検視とは?検死や検案とは違うの?
病院で亡くなった場合は、医師による診断を受け死亡診断書が発行されます。しかし、自宅や外出先などで亡くなり、医師が死亡診断書を作成できない場合は「検視」という手続きが必要になります。
検視とはいったいどういう手続きのことを言うのでしょうか。また、似た言葉として「検死」や「検案」という言葉がありますが、それらは何を意味するのでしょうか。
今回は検視について解説します。
検視とは?
検視(けんし)とは、主に事故などの突発的要因で亡くなった方について、検察官や認定された警察職員(司法警察員)によって、身元確認や犯罪性の嫌疑の有無を調べるために行われる手続きです。
検視は、「変死者または変死の疑いがあるときは、検視をしなければならない」とする刑事訴訟法(参考:刑事訴訟法 第二百二十九条)に基づいて行われます。
検視では、状況に応じて「医師からの意見聴取」「家族や発見者やその他関係者からの事情聴取」「遺体の表面的な調査および撮影や指紋採取」などが行われます。
検視は、基本的に検察官によって行われます。また、医師によって遺体を医学的に調べ、死亡時刻の推定や死亡状況の判定を行うことを、検視とは別に検案(けんあん)と呼ぶ場合があります。
検視が行われる場所はさまざまですが、多くは病院の霊安室や警察署などで行われます。
検視によって犯罪性が有ると判断されると、警察は司法解剖を鑑定嘱託医師に依頼することができるようになります。司法解剖の実施は、遺族であっても拒否はできません。
この司法解剖によって、死因や死亡推定時刻などを明らかにしていきます。
犯罪性がないと判断された場合でも、死因究明や公衆衛生の観点から解剖が行われることがあり、地域や状況によっては、遺族の承諾なしで解剖が実施されることもあります。
なお、変死者もしくはその疑いがある人に対して検視を経ずに葬った場合、「変死者密葬」にあたるとして刑法第百二十九条に基づき「10万円以下の罰金又は科料に処する」とされています。
どういった場合に検視が必要?
病院や医師の管理下・監視下において死亡した場合で、医師から見て死亡原因が明らかで不審な点がないときには検視の必要はありません。
一方、それ以外のケースでは検視が必要になります。言い換えると、病院や医師側から見て次の場合には、全て変死扱いとなり検視が必要です。
- 診療や治療中の患者ではない
- 診察の結果、異状や不審点が認められる(診療や治療中の病気以外で亡くなった方の場合)
検視が必要となる例
- 心筋梗塞や脳梗塞など診療中で、治療中ではなかった病気による突然死
- 老衰で亡くなったと思われるが、死因がはっきりしない場合
- 自宅や老人ホームなどで亡くなった状態で発見された場合
- 交通事故によって亡くなった場合
- 野球、サッカー、ボクシングなどスポーツ中の事故によって亡くなった場合
- 投薬ミスや手術ミスなど、医療事故によって亡くなった場合
- 転倒や転落によって亡くなった場合
- 火事で亡くなった場合
- 海、川、プールで溺れて亡くなった場合
- 薬物などの中毒症状を経て亡くなった場合
- 工作機械に巻き込まれて死亡するなど仕事中の労働災害によって亡くなった場合
- 地震、落雷、津波など自然災害によるもの
- 自殺と思われる状態で発見された場合
- 他殺が疑われる状態で発見された場合
その他、自宅や職場で具合が悪くなり、救急車で病院に運ばれたものの、搬送途中や病院到着直後に死亡してしまうというケースもあります。
この場合、搬送先がかかりつけの病院であったときや、死因に異状がないと明らかなときには、搬送先の医師による死亡診断書の発行を受けることができる場合もあります。
しかし、遺体の状態や搬送先の事情などによって搬送先医師による死亡診断が行われないときには検視が必要となります。
検視・検死の違い
検視と似た言葉に「検死」があります。
検視も検死も読み方は同じであり「けんし」です。ここでは検視と検死の違いについて説明します。
検視については、既に説明した通りですが、検死は検視とは違って法律的な用語ではありません。
「検視」と同じような意味の言葉として使われていることもあれば、「検視」「検案」「解剖」を一つにまとめた意味として使われることもあり、明確に定義されていない言葉であると言えます。
実状として、検視は遺体の表面的な調査に留まりますが、解剖まで含めた医学的な判定のための調査というニュアンスとして使われる傾向があります。
医師によって行われる遺体の調査という意味でいうと「検案」という法律用語があり、こちらを使うことが一般的です。
いずれにしても検死ではなく、法的には検視という言葉で覚えておけば間違いないでしょう。
検視にかかる時間や費用
ここでは検視を行う場合に、いったいどれくらいの時間がかかるのか、費用はどうなるのかを見ていきましょう。
検視にかかる時間について
検視が行われる場合、遺体はいったん警察に委ねることになります。
犯罪性がなく検視だけで済む場合で半日程度、また犯罪性はないが死因究明のため行政解剖も行う場合には1日~1日半程度の時間を要します。
これらの結果が全て分かるまで、遺族は書類の手続きや葬儀を行うことはできません。
なお、検視によって犯罪性が有ると判断されたときには司法解剖が行われますが、この場合調査を終えて自宅に戻ってくるまで数日間~1カ月以上を要することもあります。
また遺体の保存状態によっては、最大で2カ月くらいかかる場合もあります。
また、検視が終わって死体検案書が発行されてからでないと、死亡届の手続きができず火葬の許可申請も行えないという点は知っておいた方がよいでしょう。
死体検案書について
死体検案書とは故人名、死亡日時(推定)、死因などが記載された書類で、役所で死亡届の手続きを行う際に必要です。
通常死の場合には、医師によって死亡診断書と呼ばれる書類が発行されますが、検視が行われた際には、死亡診断書と同じ書式で死体検案書が発行されることになります。
検視に掛かる費用について
検視を担当する警察署の所在地や死亡の状況によって費用は変わってきます。
検視の費用相場は5万円前後と言われていますが、自治体によってさまざまです。東京23区では検案に関わる費用の全てを都が負担するため無料ですが、公費の補助により一部負担の場合もあれば、全額負担の自治体もあります。
検案や死体検案書発行の費用を遺族が負担する場合、検案料は約2万円~3万円、死体検案書発行料は約5000円~1万円がそれぞれの費用相場です。
これらの費用については、死体検案書を発行する医師に葬儀社がいったん立替えて支払いを行い、その後搬送料や葬儀代と合わせて、葬儀社から遺族に請求される形が一般的です。
なお、司法解剖に掛かる費用は国の負担ですが、行政解剖は遺族負担で行われます。行政解剖料は約8万円~12万円が相場です。
地域によって、死亡場所、警察署、解剖施設から移動する際の遺体搬送は葬儀社が行うところがあり、その費用は遺族の負担となる場合があります。
遺体の搬送料は10㎞以内の基本料金で、約1万2000円~1万5000円が相場です。
検視の流れ
検視について基本的な流れを紹介します。実際は死亡の状況などによって流れは変わってきます。
1. 警察署員によって死亡場所の状況確認や記録、証拠保全などが行われた後、遺体が死亡場所から警察署の霊安室に搬送されます
警察署への搬送は、警察の遺体搬送車で行われることが一般的です。
2. 警察署の霊安室に到着後、遺体が着用していた衣服は全て脱がされます。脱がされた衣服については犯罪性がなければ、遺留品として遺族に返還されます
3. 遺体の表面的な部分について警察職員が調査します。その際、遺体の写真撮影、指紋採取が行われます
4. 警察書が依頼した医師によって、死因の調査と診断が行われ、推定死亡時刻や死因などを記入した死体検案書を発行します。死体検案書は、検視後に遺体を搬送する葬儀社などを通じて遺族の手元に渡るケースが一般的です
5. 検死後は、葬儀社などが遺族の元(自宅など)へ遺体を搬送します。検視の終了を待つ間に、検視後に遺体をどこに搬送するか(どこに安置するか)を決めておくとスムーズに事が進みます
警察署から遺族に対して希望する業者の有無が確認される場合もありますが、遺族と連絡が取れない場合や遺族の希望が特にない場合には警察署が近隣の葬儀社を手配します。
なお、病院や老人ホームで死亡した場合には、看護師などが死後の処置をしてくれますが、検視を行った場合には葬儀社や遺体搬送専門業者が死後の処置を行います。
死後の処置とは、裸であった遺体に浴衣などを着せて整え、体液や老廃物の漏れ防止などを行うことを言います。
また検視中や検視後、捜査上の確認事項について警察署から遺族に電話連絡が入ることもあります。
検視の進捗状況や関連する質問事項については、遺族から直接警察署に問い合わせてもよいですが、葬儀社を通じて連絡してもらうことも可能です。
検視を拒否する事はできる?
変死や異状死であった場合、検視が必要です。
つまり、通常死として医師が死亡診断書の発行を行うことができない死については、検視が行われることになります。
遺族は検視を拒否することができるのでしょうか。結論から言うと、拒否することはできません。
拒否できない理由は、別項でも解説していますが、刑事訴訟法で「変死または変死の疑いのある場合には検視を行わなければならない」と定められているからです(参考:刑事訴訟法第二百二十九条)。
検察官や認定を受けている警察職員は、捜査令状は必要とせず、職権として遺族が拒否したとしても検視を行うことができます。
検視には、犯罪性の嫌疑の有無を見極めるための「遺族などへの事情聴取」も含まれていますので、この事情聴取を拒否することもできないことになります。
なお、検視によって犯罪性の嫌疑が有ると判断された場合には、司法解剖が行われることになりますが、この司法解剖も遺族が拒否することはできません。
最後に
今回は検視について解説しましたが、いかがでしたか。
何かしらの病気について治療を受けながら最後は病院で亡くなる方が多いのが現状ですが、事故的な突然死を含めて病院外で亡くなる方もいます。そのような場合、特にかかりつけの主治医がいなければ、検視として警察が介入することになります。
突然の死を迎えてしまう可能性は誰にでもあり、検視は多くの人にとって無関係な話ではありません。
大切な人が亡くなり、検視が必要となったときには、精神的に不安定で冷静に対応することが難しい状況になりますが、今回の内容を参考にしてください。
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