老人ホームで亡くなった場合の対応と葬儀までの流れを解説
本記事の結論
- 老人ホームで逝去した際も、医師による死亡診断が必要。
- 相部屋の場合は、他入居者へ配慮し速やかな遺体搬送を行う。
- 施設での葬儀は小規模になり、宗教儀式は制限される傾向がある。
- 万が一に備え、搬送先の確認や遺影用の写真の事前準備を対応しておく。
- 身寄りがない方は、行政手続き等の生前契約の活用が安心。
厚生労働省の人口動態調査によると、2000年は約8割の人が病院・診療所で亡くなっており、2005年には82.4%とピークを迎えました。当時、老人ホームで亡くなる方はわずか2.8%で、多くの人が病院で最期を迎える時代でした。
しかし、その後は介護保険制度の充実や高齢者施設における看取り体制の整備が進み、老人ホームで最期を迎える人は年々増加しています。現在では、死亡者全体の16.3%が老人ホームで亡くなっており、特に死因が老衰の場合は、50%を超える人が老人ホームで最期を迎えています。
今後も高齢化の進展とともに、老人ホームは「生活の場」であると同時に、「人生の最期を迎える場」として、その役割がますます大きくなっていくと考えられます。
この記事では、身内の方が老人ホームで亡くなった場合の手続きに関する流れや、葬儀の手配などについて説明します。
老人ホームで身内が危篤・逝去となった場合の全体的な流れ
施設から緊急の連絡が入った場合、遺族は非常に慌ただしく対応を迫られることになります。万が一の際に落ち着いて動けるよう、まずは全体のステップと連絡の基準を把握しておきましょう。
基本的な流れは以下の通りです。
1. 危篤の連絡・近親者への初期連絡
施設から危篤の連絡を受けても、その状態は人によってさまざまです。まずは施設の職員に現在の容体や状況を確認し、ご自身が施設へ到着できるおおよその時間を伝えましょう。
同時に、お知らせすべき近親者にも連絡を入れます。最期に立ち会ってほしい近親者には、その旨も合わせて伝え、可能であれば施設へ向かってもらうようお願いすると良いでしょう。
2. ご臨終と死亡診断
医師による死亡確認が行われ、「死亡診断書」が発行されます。
3. 遺体のエンゼルケアと搬送先・葬儀社の手配
施設で死後処置(エンゼルケア)が行われている間に、葬儀社や搬送業者へ連絡し、遺体の安置先(自宅や葬儀社の安置施設)を決定して搬送を依頼します。
4. 葬儀の打ち合わせ
安置が完了した後、葬儀社と日程やプランの具体的な打ち合わせを行います。
5. 訃報連絡(葬儀日時決定後)
葬儀の日時や場所が正式に確定した段階で、関係各所へ訃報の連絡を入れます。
訃報連絡を伝える範囲と優先順位
葬儀の日程が決まった後の連絡は、以下の優先順位を目安に進めるとスムーズです。
- 第1優先:家族、近親者(3親等以内を目安に、危篤時に連絡できなかった方)
- 第2優先:故人と生前に特に親しかった友人・知人
- 第3優先:会社や学校の関係者、自治会・町内会など
死亡診断について
息を引き取ると、医師による死亡確認が行われます。これは、病院でも、自宅でも、老人ホームでも変わりません。病気や老衰などで、主治医が経過を把握したうえで看取りが行われた場合、老人ホームでの死亡診断は、嘱託医師や、提携の医療機関の医師が行います。
一方、突然死や死亡原因が明らかでない場合は、警察へ連絡され、警察による検視や警察医などによる検案が行われ、死体検案書が発行されます。
死亡が確認されたら、身内や近親の親族に故人が亡くなったことを伝えます。
その後、遺体にエンゼルケアを行います。エンゼルケアとは遺体の手当や衛生面の処置を行い、死化粧(エンゼルメイク)を施すなど、死後の姿をきれいに整える処置です。基本的には施設の看護師と介護士によって行われます。なお、エンゼルケアは医療保険、介護保険外サービスになるため、通常は1万~3万円の実費がかかります。
施設によっては、エンゼルケアを行わない場合もあります。その場合には、葬儀社に連絡した際に遺体にエンゼルケアを行っていない旨を伝えて、処置してもらいましょう。
死亡診断書(死体検案書)を入手する
医師による診断結果は「死亡診断書」に記載されて遺族に手渡されます。死亡診断書は役所に提出しなければならない「死亡届」も兼ねている書類なので、大切に持っておきます。
警察が介入し、検視が行われた場合、警察医・監察医による検案を経て「死体検案書」が発行されます。
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警察の介入と検案について
患者が医師の診療管理下にあり、最終診察から24時間以内に死亡した場合は、医師が死亡診断を行います。
一方、最終診察から24時間を経過した後に死亡した場合は、原則として医師による改めての診察(死亡確認)が必要になります。もし死因が診療中の病気とは無関係である疑い(突然死や事故死など)がある場合には、警察による検視、警察医による検案が行われることがあります。
法医学の専門家である監察医や警察医によって詳しく遺体を調べ、死因などを探ります。これを検案と呼びます。
解剖検査について
死亡時の状況によって解剖検査が行われる可能性があります。老人ホームで死亡した場合の解剖検査には、次の二つが考えられます。
- 司法解剖
事件性の疑いがある場合に行われる解剖検査 - 行政解剖
検案では特定できない死因を割り出すための解剖検査
解剖検査は、通常、警察の検案の翌日から2日程度を要します。
老人ホームでの葬儀について

入居していた老人ホームで葬儀はできるのでしょうか。答えは「できるところもあるが、できないところが多い」です。
老人ホームで葬儀ができるかできないかは施設の方針によるので、確認が必要です。葬儀までいかなくとも、ホーム内の一室に故人を安置して、搬送前にお別れの時間を設けるホームもあります。
ただし、葬儀を行えるとしても大人数の参列は難しいでしょう。老人ホームはあくまでも高齢者の入居施設であり、葬儀式場ではありません。少数の家族や親族、あるいは入居者や職員のみの家族葬に近いスタイルで行うことになります。
僧侶を招いて読経を行うなどの宗教儀式は、ほぼできないと考えた方がよいでしょう。
遺体を自宅や式場に搬送する場合には、葬儀社などの遺体搬送業者の手配を速やかに行う必要があります。業者が決まっていない場合、あるいは分からない場合には、老人ホームに尋ねることで、対応可能な近隣業者を紹介してもらえることもあります。
老人ホームで葬儀を行うメリット
老人ホームで葬儀を行う場合は、故人と親しかった入居者や生前に故人がお世話になった施設職員にも葬儀に参列してもらいやすい、故人が最期に過ごした場所でお別れができる、というメリットがあります。
特に入居者の方に葬儀に参列してもらいたいと思っても、入居者は体が思うように動かず、葬儀に参列することが難しいことが多いため、そういった場合には老人ホームでの葬儀やお別れ会を検討してみてもよいかもしれません。
老人ホームで葬儀を行うデメリット
老人ホームには故人と同じ位の年齢の方で、葬儀などの事柄に関して敏感になっている入居者の方も少なくありません。
たとえ葬儀を行えたとしても、宗教儀式として行う場合は特に、お経の声だったり、焼香の香りが気になってしまった入居者やその家族と葬儀後にトラブルになってしまう可能性もあります。老人ホームはあくまでも入居者が優先です。葬儀を希望する場合は、事前に施設職員にしっかりと相談しましょう。
遺体の搬送について
ここまでにも少し触れましたが、老人ホームで葬儀を行わない場合には、葬儀社など遺体を搬送する業者の手配を速やかに行う必要があります。
搬送業者に連絡をする際には、どこに搬送すればよいのか、希望の安置先をあらかじめ決めておくと、スムーズに手配が進みます。
葬儀を依頼する葬儀社に遺体搬送をしてもらうことが多いのですが、逝去の時点で葬儀社が決まっていない場合には、ひとまず遺体搬送だけしてもらいましょう。
その場合には、その旨を業者にきちんと伝えておきます。
遺体の搬送に掛かる料金は、基本的に距離に応じて計算されます。業者の車庫~老人ホーム~安置先までの走行距離が10Km未満で、搬送料金の相場は約1万円~2万円と言われています。
遠方の業者だと、老人ホームまでの走行距離分だけでそれなりの搬送料金が掛かってしまうため、近隣の業者に搬送を依頼した方が費用負担は軽く済みます。
葬儀社が提供する葬儀プランには、一定の距離までの搬送費用が含まれているケースが多いです。費用負担を軽くするためにも、あらかじめ葬儀を依頼する葬儀社を決めておくことを検討しましょう。
また、深夜や早朝には料金が割高になります。それ以外にも有料道路や高速道路を利用した場合はその料金、利用者側の事情で搬送車両を一定時間留め置く場合もその分の割増料金が追加で計上されるので注意が必要です。
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老人ホームだからこそ注意したい「相部屋への配慮」と「遺影の準備」
老人ホームで身内を見送る際、病院や自宅とは異なる「施設ならでは」の注意点が2つあります。
1つ目は、「他の入居者の方への配慮」です。
故人の居室が個室ではなく相部屋(多床室)の場合、同じ部屋で過ごす他の入居者の方へ動揺や精神的な負担を与えないよう、施設側から早急な遺体の搬送を求められるケースが少なくありません。あらかじめ「どこへ搬送するか(自宅か、葬儀社の安置室か)」を事前に決めておくことが、施設への大切な配慮になります。
2つ目は、「遺影写真の準備」です。
老人ホームに長期間入所していた場合、手元に「最近の元気な頃の写真」が見当たらないというトラブルがよく起こります。
もし直近の写真がない場合は、施設の職員に相談してみましょう。施設で行われた季節の行事や日常のレクリエーションの際に、職員が撮影した素敵なスナップ写真が残されていることが多く、それを遺影として使用するケースも増えています。
身寄りがない場合や終活段階での相談・サポートについて

近年は、高齢で身内が少ない方や、身寄りのない方が老人ホームで最期を迎えるケースも増えています。
親族がいない、あるいは遠方で頼ることが難しい場合、入居前や元気なうちの「終活」の段階で、施設側や専門の保証会社などと「死後事務」に関する契約を交わしておく方法があります。
施設や契約プランによっては、本人が亡くなった後の手続きを以下のように一括してサポート・代行してくれる仕組みが整っています。
- 死亡届の提出などの行政手続きの代行
- 居室に残された家財道具や身の回り品の処分
- 葬儀の手配・執行
- 永代供養墓への納骨
万が一の際の手続きに不安がある場合は、入居を検討する段階から、亡くなった後のサポート体制や生前契約の相談ができる施設かどうかを確認しておくことが非常に大切です。
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最後に
老人ホームで身内が亡くなった場合、まずは医師に死亡診断書を発行してもらうこと、そして遺体搬送の手配が必要です。
施設で葬儀が可能なのか、お別れの時間を設けてもらえるかどうかは施設によって異なります。基本的に宗教的な儀式は行うことができないと考えておきましょう。
何をすべきか分からないとき、どうしてよいか分からないときは、老人ホームの職員に事前に相談することをお勧めします。今回の内容を参考にしてください。
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ステップ2
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ステップ3
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老衰で亡くなる方は、高齢者施設で最期を迎えるケースが病院を上回り、今後も施設での看取りは増えていくと考えられます。老人ホームは「暮らしの場」であり、入居者同士が故人を見送る機会も増えるなど、お別れの形も変化していくでしょう。