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遺族の対応

死亡後に必要な手続きとは?書類や期限についても解説

死亡後に必要な手続きとは?書類や期限についても解説

大切な身内を亡くされ深い悲しみにあったとしても、遺族にはやらなければならないことがあります。

それは、死亡後に必要とされる手続きです。なかには法的に期限が定められている手続きもあり、すみやかに対応しなければ後に問題が生じてしまう可能性もあります。

ほとんどの方にとって普段接することのない手続きがありますので、戸惑うことも少なくないでしょう。

そこで今回は、死亡後に必要な各種手続きについて解説していきます。

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死亡直後に行う手続き

ここでは、死亡直後に対応しなければならない手続きについて紹介します。

葬儀を含めて慌ただしく過ぎていく時期ですが、必要な手続きについては漏れがないよう確実に対応しなければなりません。

死亡届の提出

死亡届とは、死亡の事実を市区町村の役所に届け出る行政手続きです。役所で受理されると、公的な処理として戸籍からの除籍、住民登録の抹消などが行われます。

死亡届の提出は、実際には遺族が役所に行って提出することは少なく、葬儀を依頼した葬儀社が代行して行うことが一般的です。ただし、死亡届の記入自体は遺族が行う必要があります。

通常は、医師や病院から死亡診断書を受け取った後、葬儀社の案内に従って死亡届を記入し、その後葬儀社が役所に提出するという流れになります。

死亡届はA3横版の用紙で、右半分が医師が作成する死亡診断書(または遺体検案書)、左半分が死亡届の書式という形式となっています。死亡届には、故人の氏名、住所、本籍、生年月日、死亡日時、届出人などを記入する欄があります。

死亡届は、死亡診断書が記入されている状態で役所に提出する必要があり、その提出期限は国内で亡くなった場合、死亡の事実を知った日から7日以内(7日目が休日の場合はその翌日まで)、国外の場合は死亡の事実を知った日から3カ月以内と法律で定められています。

この期間の間に提出できず遅れてしまうと戸籍法のもと、罰則として過料5万円が科せられます。

なお、届出人を誰にするのかは、法律で定められており、親族、親族以外の同居者、家屋の管理人や地主、後見人、保佐人、補助人、任意後見人などが届出人の対象です。

故人の本籍地や死亡地、または届出人の所在地のいずれかで提出しなければ受理されないので注意しましょう。

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火葬許可証の受領と提出

火葬許可証は、火葬を行うとき、遺骨を墓に納めるときに必要な書類です。

役所で死亡届の提出を行うと、火葬許可証が交付されます(自治体によっては火葬許可証ではなく、埋火葬許可証などの名称になっている場合もあります)。

発行された火葬許可証は、火葬当日に火葬場の管理事務所に提出する必要があります。葬儀社を利用している場合、死亡届と同様に、火葬許可証の受領と火葬場係員への提出までは葬儀社が行ってくれることが一般的ですが、提出時に死亡届に押印してある印鑑が必要です。また、故人が外国人の場合は外国人登録証明書の返還が必要となります。

火葬場係員に提出された火葬許可証は、火葬が終わると火葬済であることを証明する印が押され、遺族の手元に戻されます。

そして火葬後、墓に遺骨を納める際には、この火葬済である印が押された火葬許可証を墓地や霊園の管理者へ提出することになります。

なお、火葬済であることの証明事項が記載された火葬許可証のことを、埋葬許可証という場合があります。

埋葬許可証という言葉は法的、公的な用語ではありませんが、一般的理解として「火葬済であることの証明事項が記載された火葬許可証=埋葬許可証」を意味し、5年間保管しなければなりません。

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健康保険証の返還

日本では「国民皆保険制度」が敷かれているため、死亡の際には保険資格喪失の届出と保険証、高齢受給者証(受給されている人のみ)の返還手続きが必要です。

自営業者や無職の方、年金暮らしの方などが国民健康保険に加入していた場合には、保険資格喪失の届出と保険証、高齢受給者証(受給されている人のみ)の返還を逝去後14日以内に行うことと定められています。

会社員であった場合は、事業主が5日以内に健康保険組合などに資格喪失の連絡をしなければなりません。死亡の事実はすみやかに会社に通知する必要があります。

なお、国民健康保険は世帯ごとの加入となっているため、世帯主が死亡したとき、同一世帯に住んでいる方がいるのであれば、世帯主を変更したうえで健康保険の手続きを行うことになります。

国民健康保険に関する手続き先は、死亡者の住所地を管轄する市区町村の役所です。

死亡者が会社員で、その扶養者が故人の勤め先の保険に加入していた場合には、そのままでは保険の資格を失ってしまいますので、国民健康保険に加入するなどの対応も必要です。

また、加入していた保険によって埋葬費や埋葬料の受給ができますので、保険の資格喪失届を行う際、併せて手続きを行うとよいでしょう。

手続きに必要なものは、国民健康保険被保険者資格喪失届国民健康保険証死亡届など死亡が確認できる証明書・窓口で申請する人の本人確認書類・認印が必要です。他にも限度額適用認定証・高齢受給者証がある場合は一緒に提出しましょう。

市町村によっては、死亡届を提出すれば、別に国民健康保険喪失届の提出が不要な場合もあります。死亡届を出すときに確認しましょう。ただし、国民健康保険被保険者資格喪失届の提出が不要だった場合も、保健証は返却しなければなりません。

後期高齢者医療被保険者証の返却

後期高齢者医療制度は75歳以上の人や一定の障害がある65歳以上の人が加入できる医療制度で、該当する人には後期高齢者医療被保険者証が交付されます。

後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなった場合、死亡届だけでなく後期高齢者医療資格喪失届の提出が必要な場合があります。市町村によっては健康保険制度と同じく資格喪失届の提出が不要な場合もありますが、後期高齢者医療被保険証、限度額適用・標準負担額減額認定証、特定疾病療養受療証を返却しましょう。

介護保険者証の返却

65歳以上で介護認定(要支援含む)を受けていた方が死亡した場合には、市区町村の役所に介護保険資格喪失届を提出し、介護保険被保険者証を返却する必要があります。

また、40歳以上65歳未満の医療保険加入者のうち、国が定める特定疾病などで要介護認定(要支援含む)を受けていた方が死亡した場合も同様の対応が必要です。

手続きの期限は死亡後14日以内となっています。

提出先は、亡くなった故人の居住地の市町村役場の保険年金課になります。国民健康保険や後期高齢者医療制度の提出窓口とは異なる場合があるので注意が必要です。

関連事項として、介護保険料の未納分がある場合には、基本的に相続人が負担することになりますので注意が必要です。また、納め過ぎていた場合は相続人に還付されます。

年金の受給停止届の提出

死亡すれば年金の受給資格がなくなりますので、死亡後10日(国民年金は14日)以内に年金事務所、または年金相談センターで受給権者死亡届(報告書)の手続きが必要となります。

必要な提出書類は、受給権者死亡届(報告書)年金証書戸籍妙本死亡届の記載事項証明書死亡診断書のコピーなど、死亡の事実が確認できる書類を添付することが必要です。

ただし、マイナンバーを年金事務所に登録済の方は、この受給権者死亡届の手続きを原則不要としています。

そして、手続きを忘れて年金を多く受け取った場合などは問題になるため、できるだけ早く手続きをするようにしましょう。

なお、支払われる予定だった年金の受け取りが完了していない場合については、遺族が受け取ることが可能です。その場合、年金受給者死亡届とは別に、未支給年金請求書の手続きが必要となりますので注意しましょう。

未支給年金を受け取れるのは、亡くなったときに故人と一緒に生計を共にしていた遺族になります。受け取りの優先順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、きょうだい、3親等内の親族の順です。死亡した月の分までが受け取れます。

未支給年金の書類の提出先は、年金事務所や年金相談センターに提出します。

提出の際に必要な書類は故人の年金証書、故人との続柄が分かるもの(戸籍謄本や法定相続情報一覧の写し)、故人と同一生計だったことが分かるもの(住民票)が必要で受け取る方の銀行の通帳も必要です。

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世帯主変更の手続き

死亡された方が世帯主であり、同一世帯に死亡された方を含めて3名以上の方が同居されていた場合、残った2名が今後も同世帯に居住を続けるのであれば世帯主変更の手続きが必要です。

一方、同一世帯に死亡された方を含めて2名で同居されていて、残った1名が今後も同世帯に居住を続ける場合には自動的に残った1名が世帯主に変更されるため、世帯主変更の手続きが不要となることが一般的です。

ただし、自治体によって取扱い方法が異なることがありますので、住んでいる地域の市区町村役所に確認した方がよいでしょう。

なお、世帯主変更は死亡してから14日が手続きの期限となっています。

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死亡後なるべく早く行うべき手続き

その他にも、葬儀後に落ち着いてからで差し支えはありませんが、なるべく早く行うべき手続きがあります。

故人や家庭の状況によって必要な手続きは変わってきますが、一般的に必要となる主な手続きを紹介します。

車の名義変更

自動車検査証(以下:車検証)の名義が故人になっていた場合で、他の方が相続し継続して車両を使用するのであれば車検証の名義変更(所有者変更)が必要です。必要書類の提出先は普通自動車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会が手続きの窓口となります。

手続きには、死亡診断書など死亡の事実が確認できる書類、車検証遺産分割協議書などたくさんの書類が必要になります。また普通自動車か軽自動車かによっても必要書類が異なりますので、手続きの各窓口に事前に確認しておくと間違いが防げます。

名義変更の必要書類は量が多いので、先に運輸支局で書類をもらってから記入し、後日提出する方がいいでしょう。

またそれ以外に自動車保管場所証明書(​​以下:車庫証明)も必要なので、所轄の警察で車庫証明の発行をしてもらいます。

運輸支局での申請書類が受理されると、新しい車検証を発行してもらえます。そのまま自動車税事務所の税申告窓口に新しい車検証と自動車税・自動車取得税申請書を提出します。

年式の新しい自動車の場合は、自動車取得税が必要な場合があります。その場合はきちんと納付しましょう。

また、故人の所有場所と新たな名義人で所有場所が変わる場合は、ナンバープレートの交換が必要になります。新しいナンバープレート代に1500円程度掛かり、希望ナンバーなど特殊な場合には1万円ほど掛かる場合があります。

取り付けなどに必要な道具は準備されているので、古いナンバープレートを返却し、新しいナンバープレートを受け取って取り付けをします。

普通自動車の場合、移転登録料として500円掛かります。また、場合によっては車庫証明書の取得に2000円程度掛かることがあります。軽自動車の場合には申請手数料は掛かりません。

他に、自動車保険の名義及び内容変更は保険会社での手続きが必要ですので、注意しましょう。

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不動産の名義変更

家や土地など不動産を相続する場合には、不動産の名義変更として所有権の移転登記が必要となります。

移転登記は地方法務局で行います。移転登記自体に期限は設けられていませんが、将来的には義務化される可能性があり、税金や抵当権などの関係で不都合が生じることも考えられますので、相続が確定次第早めに実行することをお勧めします。

名義変更に必要な書類は、相続人全員の戸籍謄本・死亡した名義人の出生時まで遡った全ての戸籍または除籍謄本・亡くなった名義人の住民票除票や戸籍の附票(本籍地が載ってるもの)相続人全員の住民票および印鑑・相続する不動産の固定資産評価証明書(申請する年度のもの)相続関係説明図相続登記の申請書が必要です。

相続関係説明図は必要書類を返却してもらうために必要なので、実際に申請自体にはなくても影響はありません。

名義変更の手続きで名義人が死亡している場合には、相続人全員の同意と署名捺印がされた遺産分割協議書が必要です。

また遺言書があれば少し異なります。遺言書があれば必要な書類が減ったり、相続人とされている人が周りに同意を得なくても、一人で手続きを進めることができます。

ただし封のしてある遺言書は家庭裁判所で検認してもらう必要があるので、勝手に開けないようにしましょう。

慣れていない人はこの複雑な手続きを専門家や司法書士に依頼を任せるケースも多いです。

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株式の名義変更

故人が所有していた株式については、証券会社に名義変更の手続きを依頼します。

名義変更の手続きに必要な書類は、証券会社によって多少異なりますが、次のような書類が必要になる場合が多いので準備しておくとよいでしょう。

株券・相続による株式名義書交換請求書・新しく株主になる人の株主票共同相続人の同意書や遺産分割協議書相続人全員の印鑑証明書相続人全員の戸籍謄本・被相続人の出生から死亡までが戸籍謄本、これらが必要になります。

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で相続人同士が合意した内容をまとめた書面で、株式の名義変更ではこの書類を添付することがあるので準備しておくとよいでしょう。

相続人(株式を受け継ぐ方)が証券口座を開設していなければ、新規に口座開設の手続きも必要となります。故人が所有していた株式が非上場会社であった場合には、それぞれの会社または株式の名簿管理会社で手続きを行うことになります。

株式の名義変更に期限はありませんが、名義変更を行ってからでないと株式の売却を行うこともできませんし、相続税の対応でも手間がかかりますので、相続が確定したらなるべく早い段階で手続きを行うとよいでしょう。

この手続きが終わると株式の名義が変更されるので、そのまま所有していてもよいですし、株式を売却することも可能です。

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電話の名義変更

故人名義で契約していた電話回線についても名義変更の手続きが必要です。

電話にも固定電話、携帯電話とあり、電話サービスを提供している会社もさまざまです。契約先それぞれに手続きの依頼を行うことになります。

手続きの方法も電話会社ごとに異なりますので、まずは各契約先に手続きに要する書類や流れについて確認を行います。

NTTの固定電話回線の名義変更の手順は郵送とWEBでの手続きの二通りあります。

まず郵送の場合は、NTTのサイトから名義変更の書類をダウンロードし必要事項を記入します。

記入した書類を各センターへ郵送します。手続きが完了するとNTTから郵送で完了のお知らせが届きます。

WEBでの手続きの場合は、該当ページから申し込みフォームを記入し送信した後、本人確認書類をメールで送付します。

こちらも手続きが完了するとNTTから郵送で手続き完了のお知らせが届きます。

申請に必要な書類は、名義変更申込書新契約者の本人確認書類現契約者の死亡が確認できる書類(死亡診断書・戸籍謄本・住民票など)が必要です。

また現在の支払い方法を継続しない場合は、名義変更手続き完了後に支払い方法の変更の手続きを行います。

公共料金の名義変更

故人名義で電気、水道、ガスなどの提供事業者と契約していた場合で、残された遺族が引き続き利用するのであれば、各事業者に対して名義変更の手続きを行います。

故人の預金口座から利用料金を振替えていた場合には、支払口座の変更として預金口座振替依頼書の手続きも併せて行います。

故人の口座は、死亡とともに凍結されるため、引き落としができなくなります。今後も公共料金の支払いで口座引き落としを使用し続ける場合は振替口座の手続きが必要です。

電話やインターネットから手続きができる場合が多いですが、分からない場合はサービスセンターに連絡して必要な書類を送ってもらいましょう。

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死亡保険金請求

死亡保険金の請求は、法律で死亡したときから3年以内と期限が定められています(ただし、かんぽ生命のみ期限は5年)。

死亡保険金は請求しなければ受け取ることができませんし、相続にも関連しますので、早めに行動しておいた方がよいでしょう。

死亡保険金の請求は、保険契約者や保険金の受取人が生命保険会社に連絡すると、生命保険会社から案内と請求書が送られてきます。

保険会社によって支払いの可否が判断され、死亡保険金を受け取ることができます。

死亡保険金が支払われる際に未返済の自動振替貸付金や契約者貸付金がある場合は、その元利金が保険金から差し引かれます。

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最後に

今回は、死亡後に必要な各種手続きについて解説しました。

死亡届と火葬許可証の提出は、一般的に葬儀社が代行してくれますが、健康保険や年金、各種名義変更など、葬儀後にも遺された家族にはやるべきことがたくさんあります。

相続や不動産の名義変更など、ときには専門家を頼ることも一つの選択肢でしょう。

手続きの種類によっては、手続きしないと支給されるお金を受け取れなかったり、放っておくと手間が増えてしまうものもありますので、可能な限り早く動くことをお勧めいたします。

今回の記事を参考にしてください。

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