お布施に「相場」はありますか? 目安の金額や内訳を解説
お葬式に関する作法や慣習がたくさんある中で、多くの方が、戸惑い、苦慮しているものの一つが僧侶への「お布施」です。仏教で葬儀や法要を行う場合には、通常は寺院に対するお布施を用意しなければなりません。
しかし、お布施はいくら包めばよいのか?何を目安にしてよいのか?それらの悩みは誰に聞けばよいのかも分かりません。
そこでこの記事では、お布施の金額の相場やその内訳、授受の作法などを解説します。
お布施の基本的な常識と知識を知っておくと安心です。
お布施とは?
本来のお布施とは、仏教の修行方法の一つを意味します。
お布施という言葉は、インドの「ダーナ」という言葉を由来としていて、仏の法を人々に施すかわりに施しをしてもらう、ということから、”与える”という意味を持っています。
しかし、現在の日本でのお布施という言葉は、仏式葬儀および法要での読経、戒名授与などに対する謝礼金という意味で使用されることが一般的です。
今ではお布施は金銭で渡すのが一般的ですが、本来は”金銭だけでなく、人のためにできることをする”という思いの現れの行動を指すこともありました。
本来の意味においてのお布施は、「財施(ざいせ)」「法施(ほうせ)」「無畏施(むいせ)」という3種類に分けられます。
それぞれの意味は上記の順に、「財施は金品を施すこと」「法施は仏の教えを伝えること・説くこと」「安心を与えること」です。このうち、一般的に「お布施」と呼ぶ「お包み」は、お寺や僧侶への施しなので、「財施」ということになります。
現実的に、お布施は金銭による対価とされていますが、宗教行為に対する「喜捨(きしゃ)」はお賽銭のようなものですし、実質的には寺院の経営や僧侶の生活を支えるものでもあります。
お布施の本来の意味や意義を踏まえながら、実際の場面での対応を理解しておくとよいでしょう。
お布施を渡す場面ごとの金額相場
お布施という金銭の授受を、大きく三つに分けて考えます。
一つ目は、「葬儀」の読経や戒名授与に関するもの。二つ目には、その後の「法要」に対するもの。三つ目は、不定期ですが「寄付や寄進」という要請です。
加えてお布施の原則となるのは、現金を包むということです。一部、寄付・寄進として物納をすることもありますが、基本的には、速やかな現金支払いであるということです。
もう一つの原則は、相場や目安、まして定価などはないということです。そのため、お布施の金額を相談すると、その多くの応答には「お気持ちで結構でございます」との常套句が返ってきます。それでますます戸惑ってしまうこともありますが、これは前述のお布施本来の意味を考えれば当然のことです。
現実には、お布施を実働に対する対価、謝礼と考え、それに対する「常識的な」判断というものが「相場」を形成しているとも言えるでしょう。この是非はここでは問いませんが、ケースごとの対応を知っておくべきです。
また宗旨宗派の考え方や、地域慣例・慣習によってもその対応が大きく異なります。まずは地元の慣習などを調べておくことをお勧めします。これは寺壇関係を有している隣人や親戚の年配者など、幅広く聞いておくとよいでしょう。地元葬儀社に聞くのも一案です。
お葬式(通夜・葬儀・告別式・火葬)のお布施
葬儀で用意するお布施の全国平均は2日間で約38万円程度と言われています。
関連記事
(2019年調査)葬儀のお布施の平均金額・相場のデータ
葬儀に関する情報提供や葬儀社の一括見積りサービスを無料で提供している「安心葬儀」では、全国の喪主経験者を対象に、葬儀の際に僧侶にお渡しするお布施の金額に関するアンケート調査を実施しました。 ...
続きを読む
この金額は、戒名授与と前日の通夜から翌日の葬儀・告別式、火葬場での炉前勤行などを含めたものです。
通常、お葬式の際のお布施の内訳は、次のようになります。
- 通夜・式の読経に対するお礼…お経料
- 戒名授与への寄進…戒名料
- 実務的な実費(お車代・お膳料など)
以上を包括して「お布施」としてお包みします。(「料」とすると「料金」的なニュアンスがあるため、仏教会としてはあまり使用してほしくないようです。)
この中でも、最も大きく変動するのは、「戒名料」で、「位号」のランク、「院号」の付加などによって大きく差が付きます。
また、お寺の格式や由緒、導師の僧位(僧侶の位)などさまざまな要因となるので、上限はありません。
ここで分かるのは、全国平均の金額が、最小限求められる目安として極めて妥当なものだという感触です。
四十九日忌法要
最近は、式当日に繰り上げての初七日忌法要を営んで、それに対して別包みで「初七日忌法要御礼」などの表書きでお布施に上乗せすることもあります。四十九日忌法要など後日行う法事では、納骨などの法要とあわせて営むこともあります。原則的には、忌明けの大きなけじめの法要なので、お葬式時に包んだ金額の1割程度が目安となります。そうなると、少なくとも四十九日忌法要のお布施は、約3万円~5万円以上が相場ということになります。
関連記事
四十九日とは何をする日? 数え方や意味、準備の仕方まで徹底解説
故人が亡くなってから”49日目”は、「四十九日」と呼ばれる仏教で重要な意味のある日です。そのため、一般的に「四十九日法要」を執り行いますが、なぜ法要をしなければならないのか、その理由まで知ってい...
続きを読む
一周忌法要
一周忌法要でのお布施も一割目安となります。約3万円~5万円以上が相場と考えます。
関連記事
一周忌の意味とは?お布施やお供えなどのマナーも紹介します
一周忌は四十九日以降で、最初に迎える年忌法要です。 家族以外の方を招くことも多いだけに、故人にも、参列される方にも失礼のないように営みたいものです。 この記事では、一周忌を営む意味、...
続きを読む
納骨法要・納骨式
納骨のときに用意するお布施は、それだけを単独で行うような場合は3万円~5万円が相場と言われています。ただし、四十九日忌や一周忌法要の当日に納骨も行う場合には、別々にお布施を包むことはせず、「併修(合わせて法要を行う)」分として用意します。
関連記事
納骨式に掛かる費用相場とは?費用を安く抑える方法を紹介します
葬儀が終わった後、一般的には四十九日前後のタイミングで遺骨をお墓へと納めます。 葬儀は仏式で行う家庭が多い現状の中で、遺骨をお墓へ納めるときも仏式の「納骨式」を行うケースが多く見られます。...
続きを読む
三回忌以降
三回忌以降の法要については、約3万円~5万円がお布施の相場と言われています。
関連記事
三回忌法要に必要な準備とは?お布施の相場や三回忌法要に参加する際のマナーも紹介します
三回忌(さんかいき)の法要は、仏式で葬儀を行った後に行われる年忌法要の一つです。 基本的にはそれまでに行ってきた四十九日法要や一周忌法要と変わることはありませんが、準備や流れ、費用など、分...
続きを読む
お盆
お盆のお布施は、新盆で約1万円~3万円、通常の「棚経(自宅などへ僧侶が来訪)」の場合、5000円~1万円。「お施餓鬼供養(お寺へ出向いての合同での法要)」などの場合は、3000円~1万円くらいが相場と言われています。
新盆は初めて迎えるお盆なので、普通のお盆の法要よりも思い入れも深く、地域によっては規模の大きな法要となることもあるので、普段よりも多く包みます。
関連記事
新盆(初盆)のやり方とは?準備すべきことや時期、当日の流れも紹介します
葬儀後にはさまざまな法要が行われます。新盆の法要もその一つで、新盆は故人に対して初めて行われるお盆の法要となります。 新盆を執り行う立場になった場合、また参加することなった場合にはどのよう...
続きを読む
彼岸会
お彼岸については個別に法要を行う場合で約3万円~5万円、合同法要として行う場合で約3000円~1万円がお布施の相場と言われています。
上記の法要やお墓参りなどで「塔婆」をお願いする場合は、大体3000円~5000円が相場です(大小があります。ほぼ定価なのでお寺に聞くと明確に指示してくれます)。
これは、お布施の他に出す人それぞれで包みます。名目は「卒塔婆料」あるいは「お塔婆代」などとなります。
関連記事
お彼岸の意味とは?彼岸法要についても紹介します
「彼岸」は日本の暮らしにすっかりなじんでいる仏教行事の一つです。 春と秋の2回あり、いずれも祝日を含む日程なので、この期間にお墓参りを習慣にしている人も多いでしょう。 この記事では、...
続きを読む
仏壇やお墓の開眼供養・閉眼供養
開眼供養は、仏壇やお墓を新規に購入したときなどに行われる法要です。一方、閉眼供養は仏壇を処分するときや、お墓の改葬・墓じまいをする際などに行われる法要のことです。
開眼供養、閉眼供養におけるお布施の相場は、それぞれ約1万円~3万円と言われています。宗派により開眼供養・閉眼供養とは異なる言い方をする場合もあります(魂入れ、お精入れ、入魂式、入仏法要など)。
以上、場面ごとのお布施の相場を紹介しましたが、節目となる法要や、家族だけでなく親族も参列する法要では若干多めにお布施を包むこともあります。
お布施以外に寺院に渡す費用
お布施だけでもそれなりの金額ですが、状況によりお布施以外にも寺院に対して用意しなければならない費用があります(お布施として一括、同封する場合もあります)。
- 御車料 3000円~1万円 下記参照
- 御膳料 5000円~1万円 下記参照
- 御心付け 3000円~5000円…寺院内で式衆以外の僧侶に対して、気配りをされた場合に。気持ちとして用意しておくとよいでしょう。
- 戒名料 15万円~…上限はありません。下限の金額も地域慣習によってさまざまです。
- 読経料・法要料 3万円〜5万円…世俗的には、僧侶にお経をあげてもらった場合の1回分としています。5万円は「住職」が読経した場合の目安です。
戒名のランクは、宗旨宗派、僧侶それぞれの考えがあります。各寺院に確認するのがよいですが、上でも説明したように「料」は使うべきではないと、仏教界からの要望が提示されていますので、ざっくばらんの中にも丁寧な心遣いを残して聞いてみましょう。
御車代
御車代は、式を行う会場までの交通経費のことですが、僧侶が自家用車で来られた場合を含めて、実費以上の金額を、僧侶めいめい、日ごとに渡すのが原則です。
例えば通夜1名、翌日の式2名の出仕なら、3包み用意しなければなりません。
ただし、こちらから迎えに伺ったような場合は必要ありません。
金額としては市内、近隣市外での移動で約5000円~1万円が相場です。県外など遠方から来られる場合で飛行機などを使った場合は、飛行機代や新幹線代など実費を調べて、相応の金額を用意することになります。
御膳料
御膳料は、式後の精進落とし(忌中払い)などの会食に僧侶が参加されない場合に渡すものです。
御膳料の金額としては約5000円~1万円が相場と言われていて、当日複数の僧侶が出仕された場合には、原則、式後に僧侶めいめいに包みます。
複数の場合には、導師僧侶に一括して渡すこともあります。精進落としなどの会食に参加してもらえる場合は、御膳料は必要がありません。
お布施の作法
ここでは、お布施の袋や渡すタイミングなど、お布施に関する作法として知っておくべき主な事柄を紹介します。
お布施の袋や表書きなど
葬儀のときは通常、お布施用の袋を葬儀社が用意してくれるので、葬儀社が用意した袋を使用すれば問題ありません。自分で袋を用意する場合には、奉書紙もしくは不幸の重なりを連想しない中包みのない白無地の封筒が無難です。水引はかける必要はないとされていますが、地域によって確認しておくとよいでしょう。
表書きは「御布施」とし、その下に名前を書きます。裏面には金額、住所を記入します(奉書紙で中包みがある場合には、そちらに記入します)。寺院に不幸があったわけではありませんから、薄墨で書く必要はありません。黒墨を使いましょう。
お札の包み方は、肖像画が表の上側になるようにそろえて入れます。お布施の場合、香典と同じ入れ方をしてしまうと失礼に当たるので注意が必要です。
また、葬儀は突然のことであるため、新札でなくともよいとされていることが一般的ですが、感謝の意を表すとして、できるだけきれいなものを選ぶとよいでしょう(旧札を使うべきなのは「香典」です)。
たいていはコンビニや文具店でも市販されていますので、その中から選んでもよいと思います。
お葬式でお布施を渡すタイミング
一般的には通夜式が終わった後か、翌日の式後に帰る際に渡すことが多いようです。もしくは事前の了承を得た上で、葬儀後に改めて寺院へ挨拶に訪問する場合もあります。しかし、その際には、葬儀の後の御礼の挨拶時に「お布施は後日に改めてお持ちいたします」などと伝えると丁寧です。
しかし、どのタイミングがよいかは寺院によって考え方が異なりますので、葬儀前の挨拶などに、「お布施はいつ差しあげたらよいですか」と寺院に確認しておくことをお勧めします。
お布施の渡し方
奉書紙などに包んだお布施を、そのまま手渡しすることはマナー違反です。
お布施は、弔事用の袱紗の上に重ねるか、「切手盆」と呼ばれる黒塗の小さなお盆に乗せた上で僧侶に渡すようにしましょう。
関連記事
お布施をお渡しする際の挨拶とは?その際のマナーも紹介します
寺院にお布施を納める機会は葬儀や法要くらいで、そうそう頻繁にあるものではありません。そのため「お布施を渡すときの挨拶やマナーはこうだ」と自信を持って言える方は少ないのではないでしょうか。 ...
続きを読む
読経料や戒名料という言い方は避ける
お布施は宗教行為に対する対価ではないという基本的な考え方がありますので、読経料や戒名料など料金という表現に不快感を示す寺院もあります。
そのため、読経料や戒名料という言い方は避けるよう注意します。
最後に
今回はお布施に関して金額の相場、内訳や作法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
例外もありますが、寺院とはお葬式の後も長い付き合いとなることが一般的です。良好な関係を続けていくために、お布施の意味や作法を知り、寺院に対して失礼のないようにしておくことは大切です。
喪主や施主を務める方は、今回の内容を参考にしてください。
葬儀の費用を抑えるためのポイント
「葬儀にかかる費用」や「納得の行く葬儀ができるか」は、どの葬儀社に依頼するかで大きく異なることがあります。
そのとき大事なのは、複数社に見積もり依頼して内容を「比較検討」することです。
「葬儀の費用は高額だと聞いたことがあるので、なるべく費用を抑えたい..」
「相見積もりを取りたいけど、自分で直接複数の葬儀社に問い合わせるのは面倒..」
「初めて葬儀の喪主を務めることになったが、どの葬儀社に依頼したらいいのか分からない..」
そのような方には当サイト「安心葬儀」で、簡単に無料で比較見積もりが可能ですので、ぜひご利用ください。
関連記事
安心葬儀とは?相見積もりを利用するメリット、利用の流れについて
依頼する葬儀社を決めるのは、逝去後数時間以内が大半と言われております。 時間が無い中で決定する必要があるにも関わらず、葬儀には十数万円〜数百万円のまとまった費用がかかる上、葬儀の品質は葬儀...
続きを読む
安心葬儀 ご利用の流れ
-
ステップ1
お客様センターまでお電話ください
安心葬儀お客様センター0120-99-1835 までお電話ください。相談員がお客様から希望する葬儀内容、ご要望等をお伺いいたします。24時間365日対応・通話無料です。
-
ステップ2
ご希望の葬儀内容に合った葬儀社をご紹介
お客様からお伺いしたご希望を元に、条件に合った葬儀社をご紹介いたします(最大3社)。
もし急ぎで病院・警察からの移動を求められている場合は、すぐにお伺いして指定場所まで搬送することも可能です。※葬儀を行う地域や条件によっては複数社紹介が難しい場合もございます。
-
ステップ3
葬儀社との打合せ/葬儀日程や内容の確定
葬儀社と葬儀について具体的な内容を話していきます。内容面、費用面など比較検討の上、条件に合う葬儀社が見つかりましたらお申し込みください。
※万が一ご紹介した葬儀社が合わない場合、他の葬儀社のご紹介も可能ですので遠慮なくお申し付けください
\ 最安8.7万円から葬儀社をご提案可能 /
葬儀のご相談はこちら
\ 安心葬儀は最安8.7万円から葬儀社をご提案可能。ギフト券最大1万円分プレゼント /
- 急いで葬儀社を手配したい
- 病院からの搬送を急ぎで依頼したい
- 葬儀の費用相場を知りたい
- 葬儀費用の複数社見積もりを取りたい
依頼・見積り通話
無料0120-99-1835安心葬儀お客様センター24時間/365日対応※利用規約に同意の上お電話ください。
安心葬儀おすすめプラン
安心葬儀が全国7000社から厳選した葬儀社のおすすめプランをご紹介します。お近くの式場でご予算に沿う葬儀ができるようご相談承りますのでお気軽にお問合せください。
\ 最安8.7万円から葬儀社をご提案可能 /
葬儀のご相談はこちら
\ 安心葬儀は最安8.7万円から葬儀社をご提案可能。ギフト券最大1万円分プレゼント /
依頼・見積り通話
無料0120-99-1835安心葬儀お客様センター24時間/365日対応※利用規約に同意の上お電話ください。
お葬式のお布施は「控え目」に。戒名のランクにこだわりがなければ「お包み」は無理をしないことです。後の法要の金額の基準となって寄付などもそれに応じて要請されることもある。上乗せは可能、目減りは不可です。