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葬儀の知識

樒と宗派のつながり・葬儀での役割と費用は?

樒と宗派のつながり・葬儀での役割と費用は?

樒(しきみ)は、仏教の葬儀において使用されることが多い植物で、花屋でも売られています。

樒がどのような意味を持って、供えられるのかを気になる方も多いでしょう。

今回の記事では、樒とは何か、仏教・宗派とのつながりや費用相場などについて紹介します。

葬儀で樒を見て気になった人、供花の代わりに注文したいと思う人は参考にしてください。

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樒とは?特徴を紹介

まず、樒について解説していきます。

樒とは?

樒とは、仏事で使用される常緑小高木(じょうりょくこうぼく)に分類される植物です。成長すると10mほどの高さになります。

美しい緑色をしていて、「しきみ」と読みます。日持ちがしやすく、長期間鮮やかな緑色を保つのが特徴です。葉は大きいもので10㎝程度になります。

関西地方の仏式の葬儀で入口の飾りなどに使用されることが多く、「花の木」「花芝」の別名で呼ばれることもあります。

樒は春になると黄色い小さな花を咲かせますが、葬儀の際には、花が開いていない状態で使用されることが多いです。

樒の花言葉は、「猛毒」「甘い誘惑」「援助」です。あまりよいイメージを持てない花言葉になっていますが、仏事においては無関係と見られています。

樒の香りと毒について

独特の強い香りを発する樒ですが、傷を付けるとより匂いは濃くなります。

樒は、毒である「アニサチン」を含んでいます。実を食べると最悪の場合、死に至ることもあるので、取り扱いには注意しなければいけません。

樒の香りと毒性が、故人を邪気や悪霊から守ると考えられてきました。また、強い香りには獣を退ける効果があったことから、埋葬された遺体を守る役割も果たしたと言われています。

樒の名前の由来

樒の名前の由来については、諸説あります。

一つ目は、四季を通して一年中、常に美しい緑色を保つことから「しきみ」「しきび」と呼ばれたという説。

二つ目は、毒を持っていることから「悪しき実」と呼ばれ、そこから「あ」を取ったという説。

三つ目は、果実が重なりつく様子の「敷き身」が由来となっているという説。

これら三つの説があります。

樒と榊の違いは?

樒と榊は、見た目が似ていることから混同して覚える方もいますが、仏式に使うのが「樒」神式に使うのが「榊」となります。

見た目での違いは、樒の葉っぱは肉厚でやわらかく波打っていますが、榊の葉っぱは硬くて平べったく向きがそろっています。

樒は香りが強いのに対して、榊は無臭に近いほど匂いがしません。

どちらも花屋に置いているので、間違って購入することのないように気を付けましょう。

樒と仏教のつながり

樒は仏教と深いつながりがありますが、どのような背景があるのでしょうか。

以下、解説します。

樒を日本に伝えたのは鑑真

樒は、中国の高僧・鑑真(がんじん)が唐から日本に持ち込んだことで、広く知れ渡るようになりました。

鑑真は、5度も日本への航海に失敗しましたが、6度目で渡航に成功(753年)しました。そのころには視力のほとんどは失われていたと言います。

鑑真が力を尽くして持ち込んだことも相まって、樒は神聖な植物として取り扱われるようになりました。

江戸時代に発行された『真俗仏事編』においても、樒が鑑真によってもたらされたことがしっかり記載されています。

空海が樒を使い修行した

真言宗の開祖・空海は、密教の修行で樒を使用していたと言われています。

樒の「つくり」が密の漢字になっていますが、空海が密教の修行に使っていたことが関係しているのかもしれません。

樒は青蓮華に似ている

本来の密教の修行では、青蓮華(しょうれんげ)を使用します。

青蓮華は、仏様がいる世界に咲く花です。

しかし、青蓮華が入手困難であることから、空海は代わりに樒を使ったと言われています。

葉っぱの形が似ていることが理由として考えられます。

些細なきっかけから空海が樒を手に取るようになり、現代では仏事に使用されるようになりました。

樒は仏様に供えられた

樒は寒い冬の時期でもきれいな緑色を保つので、日蓮正宗の宗派では、仏様に供えることがあります。

なお、浄土真宗では、水が含まれている華瓶(けびょう)に樒を挿して、水の代わりとして供えるのが定番です。

樒は、さまざまな宗派で使用されている植物なのです。

遺体の腐敗臭対策として使用された

強い香りがする樒は、遺体の腐敗臭対策として使用されてきました。

虫が寄ってくることも防いでくれます。

昔は現代と違って、遺体を守ることが難しく、樒が重宝されてきたことが分かります。

個性的な香りも、故人にささげるに値する神聖なものとしての位置付けがあります。

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樒を使う宗派について

続いて、宗派と樒について解説していきます。

事前に押さえておくと、使う・使わないかを把握できます。

樒を使う宗派は?

「日蓮正宗」と「創価学会」が樒を使う宗派と言えます。

以下、樒との関係性について解説します。

ここでは二つの宗派に焦点を当てていきますが、他にも樒をお供えに使用する宗派はあります。

それを踏まえた上で読み進めてください。

樒と日蓮正宗の関係

日蓮正宗では生花を飾るのではなく、祭壇を全て樒で統一して飾ったり、樒を供花のように供えたりすることがあります。

教典の「法華経(ほけきょう)」の中に樒のことが記載されていて、現在においても大切なものとして取り扱われています。

樒は寒い冬の時期であっても、葉っぱを落とさない生命の強さを感じさせる植物で、「香りを供える」という考え方からも樒が選ばれてます。

ただし、絶対に生花を使ってはならないという規定はありません。

樒と創価学会の関係

創価学会の「御書(日蓮大聖人の著作や書状)」には、樒をお供えすることが記載されています。

樒は香りが強く虫が寄ってくることも防ぎ、冬でもなかなか葉が散らない特徴から、好まれているのではないかと考えられています。

また創価学会は、元は日蓮正宗の信徒団体の一つでした。

その理由もあってか、樒と深い関係性があると言えるのかもしれません。

樒を葬儀で使う場面は?

続いて、樒を葬儀で使う場面について解説していきます。

枕飾り・納棺・末期の水で使う

樒は、枕飾り・納棺・末期の水で使うことがあります。

枕飾り・納棺・末期の水について順番に説明していきます。

枕飾りは、故人の枕元に焼香や礼拝ができる場所(祭壇)を作ることです。

宗派によって異なりますが、枕飾りで置くものは以下の通りです。

  • 花瓶
  • 香炉
  • 燭台
  • 線香

香炉は香を焚く器で、樒は花瓶(一輪挿し)に入れて置かれます。

納棺は遺体を棺に納めることです。

樒は遺体の下に置いて、腐敗臭対策として使用されることがありますが、現代ではドライアイスなどを使って腐敗臭対策を行うことができるようになりました。

そのため、遺体の下に置くのは見たことがないという方も珍しくありません。

末期の水は、人の臨終のときに唇をしめらせる水です。

通常は割り箸に綿をつけて水を含ませますが、代わりに樒の葉っぱを使用することがあります。

葬儀式場の入口に飾る

一般的な近畿地方の葬儀では、樒を葬儀式場の入口に飾ることが多いようです。

これを「門樒(かどしきみ)」または「大樒(おおしきみ)」「樒塔(しきみとう)」と言うことがあります。

祭壇・仏具の花瓶に飾る

樒は、祭壇・仏具の花瓶に飾ることもあります。

最近では白木の祭壇を使わずに、花だけで祭壇を作ることが多くなっています。

その際に緑色の要素を加えるために樒が使用されることがあります。

なお、白木の祭壇を使用して、その周りを樒や菊で作ることもあります。

どちらにしても樒を使用することで、上品な印象を演出することが可能です。

なお、日蓮正宗の葬儀は、他の花を使用することが認められていない部分があります。その点についても気を付けましょう。

供花の代用として飾る

樒を供花として飾ることもできます。

以下の二つのパターンが見受けられます。

一つ目は、樒のみを使って供花を作ることです。日蓮正宗や創価学会の葬儀で見受けられます。

二つ目は、生花の中に樒を含んで供花を作ることです。

近畿地方では、樒は「花輪よりも丁寧なお供え物」という認識があり、参列者も多くの方が供花の代用として樒を選ぶことがあります。

紙樒・板樒を使う場合もある

入り口に樒を飾る場合、スペースを取られることがあります。

その際は代用として「紙樒・板樒」を使うことがあります。

紙樒は紙・板樒は板へ名前を書いたものを、入り口に展示することです。

実際に樒は使われていませんが、門樒と同じ意味を持ちます。

現代のさまざまな事情から、代用品で対応する手法が取られていることがあります。

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樒はどこで買える?費用も解説

最後に、樒はどこで買えるのか、費用相場について解説します。

初めて手配を行う方は参考にしてください。

葬儀社での手配が基本

樒は個人で購入するのではなく、葬儀社での手配が基本となります。

通夜当日の午前中までに間に合うように、スケジュールに余裕を持って依頼しましょう。

搬入についても業者が行い、飾る場所は遺族が決める形になります。

一連の流れがあるので、初めての方でも分かりやすくなっています。

また、何か分からないことがある場合は、葬儀社に連絡するようにしてください。

樒の費用相場

樒の費用相場は大きさ・タイプによっても異なります。

門樒の場合は、1万円〜3万円と言われています。

花輪の場合、費用相場は1万円前後と見ておくようにしましょう。

樒は大きなものを用意するほど比例して高くなるようです。

余裕を持って大目に見繕っておくと安心です。

まとめ

樒は、葬儀の際に使用されることが多い10mほどになる常緑小高木です。大きさ10㎝程度のツヤのある鮮やかな緑色の葉が特徴です。

鑑真が唐より日本に持ち込んだことで仏教とも深いつながりがあり、葬儀のさまざまな場面で使われることがあります。

葬儀式場の入り口に飾ったり、供花の代用や祭壇・仏具の花壇に飾ったりすることがあります。

樒は個人で購入するのではなく葬儀社での手配が基本となり、費用相場は門樒の場合1万円〜3万円、花輪の場合は1万円前後です。

葬儀の際に供花の代わりに樒を用意する方は、担当の葬儀社や葬儀会場に問い合わせをして手配を依頼するとよいでしょう。

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