寺院葬とは?寺院葬のメリット・デメリット
葬儀を営む場所については、多種多様な選択肢があります。
その中で「寺院葬」もその選択肢の一つです。
昔は、寺院葬はごく一般的な葬儀スタイルでしたが、昨今では減少傾向にあります。そのため、寺院葬という選択肢があることを知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は寺院葬の意味やメリット・デメリットなどを紹介します。



寺院葬とは?
寺院葬とは、お寺の本堂で執り行う葬儀のことです。寺院によっては、檀信徒会館(だんしんとかいかん)などの名称で呼ばれる葬儀専用会館を併設しているところもあります。
ちなみに、寺院が施主となって宗教法人として行う葬儀のことを寺院葬と呼ぶ場合もあります。これは、企業の代表が亡くなった際の社葬(法人葬)のようなもので、寺院の重要職(現役の住職、先代の住職など)が亡くなった場合に執り行われます。
寺院に併設された葬儀会館は檀家でなくても利用できることが多いですが、本堂で葬儀を行う場合は、故人や遺族がその寺院の檀家である必要があり、葬儀にはそれぞれの寺院で決められた細かい決まりがあります。また、お寺との付き合いや貢献度によっても利用条件が変わることがあります。
この記事では、「寺院の本堂で行う葬儀」という意味での寺院葬について紹介します。
寺院葬に掛かる費用
葬儀の費用全体の全国平均は、約195万円程度と言われています。この金額は、葬儀一式費用、返礼品や食事代などの飲食接待費用、お布施などの寺院関係費用が含まれたものです。
寺院葬に掛かる費用については、どちらかというと安く抑えられる傾向があると言われています。その理由を詳しく説明します。
使用料金
寺院の使用料については、お布施に葬儀場所の「使用料相当分」を含めて包む場合や、施設使用料をお布施とは別途請求されるケースもあります。その金額は、約10万円~20万円が相場と言われていて、一般の葬祭ホールの利用料と同程度になっています。しかし、檀家と菩提寺の場合は、この費用が当てはまらないこともあります。「寺院は檀家で支えられている」という考えから無料になるところもありますし、安価に本堂を提供するところもあります。
祭壇
祭壇の取り扱いも、葬儀費用に大きく影響します。寺院の本堂で葬儀を行う場合、本堂の「荘厳」をそのまま使用するケースと、荘厳を幕などで隠して葬儀社が持ち込む祭壇を組むケースとに分かれます。前者の場合は、本堂に棺を置いてから周りにお花を飾る程度なので安く済みますが、後者の場合は、祭壇費用ならびに設置費用なども掛かるでしょう。この方針は寺院によって異なります。
参列者へのおもてなし
葬儀に参列される方の人数も葬儀費用に大きな影響を与えます。
参列者の人数が増えれば増えるほど、返礼品、料理や飲み物などのおもてなしに掛かる費用は増加しますが、この要素は自宅や一般の葬祭ホールで葬儀を営む場合も同様です。寺院で行う場合に必要になるのが、参列者用の椅子の手配や通夜振舞いに使用するテントやテーブルなどの手配です。参列者の人数が多くなると、その部分の費用が増加する可能性もあります。
戒名・お布施
付けてもらう戒名の階位(ランク)も費用が変動する主な要因となります。これは戒名の階位によって、寺院に納めるお布施の額が変化するためです。
戒名については以下の記事で詳しく解説しています。
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寺院葬の流れ
次に寺院で葬儀を行う場合の流れについて紹介します。
一連の流れは、葬祭ホールで行う場合と特に変わる点はありませんが、亡くなった場所や状況、地域や寺院などによって変わってくることがあります。ここで紹介する例は、一つの形となっています。
1.遺体の搬送、安置
故人が息を引き取ると、葬儀社に連絡して病院まで迎えに来てもらいます。安置先として挙げられるのは、自宅あるいは寺院です。
寺院での安置を希望する場合、時間帯によってはすぐに連絡が取れないことも考えられるため、事前に相談しておく必要があるでしょう。多くの場合は、自宅や葬儀社などが保有する遺体安置施設にいったん安置し、寺院葬の日程や内容が決まってから改めて寺院に搬送して安置します。
安置後、葬儀社スタッフと寺院葬の内容について打ち合わせをします(日程、参列者数、祭壇や棺など葬祭用品、返礼品、飲食関係など)。寺院葬を執り行うのであれば、必ず寺院の承諾が必要です。
ほとんどの場合、お寺から葬儀社を指定されることがないため、遺族で相談して依頼する葬儀社を決めることになります。菩提寺の住職から葬儀社を紹介を受けられることもあり、そうした場合はその寺院の本堂を利用した葬儀に慣れている葬儀社であることも多いので、そちらに依頼してもよいでしょう。
ご逝去から遺体安置までの流れについてはこちらの記事をご参照ください。
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2.寺院で納棺、通夜
通夜当日、安置場所から寺院に遺体を移送し、納棺式を行います(安置場所で納棺式を行ってから寺院に移動するケースもあります)。
その後、通夜式を迎えます。通夜式では僧侶に読経をしてもらい、参列者は焼香を行います。通夜式後には、通夜振舞いと呼ばれる飲食の席が設けられます。
寺院葬の場合、寺院への遺族の宿泊は対応が分かれます。なぜなら、寺院にはお寺の家族も暮らしていますし、近隣住民への配慮も考えなければならないからです。宿泊の可否は必ず事前に確認しておきましょう。
3.寺院で葬儀・告別式
葬儀・告別式では通夜同様に僧侶の読経があり、参列者による焼香が行われます。僧侶の読経が終了したら、その後、いったん棺の蓋が開けられて、故人と参列者との最期のお別れをする時間となります。
棺の蓋を閉じて、霊柩車に棺を乗せ火葬場へと出発します。
4.火葬
火葬場で故人の火葬を行い、火葬後は家族・親族で遺骨を骨壺に納めます。
火葬後は、葬儀を行った寺院に戻って初七日法要を営むことが多く、その日のうちに寺院の墓地に納骨する場合もあります。
火葬のお手続きについては以下の記事で解説しています。
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寺院葬のメリット・デメリット
寺院葬を検討するためには、メリット・デメリットの両面を知っておくことも大切です。
寺院葬のメリット
荘厳な雰囲気
寺院では、各宗教宗派の教義にのっとった本尊や、本尊に次いで崇められる仏様などが正しく祀られています。また、本尊や仏様を祀るにふさわしい飾り付けがなされていて、過剰な装飾を追加する必要もなく、荘厳な雰囲気の中で葬儀を執り行うことできます。
僧侶の送迎や御車代が不要
葬儀を葬祭ホールや自宅を会場として行う場合には、僧侶の会場までの往復を家族や親族が送迎したりタクシーの手配をすることがあります。
もし僧侶が自家用車で来たり、僧侶自身が手配したタクシーで会場まで来る場合には、交通費として御車代を渡すことがマナーです。
しかし、葬儀を寺院で行うのであれば、僧侶が会場に足を運ぶことはありませんから、僧侶の送迎や御車代を気にする必要はなくなります。
移動時間が省けることがある
火葬後、寺院で初七日法要を行い、そのまま寺院内にある墓地に納骨する場合には移動の時間や手間が軽減できます。
近所の方々が参列しやすい場合がある
全てとは言えませんが、江戸時代の檀家制度の名残から、菩提寺は自宅近隣にあることが多いようです。自宅近隣の寺院で行う場合には、近所の方々が参列しやすいというメリットがあります。
寺院によって祭壇が不要となる
寺院によっては、祭壇が不要となります。
特に本堂を使用して葬儀を行う場合には、既に本尊は祀られていますし、本尊を祀るための飾り付けもなされていることから、祭壇は設置する必要はないと考える寺院があります。
祭壇は葬儀費用の中でも大きな割合になる項目のため、それを用意しなくてよいとなれば、葬儀費用の負担軽減にもつながります。
寺院葬のデメリット
基本的に寺院で葬儀ができるのは檀家のみ
基本的には、寺院で葬儀を行うことが可能なのは檀家のみで、檀家でない家は希望しても寺院での葬儀ができないというデメリットがあります。
快適性に劣る可能性が高い
寺院の建物は、もともと葬儀を行う目的で建てられた建物ではありません。
そのため、椅子席の有無(板間、畳敷きのみの寺院も多い)、空調設備、音響設備、待機スペース、バストイレ付の宿泊設備など、一般的な葬祭ホールに比べると設備面で快適性に劣る可能性が高いのが現状です。
葬儀に慣れていないお寺では、いろいろな細かい制約が設けられる場合があります。
バリアフリー未対応の寺院も多い
特に古い寺院では、通路の手すりや車椅子用のスロープがないなど、バリアフリーに関する整備まで手が回っていないところも多くあります。特に、焼香に進む際に段差があったり、車椅子での移動に対応していなかったりするところもあるので注意が必要です。
参列者の負担になることがある
寺院での葬儀は、一般参列者の待機場所や食事スペースが屋外になることがあります。
屋外用の大きな扇風機や暖房器具を用意するなど、葬儀社もできる限りの対策は行いますが、暑い時期や寒い時期は、参列者に負担をかけることになってしまうというデメリットがあります。また、それらの設備を手配するための費用が掛かることもあります。
駐車場の問題
観光名所となっている寺院や、本山クラスの寺院は別ですが、一般的な寺院は駐車可能台数が少ない場合がほとんどです。そのため、車で来る参列者が多い場合には対応が困難となります。
参列人数が多くなりそうな場合は、公共交通機関を案内するなど、寺院や近隣住民に迷惑がかからないような注意が必要です。
寺院での葬儀が難しいタイミングがある
お盆やお彼岸シーズンは、寺院への来客対応や法事の予約が既に入っていることが多く、寺院での葬儀を断られる可能性が高くなります。
また、寺院で行う重要な行事が入っている場合も同様に、寺院での葬儀を断られることがあります。



寺院葬に向いているケースとは
寺院葬は少なくなっているものの「寺院で葬儀を行ってよかった」という声も聞かれることがあります。
ここでは、寺院葬に向いているケースをいくつか紹介します。
家族葬で行うケース
デメリットの項目で触れているように、寺院葬は、一般参列者の負担になったり、駐車場の問題などがあったりします。
しかし、家族や主だった親族のみで行う小規模な葬儀であれば、これらのデメリットは特に障壁になりません。
また葬儀費用の面でも、民間の葬祭ホールを利用して家族葬を行うよりも若干ですが、安価で済む可能性もあります(寺院によって会場使用料は取らないこともあるため)。
家族葬について検討している方は以下で詳しく解説していますのであわせてご覧になってみてください。
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菩提寺が慣れ親しんだ場所であるケース
日頃から菩提寺と付き合いがある、何度も足を運んでいる、また住職やその家族ともなじみがある場合、慣れ親しんだ場所で親しい人たちが集まる葬儀は、使い慣れていない施設よりも精神的・身体的な負担が軽減されることもあります。
また、菩提寺が故人の生まれ育った地域にある場合は「生まれ育った地域から見送られて、故人もきっと喜んでいるに違いない」と安心する遺族もいます。
菩提寺が近所にあるケース
自宅の近所にある菩提寺で葬儀を行えば、自宅と葬儀会場である寺院との往復がスムーズですし、車両費の軽減にもつながります。
また、一般参列者が主に近所の方々になる場合には、参列の負担も軽くなります。
最後に
今回は寺院葬の意味やメリット・デメリットなどについて紹介しました。
寺院葬は、一般的に「寺院で行う葬儀」のことを意味します。寺院葬は少なくなっていますが、地域によってはまだまだ日常的に見られる葬儀スタイルです。
寺院の本堂が利用できる場合には、慣れ親しんだお寺の安心感と荘厳な雰囲気の中で、厳かに葬儀を営むことができるでしょう。
特に組内や隣組の制度の名残があるところや、地域住民同士のつながりが強く古い歴史を持つ地域などでは、いまだに寺院葬が多く行われている傾向にあるようです。
寺院葬を検討する際には、今回の内容を参考にしてください。



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