりました。
ただ、葬儀の形式によっても大きく異なるため、どのくらいの予算をかけられるのか、あらかじめ目安を決めておくといいでしょう。
葬儀社との打ち合わせの際に予算を伝えることで、適切なプランを提案してもらいやすくなります。また支払いにクレジットカードが使えるとは限らないため、ある程度の現金を口座に用意しておくと安心です。
葬式の形式の決定
葬式には主に4つの形式があります。どのような葬式にしたいか、前もって本人や家族間で話し合っておくと「本人はこの形を望んでいたのか」「なんとなくで決めたけど本当に適切だったのか」など、後々抱く疑念をクリアにすることができるでしょう。
| 一般葬 | 親族や友人、会社関係者など参列者を限定せずに、生前お世話になった方々を広く招く形式 |
| 家族葬 | 家族や親しい親族、友人など近親者を中心に、少人数でゆっくりと見送る形式 |
| 一日葬 | 通夜を行わず、告別式から火葬までを1日で行う形式 |
| 直葬 | 通夜・葬儀を行わず、火葬のみで故人を送り出す最も簡素な形式 |
葬式の形式は誰を呼びたいか、どのくらいの規模にしたいかなどによって、適切な形式や斎場が異なります。本人や家族の希望をまずは確認して、どの形式がふさわしいかを絞っていきましょう。
参列者リスト
葬式を行う際に参列してほしい方のリストを前もって作成しておくと、漏れがなく遺族の負担も減らせるでしょう。とくに遠方に住む親戚や、普段付き合いの少ない親戚も呼びたい方は生前の時点で連絡先をまとめておいた方が安心です。
まとめる際は故人の友人、会社関係、知り合いなど、関係性ごとにリストアップすると分かりやすくなります。
また訃報のみを伝える方も、分けてリスト化しておくと連絡がスムーズです
参列者リストは連絡時だけでなく、葬式の規模や斎場選び、返礼品や食事の数の目安が立てやすい点でも有益といえます。
安置場所
家族が亡くなられてから葬式までの期間、遺族はご遺体を安置するための場所を用意する必要があります。
とくに現在、病院に入院されている方の葬式を準備する場合、病院の霊安室は長時間ご遺体を安置するのが難しいため、速やかに移動を求められることを想定しておきましょう。
主な安置場所は自宅か葬儀社の安置室か遺体安置施設が挙げられます。自宅に安置する場合は、仏間やリビングなどご遺体を安置できるスペースを考えておく必要があるでしょう。
自宅が難しい場合は、葬儀社の安置室か遺体安置施設に安置を行うのが主流です。スタッフにご遺体の管理を任せられる点がメリットですが、面会時間に制限があったり施設利用料がかかる点は念頭に入れておきたいところです。
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宗教宗派の確認
仏式の葬式をする場合は菩提寺の有無を確認し、ある場合は寺院名、宗派、連絡先を把握しておくとスムーズです。菩提寺との関係が不明な場合は、事前に親族に確認しておきましょう。
菩提寺があるにもかかわらず相談なく葬式を進めると、納骨を断られるなどのトラブルに発展する場合も考えられます。そのため必ず確認しておきたい項目です。
特定の宗教の信仰がない場合は、伝統的な儀式に捉われない無宗教葬を行うことも可能です。
遺影写真
遺影写真はいざという時になると、良い写真がなかなか見つからないこともあります。事前に候補をいくつか選んでおくと慌てずに済むでしょう。
選ぶ際にはピントが合っていて、顔が大きくはっきりと写っているものが望ましいです。スナップ写真など故人らしい自然な表情で、人柄がわかるような写真を選ぶといいでしょう。
また背景に他の人が写り込んでいても、背景を差し替えたり加工はできますが、ピントが合っているものを選びます。
プリントされた写真ではなく、スマートフォンなどで撮ったデジタルデータを遺影写真に使うケースも増えています。可能であればデジタルデータも準備しておくと安心です。
まとめ
今回は葬儀が行われるまでの準備や、生前に準備しておいた方がよい主なポイントを紹介しました。
葬儀社の選定、遺影用写真の準備、参列者数の予測など葬儀の準備にはいろいろな事柄があります。
葬儀は一般の方々には分からないことが多く、葬儀社が主導しながら物事を進めていくことになるため、葬儀社の質が特に重要になります。
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